2・17けんり春闘経団連抗議・要請行動

経団連は全労働者の賃上げに責任を持て
賃金抑圧・格差社会推進を許さない

大企業の内部
留保増額一方
 諸物価上昇が続き日増しに人びとの生活が圧迫される中、労働者の、特に非正規や中小企業の労働者の賃上げ確保が今春闘の切実な課題であることは論を待たなくなっている。政府や財界も言葉の上では賃上げの必要を語り、一部の大企業では自社内での実施を明らかにしている。
 しかし一方で、諸物価上昇が中小企業の経営を圧迫し中小企業での賃上げを困難にしている、との観測が語られている。デフレをいいことに賃上げとはほとんど無縁にされてきた非正規職労働者の条件が温存されたままであること、またその現実に政府も財界も真剣に向き合っていないこともはっきりしている。
 人びとの生活を本当に守ろうとするならば、非正規化の推進や中小企業を犠牲にして、内部留保が500兆円を超えるまでに大企業が利益を積み増ししてきたこの間の構造総体が転換されなければならない。労働組合運動にはそこへの挑戦が求められている。政労使協議などと、政府や経営へのお願いに終止する連合にその構えが皆無である以上、連合傘下の労働者内部に新しい動きが生まれる触媒になることも見据え、けんり春闘や全労連がその不可欠な任務に挑むことが求められる。
 まさにそのような挑戦の1部として、23けんり春闘に結集する労組、争議団の仲間たちが、各争議職場での東京けんり総行動の闘いをつなぎながら同春闘全国実行委員会呼びかけの下に日本経団連会館前に結集、12時10分から日本経団連に対する抗議と怒りを込めて闘争を宣言する大衆集会を行った。なぜ日本経団連か。言うまでもなく、この経営者団体こそが、30年以上にわたる連続的な賃金下落、そして職の非正規化の拡大を推進し定着させてきた張本人のひとつだからだ。
 今になってこの団体は賃上げ容認などと言っているが、その指針である今年の「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)には、この30年以上かれらが進めた前記の路線に対する検証も自省もない。それが語る賃上げ論はあくまで、労働者や社会に対する責任ではなく、今後の利益に資するという観点からの生産性上昇の一部見返りとしての性格付けによるものでしかない。当然ながら内部留保の取り崩しなどの論理は入る余地もない。
 このような姿勢の下では全労働者の賃上げなどとうていあり得ない。

ストライキで
要求の実現を
 このような日本経団連を厳しく糾弾する集会は23けんり春闘全国実行委員会事務局長の野中保夫さんの司会の下に、まず同委員会共同代表の渡邉洋全労協議長の主催者あいさつから始まった。
 そこで渡邉さんは、岸田政権の大軍拡策動の中で物価高が進んでいること、労働者の生活防衛と軍拡が両立不可能な関係にあることに注意を促し、大幅賃上げの闘いは軍拡を撃ち返すことで勝ち取れると訴えた。さらに連合が打ち出した5%要求は最低限の要求であるはずだが、闘いを訴えずその死守の構えさえない連合、また格差に無頓着な岸田や経団連を鋭く批判し、労働組合の真価が問われている、今こそストライキで闘うとき、と闘いへの決起を呼び掛けた。そして力一杯闘いを展開しそれらを持ち寄り4月7日に再び結集しようと締めくくった。
 続いて東水労、東京労組、JAL被解雇者労働組合(JHU)の仲間が決意表明。東水労の仲間は、エッセンシャルワークが非正規労働者によって維持されている現実、それが軍事費の圧迫による総人件費抑圧を通してさらに広げられる危険性を指摘し、何としてもそれをはね返そう、と呼び掛けた。そして東水労として委託先の組織化を含め官民の合同労組をめざし差別と闘う、と決意を表明した。
 東京労組の仲間は、東京労組が中小職場と非正規で構成されていると紹介した上で、15年で3000円の賃上げにしかならない実態もあると現実を明らかにし、最低賃金1500円/時要求は死活問題と強調、最賃闘争に真剣に取り組むことを強く呼び掛けた。
 JHUの仲間は、実質賃金下落の対極に大企業の内部留保膨張と軍拡がある現実を指摘し、実質賃金下落による貧困進行を放置してインバウンド需要に頼るあり方をひっくり返そうと訴えた。そして自分たちの闘いは、そのようなあり方への異議突き付けも含めた経営上必要がないのに解雇が容認されることへの反撃だ、として支援を訴えた。 次いで移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の仲間が外国人労働者のけんりを守る闘いが重大な局面にあることを訴えた。ひとつは技能実習制度見直し議論の問題。多くの問題が白日の下に引き出され政府の使い捨て政策が問題になり見直し議論が始まっているが実態は表面だけ、厳重な監視が必要であり本物の見直しに向け大きく声を上げようと呼び掛けられた。 もうひとつは入管法改悪。前回は名古屋入管におけるウィシュマさんの許し難い虐待死事件が明らかになり反対の声が沸騰する中政府が廃案に追い込まれたが、今また基本的に同じものが上程されようとしていると、怒りを込めて明らかにし、再度声を大きくし圧力を高め廃案に追い込もうと力を込めた。
 集会参加者はこれらの訴えに大きな拍手で応えつつ、厳しい情勢を闘いではね返す決意を込め、大幅賃上げを勝ち取るぞ、ストライキで勝ち取るぞ、格差社会を許さない、最低賃金1500円実現、などのシュプレヒコールを一帯に響かせ、最後に全体の団結ガンバローで集会を締めくくった。

底辺から労働
組合の再生を
 メディアを含め賃上げが必要の声は広がっているが、そこに労働者の闘いを促す声は極度に小さい。たとえば日本の多くのメディアは欧州で広がっているストライキの波をほとんど伝えず意図的に黙殺しているように見える。そこには民衆の主体的な立ち上がりを可能な限り抑え込みたい、との支配的エリートの願望が確実に反映されている。
 そうであればなおさら、意識的にストライキを底辺から対置する闘いが今こそ重要になる。そのような闘いこそが労働組合の再生につながる。現にイギリスではストライキ行動が労働者の労組への結集を促進していると報告されている。23けんり春闘や全労連のそのような挑戦の発展を全力で支えよう。    (神谷) 

大軍拡を撃ち返し全労働者の大幅賃上げを日本経団連に闘いを宣言(2.17)

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