投書12月3日の新聞を比較する
─安保政策の大転換にあたって─
SМ
12月2日・金曜日、自民・公明両党は、相手国領域内の軍事拠点を攻撃する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を認めることで合意した。日本の安保政策(安全保障政策)の大転換だ。
12月3日・土曜日の新聞(『東京新聞』『朝日新聞』『毎日新聞』『日本経済新聞』『読売新聞』各朝刊、『神奈川新聞』『産経新聞』『日刊スポーツ』)がこのことをどう報道しているか、図書館でパラパラとみてみた。 『東京新聞』が一番大きなあつかい、『朝日新聞』『毎日新聞』が次に大きなあつかいだ。ほかは比較的小さなあつかいといえるかもしれない。『東京新聞』は3面の社説で「強く憂慮する」、『朝日新聞』は3面で「現場には戸惑いの声も漏れる」、『毎日新聞』は3面で「……政府・与党が主張する抑止力の強化につながるのか疑問も残る」とした。『神奈川新聞』は1面で「集団的自衛権行使容認に続き、憲法9条の精神に基づき堅持してきた専守防衛の変質がさらに進むとの指摘は免れない」としつつも2面で「……国内外に透明性を持って説明を尽くす姿勢が不可欠だ」などとした。『読売新聞』『日本経済新聞』各1面は「客観的」な書き方だ。政府追随ではないだろうか。
『日刊スポーツ』社会面は、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有の問題にいっさいふれていない。『産経新聞』は1面のコラム(「産経抄」)で「自民、公明両党が2日、反撃能力の保有で合意したのは前進である。だが、憲法9条が現状のままでは、ディフェンスはもろく不安はぬぐえない」、2面の社説で「与党の決断を高く評価したい」「専守防衛違反として保有反対論が一部にあるが、国民を守らない無責任な主張である」「専守防衛を盾に保有に反対したり、『歯止め』ばかりに着目したりするのは、厳しい安全保障環境を直視せず、自衛隊を羽交い締めする反国民的謬論(びゅうろん)だ」などと書いている。
なお、『東京新聞』は「崩れゆく専守防衛 検証 敵基地攻撃能力」という連載(全5回プラス特別編)を掲載した(第1回は2022年11月23日・水曜日朝刊1面)。また、『産経新聞』は「転換 日本防衛―「防衛力」のあり方」などという連載(全3回)を掲載した(第1回は2022年12月7日・水曜日1面3面)。
この間の新聞・テレビをみた印象では、新聞・テレビにとっては「安保政策の大転換の問題」よりも「サッカーのワールドカップ」の方が大問題であるようだ。
インターネットのレイバーネット日本では、次のように指摘している。「岸田政権は「5年間で43兆円」という天文学的軍拡を公式に表明し、「敵地攻撃」などを明記する「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の軍拡「3文書」を間もなく閣議決定しようとしています。これに対して、国会やメディアで行われている議論は、「財源はどうするか。増税か国債か」「敵基地反撃が容認されるのはどういう場合か」というものです。大軍拡と「敵地攻撃」を前提(既定路線)として、その方法論に議論が集中しているのです。明らかな議論のすり替えであり、問題の核心そらしです……」(「アリの一言:2つの核心そらし――大軍拡と統一教会問題」)。
鎌田慧さんは述べる。「十一月下旬になって「政府有識者会議」は、「我が国の反撃能力の保有と増強が抑止力の維持・向上のために不可欠」との報告書を岸田首相に手渡した」「……政府有識者会議は元駐米大使や元防衛次官などのほかに、読売新聞社長、日経新聞顧問、元朝日新聞主筆などのマスコミ人で構成されている」(2022年12月6日・火曜日、『東京新聞』朝刊23面、「本音のコラム」、鎌田慧「トマホーク500発」)。
「平和の党」は完全に死んだ。『産経新聞』はゲーリングそのものだ。テレビ番組は『産経新聞』に近いものが多いというのが私の印象だが、どうだろうか。
国境なき記者団(フランスのパリに本部があるジャーナリストの団体)が12月14日に発表した報告書によると、ことし(2022年1月から12月1日までに)世界で取材活動に関連して命を落としたジャーナリストは57人にのぼるというが、日本では「殺す側」に立っている「ジャーナリスト」もいるようだ。
「紙の新聞」にするか「他の新聞」にするかはともかく、「あたらしい日刊新聞」が必要だ。「敵基地攻撃能力保有反対・カルト宗教規制」で臨時政府を樹立しよう。朝鮮や中国などの人びとを「ファシスト」から守る防衛隊を組織しよう。自由・平等・平和。天皇制反対。差別も暴力もない世界を実現しよう。
(2022年12月19日)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社