2.10GX推進法の閣議決定に抗議
福島原発事故は終わっていない
原発依存の
全面回帰
【東京】2月10日、冷たい雨の中を正午から、この日の閣議で岸田自公政権が「原発の最大限活用」などを盛り込んだGX(グリーン トランスフォーメーション)を閣議決定したことに抗議する行動が行われた。この閣議決定は、福島原発事故以来の原発政策を公式に転換しようとするものだ。
「福島原発は今も緊急事態宣言下にある。溶け落ちた燃料デプリの回収撤去と称してロボット開発と壊れた原子炉への投入など無駄な実験に金とエネルギーを費やしているが、何も進捗していない。しかし、一方2022年5月に、1号機格納容器内調査で原子炉を支えるペデスタルの基礎が溶融しコンクリートが溶け鉄筋と鉄骨がむき出しになっている写真が公開された。建築の地震評価からすると外観だけで全壊と判断できるという」
「政府と東京電力が躍起となっているのは『ALPS処理水』の海洋放出だ。その条件整備として漁業関係者への説得工作を強化し、新たな基金を創設した。またIAEAなど国際機関の権威の利用や新聞折り込み、高校生を対象にした説明会の開催や各省庁を挙げプロパガンダを行っている」。(本紙2023年新年号/巨利むさぼる電通と大企業 汚染水海洋放出反対の運動を)。
今回の閣議決定は、まさにこうした政府と東電などの大資本による、「福島はもはや原子力事故被災地ではない」という、原発に依拠したエネルギー政策への全面回帰の意思を表したものである。
原発のない
社会を
この日、原子力市民委員会、原子力資料情報室、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)、原子力規制を監視する市民の会、気候ネットワーク、国際環境NGО「FoE Japan」などは、この閣議決定に抗議する行動を行った。
「グリーン・トランスフォーメンション」(緑の変革)とは「原発の再活用・新規増設」によってこそ「実現」できる、というごまかしに満ちたスローガンを許してはならない。GX政策の核心は原発の新規建設、60年以上の長期運転の承認という、事故などなかったことにしようとするものに他ならない。
12時からの国会前での抗議行動の中で、大島堅一・原子力市民委員会座長、武藤類子・ひだんれん共同代表、浅岡美恵・気候ネットワーク代表、松久保肇原子力資料情報室事務局長、阪上武・原子力規制を監視する市民の会代表、「フライデーズ フォー・ヒューチャー 東京」の田原美優さんがそれぞれに、「原発を利用する社会は私たちが望む社会ではない」ときっぱりアピールした。
マスコミ各社の多くも一応は、原発の新規建設・長期利用を明確にした岸田政権の原発政策について批判的でないわけではない。しかし基本は「今後のエネルギー・経済政策」において「安全な原発」に依存するしかないという転倒した立場から離れようとはしていない。
福島原発事故から12年、改めて「原発のない日本、そして世界」を実現するために持続した闘いを! (K)

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