とめよう! 戦争への道 めざそう!アジア平和 3.18集会

切迫した危機を今止めよう
抜本的政策転換が必要

 【大阪】大阪平和人権センター、しないさせない戦争協力関西ネットワーク、戦争をさせない1000人委員会・大阪を中心とした集会実行委員会(団体賛同52団体・個人賛同98名)主催の、とめよう!戦争への道 めざそう!アジアの平和2023春 関西のつどいが3月18日、エルシアターで開かれ、500人の市民が参加した。
 集会は羽原裕輔さん(大阪教組)の司会で進行した。中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)が主催者あいさつをし、金平茂紀さん(ジャーナリスト)が『ウクライナ・改憲・統一教会・この1年の取材から』と題して講演をした。また、中村百花さん(第25代高校生平和大使・大阪)が特別アピールをした。最後に、米田彰男さん(大阪平和人権センター代表)が集会のまとめをし、垣沼陽輔さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表・全日建連帯労組近畿地本)がデモの行動提起をして閉会した。集会後扇町公園までのデモでは、軍拡・敵基地攻撃能力保持・改憲に反対し、ロシアのウクライナ戦争に反対のシュプレヒコールを行った。 (以下は、金平さんの講演要旨)          (T・T)

メディアの現場から政権批判する金平茂紀さん

金平茂紀さんの講演

岸田政権が開いたパンドラの箱

 国際刑事裁判所がプーチンに逮捕状を発行。ついさっき自衛艦が沖縄の石垣港に接岸、有無を言わせず自衛隊基地にミサイルを搬入。この2つがあったので、私が準備してきたことがリアリティーを失ったのでこれ(?)はやめます。

 「新たな戦前」

 昨年のテレ朝の徹子さんの番組で、タモリさんが言った言葉、「新たな戦前になるんじゃないか」。気づいたときは現実の方が先に行っちゃってるという状況、2022年はそのような意味では分岐点だった。昨年起きた2つのこと、①ウクライナ戦争。②安倍元首相の殺害事件。この2つでこの国のパンドラの箱が開いたと思う。これがなかったら明らかにならなかった統一教会と与党の癒着。その後の国葬。安倍政権の功罪を冷静に検証もせず、安倍さんを英雄に仕立てて、彼が生前言っていたことを岸田さんが着実に実行している。

ショックドクトリン

今の事態を考えるヒントが、ナオミ・クラインの書いた『ショックドクトリン』。正確に惨事便乗型資本主義と訳されているが、わかりやすく言えば、火事場泥棒だ。惨事で皆が慌てているとき、留守宅に入ってドロボーする。ウクライナと安倍さん事件が起きたとき、普段できないこと【戦争できる国にする】を一気にやってしまう、今がチャンスだと。人倫にもとる行為だ。
 中北先生が言ったように、防衛費を5年間で43兆円に増やす。しかも閣議決定で決めてしまう。防衛省の最前線幹部でさえ、こんな巨額の予算つけられたら、砂糖に群がるアリのよう、何に使っていいか分からない。初めに数字ありきで決められたのが43兆円。忠実に実行されると、米・中に次ぐ軍事大国になる。ひどい戦争を体験し、原爆落とされ、すごい数の人が死に、侵略し、侵略され、とんでもない経験してきた、(77年たって)何でこんなことになったのか。
 岸田さんは米国の中距離弾道ミサイル・トマホークを400機も買うと決めた。米国の言い値で2113億円、しかも米国では実戦の役に立たない中古品を。昨年岸田さんがバイデンに肩を抱かれてうれしそうな写真。みんな怒るべきだと思う。ひどいですよ!これ。安倍さんのときできなかったことを、まるで背後霊がいるかのように忠実に実行している。

 南西諸島有事

 南西諸島有事を僕らの仲間が煽っている。46年テレビの報道をやって来たが、戦争はいいネタになる。戦争を報じると新聞が売れる。ネットに上げるとアクセス数が増える。戦争は人間の頭を洗脳する。昨年ロシアに行ってきたが、メディアは自部の国が勝つための報道になってしまう。僕らの国もそうだと思う。南西諸島にミサイルが搬入される映像を仲間が送ってくれた。16日(石垣島の自衛隊基地)開所式の正面ゲートで、基地反対の住民が抗議していると、16人の銃を持ち迷彩服の自衛官が出てきた。これを見たとき、こんなことがあるのかと思うぐらいショックを受けた。美しくきれいな場所の山を削って、広大な軍事基地ができてしまっている。ショックだった。

火事場ドロボー的原
発回帰・お墨付き

 もう一つ腹が立つこと。3・11から12年、テレビがやっていた、復興に向けて・・・とか。何を言っているのかと思う。今やっていることは福島事故をなかったことにしようということ。ウクライナのことでエネルギー危機になり電気代が上がっている。なんとかしなければと思う。だからといってなぜ原発再稼働、新規増設、稼働年数の上限撤廃をするのか。
 福島には帰れない人がまだいっぱいいるのに、地球温暖化を止めるのに役に立つみたいな言い方をしてやろうとしている。ひどい、詐欺師みたいだ。新規増設を次世代型革新炉へのリプレイスという言い方。サギですね。稼働していない期間は稼働期間に含めない。年齢を数えるとき、眠っている時は数えないと同じ。そんなバカみたいなことにお墨付きを与えた御用学者がいる。
 軍事費の増額についても、有識者会議があり、そこにマスコミ3大新聞のトップ(朝日・読売・日経)が参加して、お墨付きを与えている。恥を知れと言いたい。議事録が公開されているから、彼らが何を言ったのか、みなさん知った方がいい、ジャーリズムに生きてきた人間が今こういうことを言っているということを。

なぜ森友問題を刑事事件化しないのか

 インボイス制度、個人事業主は請求書を出さないとひどい目に遭う。マイナカードでポイントが付く、健康保険証や運転免許証と紐付けされる、つまり義務化するということ、このやり方おかしい。札幌にオリンピック招致する、東京オリンピックであんなひどいことがあったのに。検察が正義の味方のようなふりをして、電通なんかを捕まえてやっているけど、東京オリンピック招致するときの方がもっと大きい。そのときは黙っておいて、終わってから、こういうことをやっている。なぜ森友問題の刑事事件化をやらないのか。本当にひどい。

カジノ・少子化
……連合

 ここは大阪、大阪万博・カジノどう思いますか。もうかる?儲けるのはいいが、その中身だ。ビッグイベントを都市が招致するやり方は先進国ではほとんど止める方向になっている、地元のプラスにならず、景観が壊されるとか、無駄な開発をするとかで。他に、NHK会長人事や高齢者医療費負担の増額。異次元の少子化対策では育児休暇を男性の5割まで取れるようにするとか、いいですよ、でも根本的なところ、日本の社会に染みついている男尊女卑について、考えを改めないでやっている。学術会議への介入もあるが、時間がないので。
 腹が立つ時の受け皿が必要だ。野党、労働組合、弱い人が駆け込んだら助けてくれるところがいる。労働組合のあの人、名前は言いませんが。昨年大阪に来てこの話をしたら、そこに連合の方がいて、帰り際に捨て台詞を吐かれた。今の連合のあり方、とても危うい。今年大手春闘のベア、満額回答だ。すごいぞ!。でも本当に困っている人を連合は助けない。非正規とか、小さなところは満額回答とは別だ。政労使会議やったが、あれは労働組合のやることではない。

1940年
に似ている今

 野党について大政翼賛会と書いたが、時代では1940年に似ている。野党は混沌とした分断が進んでいる。大阪は複雑骨折過ぎて、やばいと思うことが起きている。そのことは事実として知っておいてほしい。若きデマゴーグと書いたが、飛ばします。今、自分が関わっている喫緊のことを報告する。
 立憲の小西参院議員が入手した行政文書。総務省が本物と認めた。役人は、保身のためでもあるが、細かい議事録のようなものを作る。森友の赤木敏夫さんも作っていた。文書ってすごく大事。行政文書78ページある。みなさんも読んでみて。
 当時の安倍首相の磯崎補佐官が総務省を呼びつけ、「サンデーモーニングには問題意識を持っている。古館は気に入らないが、サンデーモーニングは番組と合わないゲストは呼ばない。あんなのが番組として成り立っているのがおかしいじゃないか。
 あとNHKの5時30分のラジオも、テレビに出演できないゲストばかり呼んで、質が悪い。総務省ももっとやらないとダメだ」。あまりにも露骨で下品だ。総務省の役人は言われっぱなしだったから、きっちり書いて残した。これ内部告発ですよ。省の中では裏切り者かもしれないが、でもよく出てきたと思う。

  放送法とは

 放送法については、解釈改憲と似ている。放送法は誰が何を守るためにあるのかをはき違えている。戦争中の放送はラジオだけ、NHKの前身の日本放送協会。今は社団法人日本放送協会。ラジオが本当にひどかった。終戦になって証拠を全部焼却した、戦争犯罪に問われるから。戦争中のようなことを二度とやらないため、憲法に保障された報道の自由を全うするために、1950年に放送法は作られた。番組は放送局が自主的・自立的に作るというのが放送法の精神だ。報道特集が入手した放送法制定時に作成されたと思われる想定問答集では、なぜ報道の自由なのかについて、政府が干渉すると政府の御用機関になり、国民の思想の自由な発達を阻害し、戦争中のような恐るべき結果を生むと書いてある。放送法第1条には、不撓不屈な放送による表現の自由の確保が明記されている。放送法に詳しい川端弁護士は、「不撓不屈でない放送は取り締まるべきだと言う人がいるが、それは間違いだ。戦争中のような放送をしないように政府に求めている。今のメディアはみんな萎縮し、忖度しているのではないか。メディアは国民の知る権利に奉仕するために存在しているのだということを、忘れないでほしいということに尽きる。重要な事実を知らないことで損失を被るのは国民だ」と述べている。

高市さんがいう
「大阪は維新一色」

 2015年2月13日、総務省の役人が高市総務相にレクチャーした。そのときのやりとりの中での高市大臣の発言、大阪のみなさんに関係あるので書いておいた。
 「そもそもテレビ朝日に公平性なんてある?どの番組も極端な印象だ。関西の朝日放送も新聞も維新一色。都構想の取り上げ方も、関東と関西でははっきり違う。それでも政治的に公平でないとは言えてない中、ひとつの番組の極端な部分について、この答弁は苦しいじゃないですか」。この発言をよく考えてほしい。2015年の段階でこうだから、今ならもっとすごいことになっていると思う。大阪では維新が大きな力を持っていて、ここにいる人は少数派。でもそのことに目を背けてはいけない。高市さんは本当のことを言っていると思う。
 関西におけるメディアと維新の野望。ひとつは読売新聞。大阪府と協定を結んだ。万博で儲けるために共存共栄を考えたのだろう。万博で不具合があったとき、読売新聞はきちんと報道するだろうか。そこが大事だ。МBSでも昨年正月元旦、維新の3人(橋下・松井・吉村)が出た番組。このときの話を仲間から聞いた。報道局長も編成局長も他の役員も「何が悪い?」と言っていたみたいだ。ところが、1人の役員が後の幹部会で「あの番組はおかしいじゃないか」と言った。そういうのが本当の力になると思う。少数派が声を上げなかったら大政翼賛会になってしまう。今の連合みたいになってしまう。それはとても危険なことだ。

憲法審査会で
「9条はお花畑」

 ウクライナ戦争を奇貨として起きた憲法改正のこと。憲法審査会の中で「9条はお花畑」と言った人がいる。僕は今のような世の中だから、9条の価値はますます高まると思う。お花畑と言った人は想像力が足りない。中北さんがおっしゃっていた敵基地攻撃論へ直ぐ行ってしまう流れができていて、核シェアリング論も同様だ。ウクライナ戦争が起きて直ぐ安倍さんが言ったのだが、日本の領土に米国に核兵器を配備してもらい、日米共同で管理するという考え方だ。何を言っているのだと思った。まず現実問題として、核の共有を米国が許すわけがない。核のボタンを押す権利は大統領が持っている。米国が日本と核を共同管理すると思うこと自体がお花畑だ。日本は非核3原則を貫いているが、戦争で核兵器を使われた唯一の国だからだ。福島をなかったことにしていいのか。
 僕は、広島サミットをものすごく恐れている。間違ったメッセージを発して、プーチンに核のボタンを押させてしまわないか。今広島は、サミットための政治作業をやっていて、ハダシのゲンを平和教育から消し、第5福竜丸の記述を消したりしている。

ロシア的な
ものの排除

 今、大変なことが静かに進行しているが、全部カットして、ひとつだけ言います。ロシア的なものを排除する動き、チャイコフスキーはだめ、ロシアのアーチスト・芸術家・ボリショイバレーもダメ、日本を含め西側諸国では。彼らは国際舞台で活躍することができない。ロシアのスポーツ選手はワールドカップ、ウインブルドン、世界陸上、WBCには出場できない。ドストエフスキーは評判が悪い。
 去年の暮れから年始にかけてモスクワに行ってきた。大晦日、デパートにはものすごい人出、メリーゴーランドで楽しんでいる。これ、戦争をやっている国の光景ではない。これを見て、戦争は終わらないな、と思った。以前ウクライナに行ったとき買ってきた(プーチンの顔を印刷したトイレットペーパーを見せて)。この精神がすごく大切だと思う。私たちは、絶対に心の中までは支配されないぞと、一人になってもこういうものを作って言い続ける精神、大切だと思う。      

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