愛知で憲法集会

右翼の妨害・名古屋市の「後援」不許可を許さない

 【愛知】5月3日、鶴舞公園の中にある名古屋市公会堂大ホールで「憲法施行76周年記念市民のつどい─多様性のある社会へ―」が愛知憲法会議の主催で行われZООМ参加者80人を含む1380人が参加して成功した。集会が始まる前は鶴舞公園周辺で右翼の宣伝車輌が大音量で妨害の宣伝をしながら徘徊し、公園入口では警察が警備のために動員される物々しい雰囲気の中で行われた。だが公会堂に通ずる公園内の道には集会が始まる1時間以上前から様々な労働組合、反戦、反原発、人権運動の人々が集まりビラまきを行い、続々と結集する労働者市民の手に渡され集会の成功のため雰囲気が盛り上げられた。

名古屋市が「後
援」を拒否した
 愛知での5・3憲法集会は1965年から毎年行われ、今年で59回目をむかえた。1974年からは名古屋市の後援も勝ち取り愛知で3000人を超える最大規模の集会を勝ち取ってきた。ところが今年は名古屋市が「行政の中立性を確保するため、基準を定め、特定の目的を持った政治活動であると認められる行事には後援名義の使用を許可しない取り扱いとしているところです」と理由づけて憲法集会の後援を拒否した。
 さらに拒否する前のやり取りでは憲法会議が1月に名古屋市に後援を申請すると「事業内容の確認のため、令和4年開催事業の動画データおよび議事録をご提供ください」との連絡があったという。このような要請は初めてであるが理由は「市民から特定の目的を持った政治活動である等のご意見も頂いており・・・」なのだという。憲法会議は動画データ等の提出は愛知憲法会議の活動に対する過度の干渉を招きかねないと判断し、拒否。3月9日、名古屋市は後援名義を不承認にするとの連絡を入れてきた。憲法会議は抗議したが不承認は覆れなかった。

改憲阻止の
強い思いで
 まず地方自治体が日本国憲法第92条に基づいて設置されていること、職員が公務員として憲法尊重擁護義務を99条で負っていることをみれば日本国憲法を守るための行事に積極的に後援し応援することを拒否することは地方自治体が改憲に傾いているのと同じである。
 名古屋市長は河村たかしであり「表現の不自由展」で妨害をくりかえした極右であることは広く知られているが改憲策動のためにまた1歩踏み込んだと見るべきだろう。こうした状況で憲法改悪への危機感を強く持ちながらも、しかし絶対に改憲を許さないと強い思いを持った人々の結集で今年の愛知憲法集会は勝ち取られたのである。

ウクライナ人歌手
ナターシャさん
 集会の第1部は日本に在住し音楽活動を行うウクライナ人女性、ナターシャ・グジーさんのコンサートが行われた。ナターシャさんは1986年、6歳の時にチェルノブイリ原発事故で3・5キロ離れたところで被曝した。その後、キエフに移住しウクライナの民族楽器パンドゥーラを学び、救援を訴えるための民族楽団として2度来日。コンサートやライブ、国際理解活動など多方面で活躍している。
 ナターシャさんの歌声は水晶のような美しさを持ち、披露した歌も「わがキエフ」「いつも何度でも」「鳥に歌」などのオリジナル曲の他、日本でも流行した山口百恵の「秋桜」や童謡の「故郷」なども歌われ参加者を魅了した。

父の思いと多
様性の社会を
 第2部ではサンデーモーニングなどのコメンテーターでおなじみのフォトジャーナリスト、安田菜津紀さんの講演が「共に生きるとは何かー難民の声、家族の歴史から考えた多様性」と題して行われた。安田さんはまずシリア難民の救援活動の経験を語り、日本の難民受け入れが極端に少ないことを指摘し名古屋入館におけるウィシュマさん虐待死に触れて日本の入管体制を厳しく批判した。
 また自身の経験として絵本を読んで聞かせる父の発音が母のものとは違うため「お父さん、日本人じゃないみたい」と問い詰めた時の父の顔が今でも忘れられないと語り、大人になったとき父が在日朝鮮人であることがわかり、どれだけ傷ついただろうと述べた。父は亡くなるまで自分が在日朝鮮人であることを話さなかったと述べ、その理由として日本における差別排外主義の深刻な状況を在特会などの存在について解説し、父は自分が在日朝鮮人であることを話さなかったのではない。話せなかったのだとのべた。
 そして入管法の改悪は差別の法制化であり民主国家のものではないと批判し、最後に憲法の理念に立ち返り、平和と基本的人権を守ることが大切。公権力に縛りや歯止めをかけるのは市民の声だと述べ講演を終えた。

集会の後は総が
かり行動のデモ
 愛知憲法会議主催の集会が終わり、参加者は会場を出て鶴舞公園の出口付近に続々と集まった。ここからはあいち総がかり行動主催のデモ行進が行われる。大きな横断幕やプラカード、のぼり旗が林立し300名ほどが集まった。鶴舞公園を出発したデモは大須商店街の通りから栄まで行進し、元気よく発せられたコールに沿道から多くの声援がかけられた。この間、街頭でのデモ行進に対する市民の反応は非常に良く感じる。自民党による軍拡と増税、生活破壊への怒りは充満している。この怒りを解き放つ民衆の運動を組織するためさらに奮闘しよう。 (越中)

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