「衆院委」での強行裁決に抗議
4.28
入管法改悪を許さない
廃案に向けた運動の強化を
【東京】4月28日午前11時から、衆議院第2議員会館前で「入管法改悪反対国会前シットイン」が行われた。この日午後1時から、衆議院法務委員会が開かれ、強行採決もありうるということで緊張した行動となった。
移住連の鳥居一平さんがアピール・コールで行動をリードした。
「修正できない。命がかかっている。入管庁の建前のみの法案だ。数字の操作をやっている。19万筆の反対署名を集め国会に提出した。在留資格のない子どもたちも学校に通っている。排除を許さない。多民族・多文化社会の実現を」。
11時45分からリレートーク。一部を紹介する。
移住連の山岸さん。「一昨日、雨の中びしょ濡れになり闘いぬいた。3日前はクルド人が大勢参加し埋め尽くされた。本日与党と維新と国民で合意している。裁決の危険性が高まっている。しかし、一昨日、法案反対の署名19万筆を提出した。2年前は10万筆だった。多くの人が廃案にという声があり、全国で行動を起こしている」。
平和フォーラムの藤本さんが「一昨日、クルド難民の子どもたちがたくさん来ていた。勉強して、弁護士やサッカー選手、看護師になりたいと様々な夢を語っていた。しかし、サッカーで他県での試合に行かれない。自由に生きたい。こうした子どもたちの願いに応えないのか」と紹介し、「国連から人権侵害だと言われている。それに対して法務大臣は『勝手にそんなことを言うな』という言葉だ。安倍内閣以来、国連の勧告に従わなくてよいと決定している」と政府の態度を糾弾した。
フォトジャーナリストの安田菜津紀さんが「今回の法案は『出ていけ』という治安維持のためのもので、以前よりそれをより強めようとしている。これは絶望を量産するものでしかない」と批判した。
鎌田さゆりさん(立憲、衆院議員)が「午後1時から質疑がある。採決時に断固拒否で臨む。参与員が朝日新聞で『2年間で2000人の難民審査をしたと書いているが、対面でできる数ではない。立法事実の根拠が揺らぎ根底から崩れている。立憲としては修正にはのらないことを決めた。子どもを取り引きの材料にしてはならない。大きな山場になる」と報告し、委員会にかけつけた。
三木えみこ弁護士。「2021年、改正案が廃案になった。それで困ったことはあったのか。収容された2000人のほとんどが仮放免された。それで悪いことは起きたのか、何もない。なぜ同じ法案を出してきたのか。1980年代、在留特別許可が法務大臣の裁量で出された。家族にも適用されていた。修正はまったく必要がない。日弁連や都道府県弁護士会が反対声明を出したりデモをやっている。入管法の改悪に反対しよう」。
アジア女性資料センターが「G7サミットで、女性の人権を守る、ジェンダー平等を実現する、LGBT差別反対をやるとが言うが、そのふりをするのみだ。移民・難民を視野にいれているのか、ウィシュマさんのことは入っていない。構造的差別を日本政府こそがやっている」と批判した。
イラン人の当事者からの切実な発言。
「30年前に日本に来た。難民申請して22年。外国人はどこまで嫌われているか。元の法案は国連から改善しろと言われているのに改悪になっている。私は必死に生きようとしている。信用しないのか。ハナからウソつきだと難民に言っている。外国人を追い出したくてウズウズしている。3回も収容された。みんなウソつきはやめて下さい」。
午後2時半。委員会の討論が終了し、委員長により採決が強行され、自公と維新・国民などにより、与党提出のものを基本とする法案が可決された。
ただちに、議員会館前に報告され、「強行採決を許さない。引き続き反対の声を上げ続けよう。参院に回されても廃案に向けてがんばろう」「入管法改悪ノー ノー」と何回も国会に向けてシュプレヒコールを繰り返した。
強行裁決を
許さないぞ
法務委員会が終了し、参加していた野党の法務委員がかけつけ発言した。
本村のぶこさん(共産、衆院議員・法務委員)が「当事者・家族などの声が審議に反映されていない。当事者を置き去りにしている。おかしい。難民認定の狭さ、第三者機関も作らない。今後衆議院本会議、参議院もある。廃案にするために追い込もう」と訴えた。
鎌田さゆりさん(立憲、衆院議員・法務委員)は駆けつけると一言「ちくしょー」と涙を流しながら述べ発言を続けた。「絶対に裁決をすべきではないし、必死に訴えた。参考人も不十分だし、立法事実も提示していない。皆さんごめんなさい。参議院では対案を出す。みんなの心を一つにして。こんなひどい法案が世界から認められるかどうか、いや認められない。まだ闘いは続く、廃案に向けてがんばろう」と強く訴えた。石川大河さん(立憲、参議院)も駆けつけて、廃案を訴えた。最後に、廃案に向けて闘おうとシュプレヒコールを国会に向けて叫んだ。
全国での闘いに
よって廃案に
5月9日に、与党や維新、国民党が衆院本会議で入管法改悪案を通過させた。5月12日、参院で審議入り。そして5月末での採決、法案成立を図ろうとしている。
今回の法案について、入管法改悪に反対する団体から、次のような問題が指摘されている。
①低い難民認定率に改善策をとらない一方、難民申請者の送還を可能にし、迫害を受ける恐れがあるのに難民を本国に送り返す。
②送還忌避罪を創設し、帰国できない事情があるため在留を希望する人に刑罰を加える。
③監理措置制度により、在留資格のない外国人の監視を支援者らが引き受けない限り解放せず、無期限の長期収容制度を存続させる。
④在留特別許可制度の縮小と、問題のある判断要素の法定で、同制度による救済を狭める。
移民・難民は私たちの仲間だ。強制送還や入管への収容などによって、この人たちの命や就労の権利、移動の権利、医療・福祉へのアクセス権、教育の権利を奪うな。闘いは全国に広がっている。闘いはこれからだ。絶対に廃案へ。
(M)
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