上原正光さん(基地いらないチーム石垣、農家)が報告
12.16 宮古島・与那国島の自衛隊基地の実態像
石垣島を戦場にするな
12月16日、東京・渋谷勤労福祉会館で「石垣島を戦場にするな~宮古島・与那国島の自衛隊基地の実態(映像)」が12・16集会実行委員会の主催で行われた。
辺野古埋立の受注企業に抗議行動をしている司会の加藤さんが、「石垣島の陸自ミサイル基地建設で前田建設、大成建設などの受注が増えている。ものすごい重機の音がする工事が進んでいる。上原さんの講演でこうした実態を知って欲しい」と話した。次に主催者の外間さんが「自衛隊の軍事訓練を受けて、与那国島の町長自らが『出たい人は島を離れても良いですよ。資金は援助します』と語った。日本政府はこんなになるように強制している。ふざけるなと言いたい」と怒りをあらわにした。
次に、上原正光さん(基地いらないチーム石垣、農家)が映像を見ながら、石垣島陸自ミサイル基地の建設状況を紹介した。
最初に、中国大陸から見た、日本列島や琉球弧そして台湾、フィリピンが連なっている。ここが中国との関係で、ミサイル基地化されている。2016年与那国島の自衛隊基地が開設され、2019年に奄美・宮古島で自衛隊ミサイル基地が開設された。来年3月に石垣島で陸自ミサイル基地が開設される。それは完成ではなく、増幅されていく。
八重山諸島・石垣島の真ん中に位置する於茂登(おもと)岳の中腹で、陸上自衛隊のミサイル基地が建設中。たくさんの重機が入り、豊かな森を壊して、隊庁舎や弾薬庫・覆道射場・車両整備場などが作られている。駐屯地には、警備部隊、地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊などが配備される予定。
ドローンで撮影した石垣島・陸自ミサイル基地建設の様子が目の前に映し出された。造成中の基地。緑の大地の中に山を切り開いた茶色の基地。13㌶のゴルフ場だった場所だ。その周りの緑の部分は軍事訓練場。そこを県道87号線が通っている。弾薬庫4つのうち、3つの建設が進んでいる。570人の配備が予定され、市内には150戸の住宅が用意されている。市議会議員が一人出せるくらいだ。議会がますます保守化していく。基地の近くには30世帯の集落がある。弾薬庫から150mという近さだ。
与那国島。ミサイルでの避難訓練を住民20人参加でやった。議会では島を出る資金の供出、シェルターを作れと要求している。11月17日、自衛隊の装甲・戦車が空港から4㎞を往復した。いつでも入れるというデモンストレーションだ。宮古島でブルーインパルスが曲芸飛行を披露した。基地の前に畑があるメロン農家は監視カメラで常時監視されているのが苦痛だと訴えている。
石垣島で、次は米軍が来るのではないかと不安がある。市長は基地が開設したら避難訓練が必要だと言っている。パインやキビ畑の目の前で基地建設が進んでいる。戦争になったらどうなるのかと不安がある。住民と弾薬庫の間、壁もない。住民を守るものがない。こうした実情を暴露する準備をしている。しかし、運動の中にはあきらめムードもある。反対運動をするリスクも大きい。
埠頭の人工島は77~85㌶になった。海上保安庁第11管区の17隻が係留されている。これは日本全国の68隻態勢の一部として繰り込まれている。海保は海の警察と言われるが、武装を強化している。機関砲やヘリも2機搭載している。次の戦争に準備しているようだ。
質問に答えて
ドローン規制が厳しくなっている。重要土地規制法とドローンとの関係はあいまいだ。昨年6月20日から、基地周辺の300mはドローン飛ばしてはならないとしている。石垣島はまだ規制されていない。
石垣島市議会の現状。2022年1月27日選挙。22議員総数のうち、基地反対派は8人。配備反対の声が聞けなかった。8年前は反対で当選した。今回の選挙では反対の決議をした4地区の反対の看板がはずされた。反対派も基地開設を前提にしている。
重要土地規制法についての不安はあるのか。弁護士を呼んで学習会を1回行った。市民には十分伝わっていない。宣伝カーでの訴えや反対のパレード。1回こっきりで終ってしまっている。デモ行進、コロナ感染拡大でできなかった。
シェルター。奄美・宮古島では、反対派の中から、シェルターを作れという要求が出てきた。石垣市の総務課は「危ないミサイル基地を作るのだから、シェルターを作るべきだ」と言っている。市民の間で分断ができている。シェルターを作れということがどういうことなのか、話し合いの場がない。悪い方向に進んでいる。
本土からの支援、求められることは。運動にはカネがかかる。石垣島だけでなく、奄美なども含めて運動を支える基金を作るべきだ。私は単独でドローンなどをやっているが参加しやすいように基金を作るべきだ。台湾、韓国の人々との人的交流が必要だ。
台湾は農業が進んでいる。アジアの農民交流・連帯、労働者交流・連帯すべきだ。東アジアの交流が必要だ。翁長元知事の提言、与那国島の運動の中から、そうしたビジョンがあった。福島原発の問題は福島だけの問題ではない。私は福島のことが離れない。かつて東アジア平和行進があった。台湾、済州島、沖縄。復活させるべきだ。
次に、上原正光さんと与那国島出身の大仲尊さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)の対談が行われた。
大仲さん。「11月17日に、自衛隊のMCVの戦車が入った。悪魔の日だ。賛成している糸数町長は何を考えているのか。与那国島だけの問題はない」。
上原さん。「沖縄出身の国会議員は石垣島で住民説明会をやれと要求している。説明会は過去7回やった。2019年3月1日、開始のセレモニーもなく、工事を始めた後の3月27日に反対4地区を集めて説明会をやった。地区住民以外は入れなかった。万が一何か起こったらどうするか、そうした質問に一切答えなかった。一つの島では限界がある。運動を支えることが重要だ」。
「石垣島の基地建設現場で赤土の搬出について、北海道の人の指摘で、赤土防止条例に抵触することがあった。ゲート前の警備員に話したが知らないと言っていたがその後清掃している。辺野古の闘いに学びながらやっている」。
大仲さん。「与那国島の自衛隊基地は2016年に開設された。その時基地に行き、基地の中を見せてくれと言ったら、見せられないと拒否された。駐屯地の看板には与那国織の意匠が看板に貼り付けていた。こんなことが許せるか。最初、沿岸監視部隊とされていたが弾薬庫などが増殖されている。そして、先月戦車が民間道路を走った」。
「シェルター問題で現役の町長が、島を抜けたい人には町が支度をすると発言する。人口が増えるので自衛隊基地に賛成したというのにこの態度の変容だ。前町長がひどすぎたので、基地反対派の改革会議も現町長支持にまわってしまった。八重山新報など地元の新聞に投書しておかしい、何やっているのかと言ってほしい。島の中では言いずらいから」。
上原さんが「命と暮らしを守るおばあの会」の毎月日曜日午後4~5時のスタンディングの写真を紹介した。そこには横断幕を掲げ元気よく闘う女性たちがいた。
続いて、池田五律さん(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)が「安保三文書・日米共同演習」について解説した。詳細なレジメが用意されたが時間の関係で、要点のみの提起となった。
重要土地規制法で、基地などの周辺・関係者の個人情報を国に提供し、管理できるようにする。これは今まで自治体が個人情報を保護するということを変更するもので、自治体に保護情報を出すなと要求しよう。
安保三文書とは、Ⅰ 南西諸島(琉球弧)の自衛隊増強は2013年から本格化した。Ⅱ 新しい国家安全保障戦略と琉球弧 配備から平素からの対処態勢構築へ。住民を避難させる国民保護の強化や、有事に偽情報を拡散し、住民の動揺を狙う「認知戦」への対処もねらう。Ⅲ 日米共同演習 偶発戦争の危機を高める「戦争のような演習」の恒常化。Ⅳ 国家安全保障官僚による情報戦、認知戦に抗して 今こそ非武装の思想を!
最後に行動提起が行われた。1月27日午後6時半、建白書10周年、日比谷野音集会・デモ。 (M)
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