クーデターから2年
「ビルマの今」
在日ビルマ人コミュニティ主催
さらに連帯強化を
1月14日午後2時から、東京・連合会館で「クーデターから2年 ビルマの今」が在日ビルマ人コミュニティ主催、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委の後援で開かれ、160人が参加した。
2021年2月1日、ミャンマーで軍がクーデターを起こし2年が経とうとするが、抵抗運動に対して、無差別発砲による虐殺・逮捕、拷問などで押しつぶした。そして少数民族と連携して抵抗する若者たちに対して、空爆や集落全体を焼き払うなどの攻撃を行っている。その結果、すでに2000人以上が死亡し、1万5000人が拘束され、70人以上が死刑囚とされ、4人が処刑された。
国連の人権機関や世界の人々が抗議する中、ロシアや中国は軍に武器を提供し、日本政府はODAや経済協力を続けている。日本での支援や連帯のあり方を考える機会として集会が持たれた。
国軍による不法
な選挙をやめろ
最初に、ソーバラティンさん(ミャンマー挙国一致政府〈NUG〉駐日代表)が「ビルマ/ミャンマーの現状とNUGの活動」を報告した。
「国内外の支援を受けている。CDM(市民不服従運動)は軍の攻撃に対して闘っている。NUGは海外の9カ所に事務所を置いている。ASEAN、EUの協力も得ている。NUGやPDF(市民防衛隊)を認めてくれる人も増えている。フェデラル民主連邦 の草案をまとめている」。
「クーデター後、逮捕・拘束され、死刑判決が出され執行もされている。町や村を焼き払い食料を奪っている。私はカレン民族だがかなりの人が亡くなった。そうした状況の中で、軍評議会と日本政府は、1月10日、ミャンマーでの販売促進のための経済協力の動きを行った。そうした事態を考えてほしい」。
「今年、軍評議会は選挙を予定している。それは不法な選挙になる。われわれはそのままにしておかない。その選挙を日本が支持するのをやめてほしい。NUGを政府として認めてほしい」。
軍政と闘うさま
ざまな人びと
次に北角裕樹さん(ジャーナリスト)が「軍の弾圧と抵抗する市民」の報告をした。
「クーデター後の4月にインセン刑務所に1カ月拘束されていた。真実をしゃべることができないので、自分たちの代わりに伝えてほしいと拘束されたミャンマーの仲間に言われた。その人たちはまだ拘束されたままだ。昨日、ミャンマー側のタイ国境で取材してきた。そこで『将来をあきらめない』とよく言われた」。
「私はクーデター以前、7年ヤンゴンに住んでいた。民主化が進んでいく時代、アウンサンスーチー時代で自由が拡大していった。ジャーナリスト、新聞・週刊誌、放送局、シネコンが新しくでき、未来が開かれていった。映画人は大作を作ったり、田舎の貧困問題をテーマにした。素直な情熱があふれていた。クーデターによって、夢がすべて奪われた。昨年3月メディアの創設者が捕まり、2週間拷問を受けた。その人と独房が隣りあわせだった。24時間尋問され、電気をあてっぱなし、棒で殴られた。つらい思いをしたが耐えた。今もインセン刑務所にいる」。
「別の人の話。2年弱、タイ国境に今でも潜んでいる。大きなタイの町にはミャンマー人が5万人もいる。難民キャンプに固まっているわけではない。アニメの第一人者のアニメーターは政治的イラストをたくさん発表した。軍司令官の地獄の鬼のような姿を描いた。国内に居たいということで留まり続けた。しかし、2カ月前にタイへ。風刺画を描きながら抵抗している」。
「結婚式の写真を撮るカメラマンもデモに加わっていた。その後少数民族地域で武力闘争へ参加。そこでひどいケガをした。5~6人が亡くなり弟も死んだ。タイ側に運ばれ、右足を切断した。義足になったがミャンマーに戻り、PDFに合流した。そこで写真を撮っている。リハビリや定期的な診断を受けなければならないのに、軍政をくつがえすために全部のことをやりたい、長く病院に入りたくないと言っていた。今紹介した人たちの根っこの思いはひとつだ。いっしょにがんばりたい。応援をよろしく」。
大使館の職を投げ
打って未来のために
次に、アウンソーモーさん(元駐日ミャンマー大使館員)が「市民不服従運動とは」として、報告を行った。
「大使館で働いていた。クーデターによって、すべて失われた。未来を奪われた。ここから抜け出すために何をするのか。軍人が奪ったものは正しい方向ではない。長く平和に生きられることを考える。『みんながいいことをする』、仏教の教えだ。それでCDMに参加した。後悔したくない。困難な時、新しい世代のために、後輩たちのために道を切り開くという強い思いがある。われわれは軍の制度に対して革命を起こしている。革命の意義をしっかり考えてほしい」。
「日本とミャンマーの友好関係について。国民同士が友好になることが大事だ。春の革命の時、中国の人たちを嫌った。理由は(軍を支える)中国の影響が強いからだ。国だけでなく中国企業のじゃまをした。日本の著名な人たちが軍と関係している。ミャンマーの人たちは反対している。今後どう思うか考えてほしい。良い関係、敬意を持っていけるように願っている」。
NUGこそ正当
性を持つ代表だ
石橋通宏さん(ミャンマーの民主化を支援する議員連盟事務局長/立憲民主党・参議院議員)が議連の取り組みを報告し、連帯のあいさつとした。
「議連は超党派で、2000年代から活動している。2011年から民主化が確かなものになっていった。それなのにクーデターが起きた。悔しくてならない。議連はすぐに集った。絶対に許してはいけない。武力行使の停止を求め、平和と人権を取り戻すために活動してきた。真っ先にCRPH(ミャンマーの連邦議会代表委員会 )との会合、5月26日、NUGと初めての会議。NUGを応援していく。NUGこそ正当性を持つ代表である。政府にNUGを承認するように要請している。日本政府の歩みに不満がある。まるで、国軍をサポートしているのではないか。一昨年6月、クーデターを認めず、民主化を支援する、政府に実行を求める国会決議を衆参で行った。しかし、政府は経済制裁やODAを止めてこなかった。様々な支援をしている。選挙をも支援しかねないと懸念を持っている。国軍の正統性を認めない、選挙なんて認めない」。
「国軍は人々への武力行使、虐殺、村を焼き、子どもたちへ被害を及ぼしている。こうした横暴を止めるために国軍へプレッシャーをかけなければならない。ミャンマーへの注目が減っている。われわれは行動しなければならない。共に行動していこう。2月1日には議連やNGOなどが集り、院内集会を行うのでぜひ参加してほしい」。
ミャンマー軍政
との関係を断て
ミンスイさん(在日ビルマ市民労働組合委員長)が「在日ビルマ人の思いと活動」を報告した。
「ミャンマー軍はロシアから武器を買っている。ロシアのウクライナ侵攻に対して、日本は経済制裁している。岸田首相は平和・民主主義を言うなら、なぜ軍を後ろから支えているのか。日本ミャンマー協会の渡邊秀央や日本財団の笹川洋平はミャンマー軍とつながっている。これを放っておいていいのか」。
「在日ミャンマーたちが駅で募金活動をしている。その時、支援の声をかけてほしい。そうすれば力になる。民主主義・人権いつ取り戻すのかと言われる。ミャンマー人だけでは力が足りない。国際的支援が必要だ。必ず勝利するまでがんばる。日本政府を動かす。それを邪魔する人たちを知ってほしい。国軍を倒して新しい国を作ってもマイナス10から始めなければならない。みなさんの力を借りて民主主義・平和・法律を取り戻す。日本政府の言い訳、取り逃がさないために全国に声を届けてほしい」。
藤本泰成さん(総がかり行動実行委共同代表)が、「日本の入管行政のひどさを紹介し、国内の人権改善のための闘いとミャンマー連帯をつなげていくことの重要性を訴え、そうした闘いによって、日本の将来が見えてくる」と閉会の言葉を述べた。
クーデターから2年、軍評議会が今年総選挙を予定していて、重大な局面が訪れようとしている。日本政府並びに軍政とつながり、利益をむさぼろうとする日本ミャンマー協会などの動きを厳しく追及していこう。。より一層のミャンマー民主化連帯。 (M)

週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社