11.25リニア差止め訴訟第7回口頭弁論

南アルプスの自然環境を守れ

 11月25日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の県内区間(10・7㎞)の工事差し止めを求めた訴訟の第7回口頭弁論が静岡地裁(増田吉則裁判長)であった。裁判には原告・支援者・弁護人など30人余が参加した。口頭弁論で陳述を行ったのは酒井田努弁護士と原告の大島康弘さんの2人。
 酒井田努弁護士は、裁判所から国交省有識者会議(以下有識者会議)の内容を踏まえた権利侵害の蓋然性(実際に起きるかどうかの確実性の度合)にかかる主張を整理して提示するよう求められたことで提出した70ページに及ぶ準備書面(7)の要旨について陳述を行った。有識者会議及びこれを受けた中間報告がはらむ問題点では①有識者会議の設置段階における問題点②有識者会議における国交省の不誠実な対応③有識者会議における被告(JR東海)の不誠実な対応、後半部は有識者会議を経てもなお原告らの権利侵害の蓋然性が高いことを論じるもの。
 具体的には①トンネル湧水を全量戻すことがあたかも可能なように主張することの具体的根拠が示されていない②工事終了後のトンネル湧水のポンプアップで下流の流量が維持されるとの主張を裏付ける具体的方策が示されない③環境影響評価が杜撰④トンネル工事に伴う発生土置き場や要対策土に関する議論がほとんど進んでいない⑤県盛土条例の施行により要対策土の盛土が禁止されたことに伴って被告の当初計画の破綻といった内容だ。
 原告の大島康弘さん(藤枝市在住)は山岳愛好家として南アルプスの環境保全を訴える意見陳述を行った。南アルプスの自然と生態系を次世代に残すことは、今を生きる私たちの責務と思い、前例のない県下四つの山岳組織(県勤労者山岳連盟、静岡県山岳連盟、静岡市山岳連盟、日本山岳会静岡支部)の連名で県知事あてに申入書を提出したことや、生まれ育った時から大井川の水に親しみ、その恩恵を得てきたことを陳述した。      (S)
 

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