沖縄報告 島々を戦場にするな! 沖縄を平和発信の場に! 2・26緊急集会
県庁前広場を埋め尽くす1600人の熱気
沖縄 K・S 2月26日
2月26日午後、県庁前広場で開かれた緊急集会には予想を上回る1600人が結集した。小さな組織や個人、若者が前面に立ち、70団体が名を連ねて、多くの人々の関心を引き付け、自主的で熱気ある大集会が実現した。
集会のメインスローガンは「争うよりも愛しなさい」。そしてサブスローガンとして、「私たちは殺したくない!殺されたくない!Do not kill」「安保関連3文書は憲法違反だ!」「沖縄を戦場に巻き込むミサイル、弾薬庫はいらない!」「島々各地の空港・港湾を軍事利用するな!」「軍拡増税やめて暮らしを守れ!」「国・県・市町村は中国との平和外交に尽くせ!」であった。
集会の前段、知念良吉さんのミニコンサートが行われた。知念さんは伸びのある声で持ち歌の「オキナワンボーイ」などを熱唱した。このころにはノボリやプラカードを手にした人々が続々と詰めかけ、県庁前広場にあふれた。司会は若者ふたり、平良友里奈さんと瑞慶覽長風さん。平良さんは、メインスローガンが「争うよりも愛しなさい」となった経過を紹介しながら「本日の集会が新しい平和集会だ」と宣言した。
主催者を代表して、集会実行委員長の具志堅隆松さんは「戦争になったら保守も革新もない。必要なことはシェルターや避難訓練ではなく、危険な軍事化に反対して声をあげること」と訴えた。
山城博治さんの経過報告に続き、以下の集会プログラムにあるように、20人によるリレートークが1時間にわたって行われた。
沖縄がかかえる問題を網羅したリレートーク
①与那国島・町民の立場で(猪股 哲)
②石垣島(石垣島に軍事基地を作らせない市民連絡会 波照間忠共同代表)
③宮古島(ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会 仲里盛繁共同代表)
④宮古島(宮古島平和ネットワーク 下地博盛共同代表)
⑤ヘリ基地反対協議会(浦島悦子事務局次長)
⑥嘉手納基地爆音訴訟原告団(新川秀清団長)
⑦普天間基地爆音訴訟団(新垣清涼団長)
⑧ミサイル配備から命を守るうるま市民の会(宮城英和事務局長)
⑨沖縄平和市民連絡会(高里鈴代共同代表)
⑩自衛隊の弾薬庫等建設に反対する沖縄市民の会(島袋恵祐共同代表)
⑪VFP〔ベテランズ・フォー・ピース〕(ダグラス・スミス共同代表)
⑫PFAS関係団体(市民の立場から 仲宗根由美)
⑬辺野古県民投票の会(元山仁士郎元代表)
⑭女性の立場で(島袋ひろえ)
⑮台湾有事を起こさせない沖縄・対話プロジェクト(岡本厚共同代表)
⑯嘉手納ピースアクション(伊波義安共同代表)
⑰コドソラ〔子供の空を守りたい〕有志(宮城知子)
⑱教職員ОB代表(仲宗根藤子)
⑲宗教者代表(島ぐるみ宗教者の会 島しづ子)
⑳市民の立場で(泉川友樹)
リレートークはそれぞれの立場から簡潔に、各地域の現状や課題を述べ、これまでの集会とは違った新鮮な印象を与えた。一部をピックアップしてみよう。
「戦後軍事基地がなかった石垣にミサイル基地がつくられている。島を戦場にさせてはならない」(石垣)、「自然災害は人間の力ではどうすることもできないかも知れないが、戦争は私たちが声をあげて止めることができる」(宮古)、「弾薬庫から250mの距離に保良集落がある。反対運動を続ける」(宮古)、「子供たちの未来を壊す戦争は絶対に反対していく」(普天間)、「私の声が大きいのは爆音のせい。基地周辺の人々は母親の胎内にいるときから爆音を聞かされて暮らしている」(嘉手納)、「私はかつて自衛官だった。専守防衛を捨てて軍拡で自衛隊の性格は変わった。沖縄を平和の発信地に」(沖縄市)、「祖母は6歳の時沖縄戦で家族を失い孤児となった。私は今6歳の娘の親となった。平和な世の中をつくることに全力を尽くす」(PFAS)、「教え子を再び戦場に送らない。命ある限り頑張りぬく」(教職員ОB)、「どうしたら隣国と仲良くできるか、知恵を絞り努力する。ウクライナの戦争を止めることができない世界の政治家たちは恥じよ」(宗教者)。
「山川異域 風月同天」日中関係の大切さ
最後に登壇した泉川さんは「東京から駆け付けました。中国との交流に関わる者として、また、琉球人の子孫として今の流れを止めたい」と切り出し、次のように述べた。
「沖縄戦は日本の中国侵略・日中戦争とつながっている。ノーモア沖縄戦と共に、中国との戦争にノーモアと言おう。昨年の日中貿易の総額は、今後5年間の軍事費とほぼ同じ43兆円。日中関係を大事にして発展させよう」。
そして、コロナ禍の中国へ日本からマスクを送るときに箱に記した「山川異域 風月同天」(異と風は簡体字)という言葉をプラカードにして、日中の友好の大切さを説いた。
そのあと、集会宣言(次号掲載)が読み上げられた。垣花豊順さん(第32軍司令部壕の保存・公開を求める会副会長)による閉会あいさつと「戦争を許さない」三唱の後、デモ行進に移った。デモ行進は、久茂地交差点から国道58号線に出て,旭橋交差点を経て奥武山公園入口で流れ解散した。
この日、右翼は街宣車4台を出して集会妨害を行おうとしたが、犬の遠吠えのようで、集会・デモには何の実害もなかった。
軍拡・ミサイル基地反対の
学習会・講演会の取り組み
岸田内閣は閣議決定の手法を多用して、日本の軍拡と増税、米軍と一体化した南西諸島のミサイル基地化を独善的に進めている。前号でも報告した通り、沖縄が再び戦場にされるという強い危機意識から、様々な諸団体が一斉に反戦・反軍拡のアピールを発表するなど、活発な動きを見せている。同様に、各地の島ぐるみ会議も次々と、軍拡やミサイル基地化をめぐって講演会や学習会を開催し、本格的な国会請願署名の取り組みにも弾みがついている。
沖縄の軍事要塞化反対!緊急講演・学習会
南部では、1月18日、糸満市で、島ぐるみ会議いとまん主催による「沖縄の軍事要塞化反対!緊急講演・学習会」が開かれ約60人が参加した。前泊博盛さん(沖国大教授)が「台湾有事と沖縄~安保3文書と南西諸島の軍拡を考える~」と題して1時間半にわたって講演した。2月18日には、八重瀬町で、島ぐるみ八重瀬の会主催で「軍拡・増税・沖縄のミサイル基地化を考える学習会」が開催された。金井創さん(辺野古抗議船船長、佐敷教会牧師)が「沖縄は再び捨て石にされるのか」と題して講演した。約40人参加。
沖縄を平和発信の場に!緊急講演・学習会
2月25日は、南城市島ぐるみ会議主催で、「沖縄を平和発信の場に!緊急講演・学習会」が開かれ、屋良朝博さん(前衆院議員)が「島々を戦場にさせない~南西諸島の軍拡を考える~」と題して講演した。会場の老人福祉センターには約70人が集まった。島ぐるみ会議南風原は2月26日、新基地断念を求める国会請願署名のための第2回学習会を開催し、谷山博史さん(土地規制法廃止アクション事務局)が「〝つくられる戦争”にいかに抗うか。戦争準備、土地規制法と対話の試み」をテーマに講演した。
オール沖縄会議は2月25日、県庁前広場で、国会議員・県議など多数を集めて、初めての街頭署名キャンペーンを繰り広げた。今後、毎週土曜日に街頭署名キャンペーンを継続するとのことだ。
ものすごい勢いで進められていく日米一体化の軍拡に対し、軍事と政治を深く学び闘いの糧としていく動きもまためざましい。3月12日には、ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会主催の「どうなる沖縄~台湾有事シミュレーション」講演会が、宜野湾市民会館で開催される。共同通信の石井暁さんと軍事ジャーナリストの小西誠さんが講演する。国家権力の欺瞞の宣伝に負けないように、よく学び、知識と理論を身につけ、急速に展開する情勢に立ち向かっていかなければならない。
沖縄は古来から、万国津梁、アジアの交流の地・平和のかけはしであって、他国と戦争をするための軍事基地やミサイル基地であってはならない。
辺野古へ土砂を運ぶな!第2回塩川デイに100人以上
昨年11月に続く第2回目の塩川デイが2月21~22日に実施された。本部町島ぐるみ会議が呼びかけて結成された塩川デイ実行委員会(共同代表=仲宗根須磨子、上間一弘)が主催し、「私たちは負けない、諦めない、辺野古新基地を阻止するまで」「一人ひとりの一歩があれば、いつか工事は止まる。さあ、本部塩川港へ行こう!」と広く呼びかけた。
1日目は荒天のため本部塩川港からの搬出はなく、参加者は琉球セメント安和桟橋の出入り口に移動して、土砂搬出に抗議し牛歩行動を終日行った。主催者によると、安和桟橋からの土砂搬出量を通常の約半分に減らすことができた。
2日目は各地から100人以上が塩川港に結集し、土砂を満載したダンプの前でプラカード・ノボリを手に牛歩行動をくり返した。この日の参加は、本部町島ぐるみ会議、ヘリ基地反対協の海上チーム、集まれ辺野古、普天間爆音訴訟団、今帰仁村・うるま市などの島ぐるみなど。辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の大谷正穂さん、阿部悦子さんの顔も見えた。糸満市、豊見城市、南城市、八重瀬町の島ぐるみ南部は大型バスをチャーターして大挙参加した。
防衛局の職員は「通行の邪魔をしないでください」とマイクで繰り返したが、参加者たちは「牛歩行動の正当性」をアピールし、まるで解放区のようになった港内各所で、「埋め立て反対」「海を守る」などのプラカードを手にゆっくり歩きを継続した。参加者の顔つきはみな晴れ晴れとしている。通常600~700台、多い時には900台にも達する土砂ダンプの数を331台に抑えたという。団結こそ力。人が集まれば大きな力を発揮することができることを参加者は実感し、夕方5時、第2回塩川デイの行動を終えた。
「なんで沖縄の声を聞かないのですか?」
修学旅行で沖縄を訪れた
小6生たちが岸田首相に質問
琉球新報2023・2・8に掲載された中村万里子記者の記事が注目を集めた。昨年10月、修学旅行で沖縄を訪れた東京都世田谷区の和光小学校の6年生36人が、自ら感じた沖縄に関する事柄について岸田首相に手紙を出し、卒業する3月まで返事を待っているとのことだ。
生徒たちの質問は基地や戦争に関する10項目にわたり、「一番しょうげき的だった事は米軍基地を作っているのは日本政府だったという事です。国民のために動いてくれている岸田さん達が国民をくるしめている」との感想や、「なんで沖縄の声を聞かないのですか?」「なぜ防衛費をあげるんですか? 教育や子どもにまわした方がいいと思います」「戦争をしたいのですか?」などという率直な質問が並んだ。
こうした子供たちの声に真剣に向き合う社会であるべきだ。




【訂正とお詫び】
前号の石垣陸自基地建設の記事中、周辺4集落の名を(於茂登、開南、川原、嵩田)と訂正します。
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