3.5マーチ・イン・マーチ2023

移住労働者の権利確立を! 入管法改悪反対!

 【東京】3月5日午後1時半から、日本で働いている移住労働者、そしてけんり春闘に結集するさまざまな労組の仲間が集い、移住労働者の生活と権利のための3月行動としてマーチ・イン・マーチが上野で行われた。主催は「マーチ・イン・マーチ2023」実行委員会。
 この行動は、1993年から歴史を重ねてきた移住労働者の春闘の意味も重ね合わせた行動。普段は会う機会も少ない様々な国の労働者が一堂に会し、互いの経験や状況を知り合い、共に権利確立を目指す団結を深める行動として継続されてきたが、交流もかねたコンサートも同時開催されるように発展、楽しみの場ともなっていた。そして宮下公園や日比谷公園小音楽堂などの会場を経由してこの何年かは上野公園水上音楽堂が会場となってきた。
 この移住労働者が声を上げる貴重な機会がこの3年はコロナパンデミックによって奪われていたのだが、今年ようやく復活できた。ただ今年は上野公園水上音楽堂が改修中で使用できず、いきなり上野公園湯島口からのデモ、解散地点での集会、という変則。それでもデモ出発時間めがけて多くの移住労働者が満を持して結集、3年ぶりの行動に心を躍らせながらけんり春闘の仲間と共に力強いデモを実現した。
 デモは例年通りブラジルからの移住労働者の色鮮やかな鳥の羽をあしらったサンバ隊が先導、リズミカルな太鼓に合わせ「奏でよう移住労働者の声を! March in March 移住労働者の権利を確立しよう」と大書した横断幕を先頭に、さまざまな組合旗を林立させカラフルなプラカードを掲げた隊列が進む。アメ横を突っ切る通りを進むこの元気一杯のデモは、多くの買い物客や外国人観光客で溢れる沿道から他では見られないような注目を集めた。

入管法改悪を
絶対に許すな
 そしてデモ終了後解散地点の公園で、全国一般なんぶと全統一労組の移住労働者の司会の下に集約集会が行われた。まず主催者を代表しけんり春闘全国実行委員会共同代表の渡邉洋さんが発言。多くの国から日本に来て働いている労働者が一緒にデモを行い、シャツをつくっているのは私、コンビニ弁当を作っているのは私と声を上げ、平等な権利確立に向け闘いを進めることをアピールした、とこの日の行動の意義を共に確認しようと呼びかけた。そして、けんり春闘もその闘いを引き受け、特に今政府が画策している入管法改悪の阻止に全力を挙げると決意を表明した。
 次いでさまざまなアピールが続いた。いくつか紹介すると、まず全統一労組からは、ホテルで清掃業務に就いていたフィリピンの移住労働者の闘いについての報告。これは、労組を結成して権利主張を行ったことへの報復と言える組合員全員解雇という実に差別的で不当極まる攻撃への反撃。この解雇に対し今年2月20日に、解雇無効、解雇以降の賃金支払いという勝利判決を勝ち取ったとまず報告された。ところがホテル側は裁判に出廷もせず、賃金支払いにも応じないという。まさに順法精神のかけらもない悪辣な経営だが、必ず勝利を勝ち取る、と力強い決意が表明された。
 またビルマ市民労組の移住労働者は、この20年いろんなところで働き問題を解決してきた、これからも闘わなければならない、団結しようと呼び掛けた。全国一般なんぶの移住労働者も、権利に違いはない、運動を一緒に作り上げてきた、団結を、との訴え。一方、神奈川シティユニオンの移住労働者たちは全員でラテンアメリカの闘争歌を披露し、いつも通り全体を盛り上げた。
 トルコの移住労働者からは、悲痛な面持ちで直前の大地震で現地が深刻な被害を受けたことが語られ、支援カンパへの協力が強く訴えられた。
 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)からは、閣議決定間近と言われる入管法改正案について、前回廃案になったものと基本的に同じであり移住労働者を日本から追い出すもの、ウィシュマさんを殺したシステムが温存される、仮放免された人の自死も続いている、と危機感をもって問題点が示された。そしてそれへの反対の声を広げ再度廃案に追い込もうと闘いが呼び掛けられた。
 これらのアピールを受けて実行委員会の鳥井一平さんがまとめのあいさつに立ち、この行動の30年の歴史を振り返りながら、「共生」の言葉は増えているが移住労働者を使い捨て労働力としてしか考えない実態はあまり変わっていないと現状を指摘し、その現実を一緒に変えよう、それが労働者全体をも元気づける、と闘いの意義を確認した。そして具体的な課題として、入管法改悪を阻止すること、技能実習制度を廃止させることを強く訴えた。これらの闘いを確認しつつ参加者は最後に司会の音頭で団結ガンバロウを三唱、集会を後にした。
 入管法改正案は、移住連の指摘通り3月7日に閣議決定された。ウィシュマさんをはじめとして入管行政が多数の死を生んでいることへのまともな反省すらない暴挙だ。このあからさまな人権への敵対を何としても阻止しよう。 (神谷)  

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