3月4~5日 島々を戦場にさせない!全国集会in石垣島

南西諸島を戦争の基地とするな

沖縄報告 3月5日 沖縄 K・S

 日本政府による奄美・沖縄へのミサイル基地網建設は急激な勢いで進展している。奄美、宮古島に続き、今月に石垣島、来年3月までにうるま市勝連にミサイル部隊が配備され、さらに与那国島でもミサイル基地のための用地取得が進んでいる。陸自駐屯地の3月16日開設に向けて自衛隊車両200台の搬入が強行された石垣島では、陸自NO!ミサイルNO!の行動が行われた。

基地建設の現場をめぐるフィールドワーク


 3月4~5日の両日、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会が主催して、陸自石垣駐屯地の開設に反対する現地視察・交流会・全国集会とデモが行われた。
 4日土曜日は交流集会に先立ち、基地建設の現場をめぐるフィールドワークがあった。はじめに、バンナ公園の頂上付近の渡り鳥観察所展望台から於茂登(おもと)岳ふもとに建設中の自衛隊基地を観察した。市民連絡会事務局の藤井幸子さんは、住民の合意のないまま強行されていく基地建設の様々な問題―水の汚染や騒音、弾薬庫の危険、環境破壊、カンムリワシの営巣への影響などを厳しく批判した。そのあと、大里農道に移動し、自衛隊車両の出入り口ゲート予定地から突貫工事中の基地建設の現場を確認した。続いて、正門ゲート前に移動した。基地の管理は3月1日から防衛局から自衛隊に移されてた。衛所が出来上がって自衛官が詰めており、ゲート前にはアルソックが10人、警備に立っていた。

於茂登公民館での交流集会に70人


 午後4時からの交流集会は於茂登公民館で開催された。於茂登集落は戦後間もない時期に開拓がはじまり幾多の労苦の上で築かれてきた農村である。ここにまた自衛隊基地がつくられ、生活基盤が破壊される危険に直面することになる。交流集会ははじめに、地元の嶺井善さんがあいさつに立ち、「ようこそ石垣に。きょう3月4日はサンシンの日。日本では床の間に刀を飾るが、沖縄ではサンシンを飾る。私たちは5年余り反対運動を続けてきた。住民の声を無視して基地を造る。これが民主国家を名のる国がやることなのか!」と述べた。
 「基地いらないチーム石垣」の上原正光さんは、自身が撮影したドローン映像をスクリーンに映しながら、基地建設進行の様子を詳しく説明した。
 引き続き、参加者の発言に移った。神奈川県厚木基地の爆音訴訟調査研究センターの矢野亮さん、沖縄とつながる京都の会の大湾宗則さん、1971年に自衛隊の沖縄派兵の中止を求め懲戒免職になった5人の自衛官のひとり・小多基実夫さん、島ぐるみ八重瀬の会、ノーモア沖縄戦・命どぅ宝の会の与那覇恵子さん、アジア連帯講座の吉鶴さんらが報告と意見表明を行った。最後に、5日早朝の抗議行動への結集が提起され、4日の行動が締めくくられた。

日曜日早朝、軍用車両の搬入に抗議

 翌5日日曜日、前日までに陸上げされていた陸自車両の搬入に抗議するために、夜明け前からノボリやプラカードを手に数十人が大型バスの待機場として使用されているゲート出口に集まった。徐々に夜が明けはじめ、熊本ナンバーの白い乗用車を先頭に自衛隊車両が並び港内から市街地に出る準備を整えた。30才前後と思しき一人の自衛官がゲート前に出てきて「道を開けてください」と繰り返す。ゲート前に立ちふさがった人々は「戦争への道は開けられない」と応じた。騒然たる雰囲気の中でにらみ合うこと30~40分。私は自衛官に「自衛隊は歓迎されていないよ。沖縄に軍事基地を置いてはいけないんだよ」と話しかけた。しばらくして、警察機動隊が強制排除を行い、辺野古と同じように歩道に設置した柵に人々を囲い込み、自衛隊車両のための道を開けた。装甲車両、大型トラック、クレーン車、ミサイル発射機搭載大型車など、さまざまな用途の軍用車両が連なり陸自駐屯地へ向かった。

全国集会・市中デモに200人


 午後1時半から、石垣港近くの新栄公園で、「島々を戦場にさせない!~ミサイルより戦争回避の外交を~全国集会in石垣島」が開催され、石垣市内及び県内外から200人が参加した。会場には、「退職教職員会八重山支部」「南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会」「郵政シルバーユニオン」などのノボリが林立した。
 はじめに、石垣市民連絡会の上原秀政共同代表があいさつをした後、ミサイルいらない宮古島住民の会、普天間基地爆音訴訟団、ヘリ基地反対協、島々スタンディング(埼玉)、40人のツアーで参加した日本アジア・アフリカ・ラテンアフリカ連帯委員会、沖縄の全県組織立ち上げ準備委員会が発言した。宮古の清水早子さんは「軍拡の嵐が押し寄せている。全国一丸となって闘おう」と強く呼びかけた。そのあと、石垣市の住民によるリレートークが続いた。
 「私たちは普通に暮らしたいだけ。子ども達の未来のために声をあげる」。
 「これからもいろいろ問題が出てくるだろう。沖縄全体で、日本中で考えてほしい」。
 石垣市野党連絡協議会の花谷史郎市議は「昨年12月、市議会で攻撃能力保有に反対する決議をあげた。8人の少数野党だが、石垣島をまもるために全力を尽くす」と語った。いのちと暮らしを守るオバーたちの会のメンバーは11人がそれぞれバナーを掲げて登壇し、リーダーの山里節子さんが「毎週日曜日、スタンディングを続けている。いくつになっても闘いを止めない。力を合わせよう」と訴えた。
 集会アピール(別紙)を読み上げ採択した後、市内を一周するデモ行進に移った。先導車のマイクに合わせて、参加者たちは「石垣島にミサイルいらない」「東シナ海を平和の海に」「ミサイルより対話と外交を」などと叫んだ。

2023.3.5午後 新栄公園で開かれた「島々を戦場にさせない!全国集会in石垣島」とデモに200人。
2023.3.5 石垣港大型バス待機場ゲート前。自衛隊車両搬入に対する抗議行動。
2023.3.4 島々を戦場にさせない!全国集会in石垣島。於茂登公民館での交流集会。
2023.3.5 石垣港大型バス待機場ゲート前。自衛隊車両約200台が列をなして搬入。

島々を戦場にさせない! 
全国集会in石垣島アピール

 今日、私たちは県内、全国各地そして石垣島の各地域から「島々を戦場にさせない!」との思いで集いました。
 2015年に与那国島に自衛隊監視部隊、2016年に宮古島、奄美大島にミサイル部隊等が配備され、戦後78年基地の無かった、ここ石垣島にも去る3月1日から開設準備が始まり、16日にミサイル部隊等を発足させようとしています。馬毛島では新たな建設が強行されました。うるま市に加え与那国島にもミサイル配備、全国の自衛隊基地の地下施設や強靭化が進められようとしています。
 「安保関連3文書」改定を閣議決定し、専守防衛から反撃能力=敵基地攻撃能力保有を認める憲法違反の大転換を国民に説明もなく国会で議論することもなく、アメリカとの約束で進める政府。「台湾有事」を前提に、5年間で43兆円という大軍拡。住民避難やシェルター設置が当然のように語られ、戦争への準備を進める動きに多くの市民が不安に思っています。八重山、沖縄の島々が、全国の基地のある街が戦場になる道はイヤです。
 私たちの命を守り安心して学び、働き、暮らしていくために出来ることは何でしょう。誰もが「戦争はダメだ」「戦争はしてはならない」という声をあげることです。78年前の地獄の沖縄戦を強いられ、占領下も復帰後も基地あるが故の事件・事故に人権を踏みにじられた沖縄から、原爆を投下された広島、長崎から、空襲で街を焼かれ命を奪われ、戦争で家族を奪われた全国各地から声をあげましょう。今こそ「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意する」と宣言した憲法を活かす時です。政府に戦争回避の対話と外交を求めます。
以上決議します。
2023年3月5日
「島々を戦場にさせない! 全国集会in石垣島」参加者一同

宛先:内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、衆議院議長、参議院議長

島々を戦場にするな! 沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会宣言


 私たち沖縄県民は平和を愛する民です。私たち沖縄県民は「命どぅ宝」を大切にしてきました。人を殺すこともまた殺されることも望みません。私の命も隣の人の命もどれも同じように大切です。私たちはすべての戦争を拒否します。ミリタリーパワーよりピースパワーを拡げていきましょう。沖縄生まれたこの理念を世界の仲間たちにも拡げていきましょう。私たち沖縄県民は、文化を愛し、文化を育んできました。文化は国境を超えます。
 三線の音色は人と人とを結びつけてくれます。ミサイルではなく、文化のリボンを飛ばしましょう。
 今日ここに、私たちは戦争をしない、戦争をさせないという共通の想いで集いました。私たちの願いは一つです。これからの子どもたちのためにも、戦争のない平和な世界を残すことです。
 しかしそれとは裏腹に、政府は軍備の増強に走り、日本国憲法の平和理念にも反する安保関連3文書という軍事大国化計画を国民への十分な説明もないまま、勝手に閣議決定しました。私たちはそのことを許すことができません。
 さらには軍備増強のために増税をするとまで言い出しています。私たちはそれを認めません。断固反対の意思をあらためて表明します。政府は対外的軍事緊張をもたらすミサイル配備をやめて、対話による外交の充実・強化こそを図るべきです。78年前の無謀な国策によって地獄の沖縄戦を強いられた私たち沖縄県民は、政府に対して二度と戦争を引き起こしてはならないことを強く求めます。
 他方、全国の自治体においても独自の自治体交流を通して隣国中国と平和交流の強化を図るよう要請します。現在全国の自治体においては、47都道府県をはじめ332の市町村が中国の省や市町村と友好都市提携などを交わしています。東京都は北京市と大阪府や横浜市が上海市とそれぞれ提携しています。沖縄においては沖縄県が福建省と、那覇市は福州市と提携しているほか、浦添市は泉州市、宜野湾市はアモイ市、南城市は江陰市と県内では5つの自治体が友好都市提携を交わしています。
 1978年に締結された日中平和友好条約をふまえ、さらに多くの自治体が中国と経済や文化、芸能、スポーツなど多面的で交流を推進することが軍事拡大を図るより効果的な抑止力、平和をつくり出す力となると確信します。私たちは全国の自治体がさらに中国各地と交流を深め平和友好の絆を強めて日中間に漂う暗雲を吹き払い関係改善を果たすよう要請します。
以上決議します。
宛先:衆議院議長、参議院議長
内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、国土交通大臣
全国知事会、全国市長会、全国町村会

2023年2月26日
「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」参加者一同
(紙面の都合で掲載できなかったので、今号に掲載します。編集部)

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