投稿 国賠ネットワークに参加して

島 聡

 2月25日、たんぽぽ舎において第32回国賠ネットワークが開かれました(26人参加)。
 当日のメインの講演は1994年に早稲田大学学生の時、神宮球場に来る天皇に反対して五人の仲間と共に逮捕拘留されロースクール第一期生を経て弁護士になった小竹広子さん。(彼女自身行った国賠は残念ながら敗訴)。
 主に何故犯罪を犯すのかと拘禁施設を考えるテーマで話が進められ、犯罪を犯す人は大まかに言って何らか障害があったり、被虐待・孤独・いじめ経験しているので規範意識が麻痺したり人の気持ちが分からない人が多いとのこと。加害者は被害者でもあると強調。加害者の家族相談を受けたり、ゲシュタルト療法を学びアメリカの『アミテイ』や日本における真の更生と社会復帰を中心に据えた『島根旭社会復帰センター』を見学するなどしてきました。
 つまり日弁連刑事拘禁制度改革実現本部事務局次長・第二東京弁護士会刑事法制・刑事被拘禁者の権利に関する委員・国選弁護人として被疑者・受刑者の利益を第一に考えているのは自分自身の被拘禁体験から来ると思われました。話の最後に今日のまとめとして死刑廃止・代用監獄廃止・真の社会復帰と更生・刑務官と教育指導の分離のため民間人活用・刑罰の個別化・懲役刑と禁固刑を拘禁刑に一本化などが提起されました。
 各国賠報告は『東住吉冤罪事件国賠』・『大垣警察市民監視違憲国賠』・『よど号グループ帰国家族・旅券国賠』『湖東病院冤罪事件国賠』・『星野国賠』・『月形刑務所獄死国賠』があり、特に印象に残ったのは『月形刑務所獄死国賠』です。
 ロックバンド、ザ・フールズの伊藤耕さんが覚せい剤取締法違反で服役し出所直前の時に体調不良を訴えるも適切な医療措置も施されず死亡したことに対する国賠が今集会直前に全面勝訴である(口外禁止条項をつけない)和解を勝ち取ったことが報じられました。
 妻の満寿子さんと元ロックミュージシャンの島昭宏弁護士たち弁護団が粘り強く獄房のビデオカメラを開示させ、死体検案書の矛盾をつく念入りな死体解剖を行ったことが非常に特に大きかったと当日彼女は生々しく語ってくれました。
 代用監獄・精神病院・入管施設等の拘禁施設の改善を国連の国際人権委員会から何度も何度も勧告を受けてものらりくらり受け流す日本政府の姿勢が今問われていると思います。最後に国賠ネットワーク大賞・最悪賞が選考され、大賞には最高裁判事の宇賀克也氏。(衆議院選挙の一票の格差大法廷訴訟で唯一の違憲判断)最悪賞は警察庁出身で歴代最長の官房副長官杉田和博氏。

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