3.8国際女性デーにウィメンズマーチ
ジェンダーに基づく差別や暴力反対
家父長制をぶちこわせ
【東京】3月8日、ウィメンズマーチ東京2023実行委員会は、毎年3月8日の国際女性デーにジェンダーに基づく差別や暴力に反対する人たちと共に「Women’s March Tokyo」を行い、380人が参加した。マーチは、渋谷の国連大学前広場に集合し、神宮通公園までアピールした。
参加者たちは、様々なプラカードを掲げながら「戦争反対!軍事化反対!平和が必要!」、「私の身体は私のもの 勝手に決めるな 自分のことは自分で決める 当事者たちの声を聞け」、「個人の尊重 個人の尊厳 ジェンダー平等いますぐ前へ 家父長制をぶちこわせ」などのコールを響かせた。
「ウィメンズマーチ東京 2023 声明」(別掲)は、具体的な要求項目として①ロシア軍によるウクライナ侵攻に抗議 ②岸田政権の軍事化・軍拡に断固反対 ③賃上げと同一価値労働同一賃金の推進 ④衣食住にかかわる緊急の支援 ⑤ジェンダー平等政策 ⑥性と生殖に関する健康と権利 ⑦選択的夫婦別姓や同性婚の実現 ⑧トランスジェンダーへの攻撃に抗議し、セクシュアルマイノリティへの差別を禁止する法的措置の実現 ⑨入管法改定案反対 ⑩公園の閉鎖・路上生活者の強制排除に反対 ⑪統一地方選挙では、ジェンダー平等を重視する人を選ぶことを提起している。
賛同団体は、様々なグループ、個人が賛同し、さらに移住者と連帯する全国ネットワーク、ふぇみん婦人民主クラブ、アジア女性資料センター、はたらく女性の全国センター、女性ユニオン東京、全国一般労働組合東京南部、全国フェミニスト議員連盟などの運動団体も参加している。(Y)

ウィメンズマーチ東京2023 声明
2022年 2 月、昨年のウィメンズマーチ東京開催の直前に開始されたロシア軍によるウクライナ侵攻は現在も続いています。市民の生命・生活を破壊しつくそうとするかのような民間施設への攻撃、暴力や虐待による犠牲、両軍の兵士の死傷者は増える一方です。私たちは、この軍事侵攻に強く抗議します。
これまでの歴史は、武力によって平和をつくることはできず、平和がなければ平等もないことを教えてくれます。しかし、日本政府は、安全保障環境の変化を理由に防衛費の増額を打ち出しました。詳細は明らかにされておらず、どう捻出するかもわかりません。外交努力を軽視した軍事化・軍拡に断固反対します。
侵攻が続くなかで、日本にも物価高騰やエネルギー問題が押し寄せています。しかし、経済的に苦境にある人々への支援は乏しいままです。「春闘で賃上げを」という声が上がっていますが、有期・パート・派遣労働などの非正規雇用の人々が、賃上げの対象から除外されたままでよいはずはありません。非正規で働く人の割合は男性が 22・2%なのに対して女性は 54・4%です(2020年)。雇用のあり方が多様であっても賃上げされる仕組みや、同一価値労働同一賃金の推進が必要です。
新型コロナウィルス感染症の拡大から、その重要性が改めて認識された保育や看護、介護などのケア労働について、劣悪な待遇が問題になっています。しかし、ケア労働を誰にでもできる女の仕事とみくびる責任者たちは有効な対策を取れずにいます。ケア労働にたずさわる人がその責任と専門性に見合う報酬を得られるようにしなければ、ケアの担い手が減り、税収も減り、社会保障はやせ細ってしまうでしょう。新年度を前にした今、衣食住にかかわる緊急の支援も必要です。
2022年7月、安倍晋三元首相が銃撃により死亡して以降、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題が大きく報道され、宗教右派と保守政治家たちとの密接な関係に注目が集まりました。これまで、宗教右派も保守政治家も男女間格差や女性差別を是正するための政策を「日本の伝統的な家族や家庭を壊す」として攻撃してきました。宗教右派による「女らしさ」「男らしさ」などの性別役割の強調や、個人の尊重を否定する考え方が日本の政治に深くかかわり、その結果、日本のジェンダー平等政策が大きく遅れてしまったことは明らかです。
性と生殖に関する健康と権利も大きな影響を受けてきた問題の一つです。現在、厚生労働省で承認可否が審議されている経口中絶薬や、薬局で入手可能にするか議論されている緊急避妊薬などが、必要とする女性の手の届くものになるのかどうかは、まだ見えていません。中絶における配偶者同意や刑法堕胎罪の廃止、性教育の充実など、性と生殖に関する健康と権利を保障するうえで進めるべきことがまだまだあります。現在、「異次元の少子化対策」が議論されていますが、女性のエンパワーメントと性と生殖に関する健康を守ることこそが人口問題解決の鍵であると、1994年のカイロ人口開発会議で確認されていることを、まず思い起こすべきです。
選択的夫婦別姓や同性婚など、多様な家族のあり方を認めていく政策も日本の保守政治によって大きく歪められてきました。しかし、性別、年齢、障害の有無、国籍・文化的背景、性的指向・性自認などにかかわらず、 一人一人が個人として尊重される社会でなければ、安心して生きていくことも、次世代を育むこともできません。少子化対策は出産奨励策でも、子育て支援名目での無制限のお金の配布でもないはずです。
トランスジェンダーへの攻撃も続いています。この問題について、国連も SОGIを尊重した処遇と差別解消を求めています。日本社会も国際社会と連携し、セクシュアルマイノリティへの差別を禁止する法的措置を速やかに講じるべきです。
現在、2年前に廃案となった入管法(出入国管理及び難民認定法)の改定案が、今国会に再び提出されようとしています。日本の難民保護や移住者に対する支援については、2022 年11 月に国連自由権規約委員会からも勧告されるなど国際的な批判もあるほか、日本国内でも改善を求める声が多く上がっています。しかし、改定案は入管の権限や裁量を強化する内容です。技能実習生として働く外国人女性が妊娠すると帰国を強いられるなど、外国人女性の性と生殖に関する健康と権利についても問題が指摘されるなか、人権の視点がない改定案の再提出に強く反対します。
2022年 10 月、渋谷区は美竹公園を封鎖し、公園を利用していた路上生活者を強制排除しました。この強制排除を行う直接的な理由となった再開発事業は「ちがいを ちからに 変える街」の実現を掲げています。しかし、その現実は、路上生活者を尊重せず、暴力的に排除する行為そのものでした。女性、移民、障害者、セクシュアルマイノリティなど、この社会のなかで構造的に脆弱な立場におかれたグループにとって、住まいを失う可能性はより身近なものです。公園の閉鎖・路上生活者の強制排除に反対します。
2022年の国会で、マイノリティ女性たちを隠し撮りした写真と、女性たちを揶揄して嘲笑するような内容を掲載した過去のブログ記事が追及され、杉田水脈前政務官が事実上の更迭となりました。杉田前政務官は、セクシュアルマイノリティ、性暴力被害者、女性に対する差別発言も繰り返してきた人物です。女性差別の存在そのものを否定し、「男女平等は反道徳の妄想」と主張してきました。杉田前政務官自身の責任は重いものですが、さらに深刻なのは、この間、こうした主張に同調したり、その言動を評価したりする人たちが多くいたことではないでしょうか。そのことで、ターゲットにされた当事者はもちろん、マイノリティ当事者でなくても、深く傷つけられ、屈辱を感じてきました。
こうした人権侵害が続く状況をつくってきたのは、この社会の構成員である私たちであることも事実です。この社会は変わらなければなりません。今年 4 月に実施される統一地方選挙では、票を投じることができる人々に対し、ジェンダー平等を重視する社会へ改革する意志のある人を選ぶことを呼び掛けます。
私たち一人一人が、日々の生活のなかで、差別や暴力を容認しない努力を積み重ねることが、これまで尊厳を踏みにじられてきた人々の名誉を回復し、私たち自身が自分らしく生きられることにつながると信じています。差別や暴力は一人きりで立ち向かうには大きすぎる問題でもあります。ですから、今年も国際女性デーに思いを同じくする仲間と手を取り合い、社会を変える歩みを共に進めていきたいです。ウィメンズマーチ東京でお会いしましょう。
2023年 2 月 26 日
3.8ウィメンズマーチ名古屋
国際女性デーにジェンダーに基づく
差別や暴力に反対するアクション
【愛知】3月8日の午後、名古屋市の繁華街、栄にある久屋大通公園「希望の広場」で3・8国際女性デー「ウィメンズマーチ名古屋」が行われ、女性を中心に70
人が参加した。
マーチの前に行われた集会では愛知県内で女性の権利を守る闘い、ジェンダー平等のために取り組む多くの活動者、性暴力や迫害の経験があり今も苦しみながら、しかし必死で生きているひとたちがそれぞれの思いや報告を行った。
様々な立場から
リレートーク
最初に主催団体である「女性によるセーフティネット愛知」の藤原はづきさんが開会あいさつを行った。藤原さんは今も女性の貧困率が高く社会的地位が厳しい状況にあると指摘し、もっと未来に希望をもてるような社会へ変えていこうと述べた。子どものころに親から虐待を受け精神にハンデを負った女性は今も過去の記憶に苦しみながらも周りの支援を受けながら必死に生きていることを述べ、苦しんで生きている女性が生きやすい社会をと訴えた。
娘と息子を持つ母親は娘に性暴力があれば声を挙げていこうねと娘と話し合っていたら息子から「男をみんな性犯罪者みたいに言うな」と言われたことを紹介し、「男性の性暴力を批判するとどうしてもこういう意見が出てしまう。男性そのものを批判しているのではなく性暴力を批判していることを訴えたい。家父長制やさまざまな問題があるが共に変えていこう」と述べた。
愛知県内の大学生はネットなどで氾濫するトランスジェンダー女性に対する差別書き込みに気が重くなる思いがすると述べ「しかし声を挙げたい。私はシス女性としてトランスジェンダー女性と連帯する。トランス女性は女性です!」と発言し自作のプラカードをもってアピールした。
また名古屋市在住の若い女性もネットやSNSでのトランス差別に憂慮していると発言した。
「名古屋フラワーデモ」は性の売買に反対し、性の売買が性暴力を生み出すと訴えた。ドイツ人で日本の企業で働くカトリン・フンクさんはドイツでは不十分だけどジェンダー平等について学んできた。日本に来てジェンダー差別が多くあることを感じた。共に変えていこうと訴えた。
さらに緑の党東海の尾形けいこさんや日本共産党のもとむら伸子さん、共同親権の問題に取り組む女性弁護士の発言があった。
元気にデモ
集会が終わり、参加者は思い思いのプラカードを手に持ち、夜の栄をデモ行進に出発した。尾形けいこさんがコールを担当し「平等なければ平和なし」「平和なければ平等なし」「家父長制をぶっこわせ」「私の体は私のものだ」の声が栄の繁華街一帯に鳴り響いた。沿道を歩く女性たちがデモに手を振る姿も多く見られた。この日の行動には朝日新聞と毎日新聞の取材もあり翌日の朝刊で報道された。
「セックスワーク」
をめぐる対立
なお今年の国際女性デーでは、フラワーデモの3・8国際女性デーのステイトメントとして打ち出した内容が「性的同意はお金では買えない」「すべての性暴力被害者に連帯します」というものに対する批判がセックスワークの人権と安全を守る取り組みをしている女性活動者から多く挙がっていた。
東京では3・8国際女性デーの日に新宿歌舞伎町で夜8時からこのスローガンの書かれたプラカードをもってスタンディング行動が取り組まれたがこれに反対するカウンター行動に遭い10分ほどで中止に追い込まれるなど対立が生じている。
当事者の声を聞こう
今、女性に対する暴力は女性の人権を守るための運動へ向けられている。特に、様々な理由で家に帰ることができない10代の女性の生存権を守るために活動する「コラボ」への妨害と暴力は凄まじい。また貧困に陥った女性に性の売買をさせようとする業者も減ることはない。
一方で「セックスワーク」は立派な職業であり否定することには反対であると当事者の多くの女性から声が上がっている。
この対立に明確な答えは出せないが大切なのは当事者の声を聞くこと、考えることを止めないことだと思う。女性とセクシャルマイノリティの人権を守る様々な闘い、取り組みを進める人々の声を聞き、学び、支援と連帯を拡げよう。(越中)


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