岸田内閣は埋立を中止し辺野古新基地建設を白紙撤回せよ
沖縄報告 4月30日
沖縄 K・S
埋立工事着工6年目の4月25日
ヘリ基地反対協海上行動チームが海上大行動
2017年の埋め立て工事着工から6年の4月25日、ヘリ基地反対協・海上行動チームは「NO BASE、NO WAR、WORLD PEACE、SAVE HOPE SPOT」をスローガンに掲げて、辺野古・大浦湾海上アピール行動を行った。(辺野古ぶるーのブログに報告あり)
名護市瀬嵩の浜に集まったカヌーチームは午前9時半、次々と大浦湾に向かってこぎ出した。色とりどりのカヌーが海上をパレードする様は壮観だ。行き先は、海上アピール行動が行われる大浦湾・弾薬庫崖下のK9護岸前。午前10時半からの海上集会に、カヌー36艇、抗議船7隻、総勢65人が結集した。カヌーや抗議船には様々な横幕が掲げられた。「海が好き!」「辺野古の海に土砂を入れるな!」「サンゴを守れ!HOPE SPOT」「美ら海こわすな!辺野古ぶるー」「南西諸島の軍事要塞化反対!」「Sea Save Action」など。
はじめに、抗議船「不屈」から平和の鐘が鳴らされた。ヘリ基地反対協の仲村善幸共同代表、オール沖縄会議の福元勇司事務局長のあいさつの後、参加者12人によるリレーアピールが行われた。「美ら海を壊すな!」「ジュゴン・サンゴをまもれ!」「亡くなった坂本龍一さんは船で現場を見て、こんなきれいな海を壊して基地を造る必要があるのか、と言っていた」「戦争につながるすべてに反対」などと訴える声が海上に響き渡った。最後に全員で、「基地を造るな!ジュゴン・サンゴを守れ!民意を守れ!」と力強くシュプレヒコールを繰り返した。
海上行動が行われている間、K9護岸とK8護岸からの埋め立て土砂搬入は行われなかった。集会後、本部半島からの土砂運搬船がフロートに囲まれた大浦湾の工事エリアに入り、土砂陸揚げの作業が始まった。カヌー経験豊富なKさんは「やはり数の力は強い。これからも持続的な闘いを続ける」と決意を述べた。キャンプ・シュワブゲート前、本部塩川港、琉球セメント安和桟橋の各現場でも根気強い抗議行動が続けられた。
工事の進捗割合3月末で約14%
大浦湾の軟弱地盤に触れるな
辺野古・大浦湾を埋め立てて飛行場と軍港を有する米海兵隊基地を造るという辺野古新基地建設計画は6年前の2017年に埋立工事が始まった。今年4月18日の衆院安全保障委員会で、新垣邦男さん(沖縄2区選出)は「工事の進捗状況及び完工時期の目途」に関し質問した。沖縄タイムス2023年4月19日によると、浜田防衛相は答弁で「辺野古側の埋め立ての進捗率は3月末時点で約92%、事業全体(全埋立土砂量との比較)では約14%、着実に進んでいる」と述べた。しかし、埋立は着実に進んでいないし、進まない。
県民ぐるみの強い反対を押し切って埋立を強行してきた政府は、辺野古側の埋め立てをほぼ終えようとしているが、大浦湾側の埋め立てはどうか。埋立予定海域の大部分に広がる最深90mに及ぶ軟弱地盤と二本の活断層の存在は埋立工事を拒絶している。工事は進まない。敢えて無理な埋立工事に入れば、生物多様性の宝庫・大浦湾の海はすさまじい環境破壊に見舞われることになるだろう。大浦湾に手を付けてはならない。
沖縄防衛局は想定外の軟弱地盤の「改良工事」を行うため、2020年4月に埋立設計概要変更承認書を提出したが、沖縄県は2021年11月25日、不承認処分を行なった。県の不承認処分は、辺野古埋立反対!の県民の総意を背景としたもので、①ジュゴンの海、ウミガメの海、サンゴの海を埋めてて軍事基地にすることは不合理、②順調に行っても15年もかかる工期では、普天間飛行場の危険性の早期除去を口実として合理的ではない、③飛行場である辺野古基地が、より基準の緩い港湾基準で設計されているのは安全確保上からも不合理、④すでに全国の米軍専用施設の70%が集中する沖縄で新しい軍事基地建設は不合理、と言える。
ところが、日米同盟を金科玉条とし米軍の要請を国政の最優先事項とする日本政府は、行政不服審査制度を悪用し国を「私人」と偽って、同じ政府の防衛相が国交相に審査請求を行った。2022年4月8日、国交相は沖縄県の不承認処分を取り消す「裁決」を行うと共に、4月28日、変更申請を承認するよう「是正の指示」を行った。こういうことがまかり通れば、政府は地方自治体を支配して何でもできることになる。歯止めのない中央政府の専制、閣僚の横暴と言うしかない。
4・26、那覇地裁で第2回口頭弁論
知事の不承認処分を取り消した国交相の裁決は違法だ
沖縄県は国交相の「裁決」と「是正の指示」を不服として国地方係争処理委員会に審査申し出を行なったが、政権の忠実な道具と化した係争委は十分な審査を行うことなく県の二件の審査申し出に対し、「裁決」については「却下」、「是正の指示」については「違法ではない」とする決定を行った。それに対し、沖縄県は違法な国の関与の取消訴訟二件(裁決および是正の指示)を福岡高裁那覇支部に提訴したのである。
2023年3月16日、高裁は「裁決」に関しては「却下」、「是正の指示」に関しては「棄却」との不当判決を行った。沖縄県は最後まで裁判で争うため上告、4月10日、2件の関与取消訴訟に係る上告受理申立理由書を最高裁に提出した。これら一連の経過と準備書面、判決、知事のコメントなどは、沖縄県HPの項目「基地」のところに詳しく報告されている。翁長知事の時代から沖縄県と政府との間の辺野古新基地建設をめぐる裁判はいくつも争われてきた。争点の核心は、沖縄の自治と民主主義、県民の自己決定権の尊重ということに集約される。沖縄県の主張を全国に広めよう。
変更申請に対する県の不承認処分を取り消した国交相の裁決に対して、国の違法な関与取り消し請求訴訟とは別に、沖縄県は2022年9月30日、「国土交通大臣の裁決を取り消す」ことを求めた、いわゆる抗告訴訟を那覇地方裁判所に提訴した。3月に高裁判決が下りた二件の国の違法な関与取り消し訴訟は地方自治法に基づくものであったが、抗告訴訟は行政事件訴訟法に基づくものである。政府の同じ違法な行為を対象にした二つの異なったアプローチによる裁判闘争だと言える。
この訴訟の第2回口頭弁論が4月26日、那覇地裁(藤井秀樹裁判長、裁判官=島尻大志、佐藤壮一郎)で開かれた。オール沖縄会議による城岳公園での事前集会に100人が集まった。マイクを取った琉球大の徳田博人教授は「訴訟の概要と意義」と題するパンフを配り、正当な県の不承認処分を取り消した国交相の裁決の問題を厳しく指摘した。
裁判は20人が傍聴した。原告の県は「変更申請を不承認としたのは知事の正当な権限。裁量の逸脱濫用はない」「国交相の裁決には重大かつ明白な誤りがある」「抗告訴訟の提訴は適法であり、県は提訴する権利がある」と陳述した。
4・22、辺野古訴訟シンポジウム
沖縄の自治と民主主義を取り戻す熱気ある議論
辺野古訴訟支援研究会が主催しオール沖縄会議が共催するシンポジウム「辺野古裁判と誇りある沖縄の自治―裁判の今とこれから」が4月22日午後、琉球新報ホールで開かれ、YouTubeでも発信された。進行役は白藤博行専修大名誉教授。はじめに徳田琉大教授が主催者あいさつをし、「最高裁判決が6~8月にも予想される緊迫した中でのシンポジウムの開催となった。沖縄の自治と民主主義を守るため全国的な運動展開のスタートとしたい」と述べた。高里鈴代さん(オール沖縄会議共同代表)は、政府は地元の理解を口にしながら辺野古唯一をくり返しているが、辺野古NO!は知事選でも県民投票でも繰り返し明らかにされてきた県民の総意だ。多く学び闘おう」と訴えた。
「変更不承認処分についての高裁判決の問題点と最高裁への展望」と題して講演した加藤裕弁護士は、「国と地方の裁判は迅速に進めることが定められており、3~4か月で判決が出る見通しだ」と指摘し、「論理的な正当性はこちら側にある。高裁判決をひっくり返し、最高裁で勝てる可能性がある。裁判は勝つためにやる」と力説した。
「辺野古問題と司法」と題して講演した紙野健二名古屋大名誉教授は、「国が私人に成りすますというとんでもないことをやっているのに、マスコミは報じない。国は巧妙。トリックを使い、原告・被告の立場を逆にした。変更不承認をめぐる裁判は承認撤回とは異なる。裁判所としての役割を果たすべきだ。最高裁は高裁の誤りを正せ!と迫る必要がある」と訴えた。
そのあと、本多滝夫龍谷大教授の進行で、パネルディスカッションに移った。立石雅昭新潟大名誉教授は「軟弱地盤は専門家が見れば誰でもおかしいと思う。港湾と空港では基準が違う。辺野古は空港ではないのか。政府はより緩い港湾基準で造ろうとしている。極めてズサン。データも出さない」と厳しく批判した。住民の抗告訴訟の代理人を務める川津知大弁護士は「日本の行政訴訟は入口がとても狭く、裁判を起こさせない仕組みになっている。県の裁判と住民抗告裁判で裁判所は原告適格ナシと判決した。しかし、裁判官がきちんと判断すれば政府のやり方がだめだとわかる。あきらめずに闘い続けることが必要だ」と述べた。
最後に、玉城デニー知事が登壇した。いつも通り「ハイサイ、グスーヨー、チュウウガナビラ」と切り出した知事は、「高裁判決は知事の権限を踏みにじるもの、民主主義に目を背けるものだ。最高裁は地方自治のあり方や知事の権限に注目してほしい。この裁判には勝たなければならない。勝つことはあきらめないこと」と力強く訴えた。会場の参加者は大きな拍手で応えた。閉幕にあたり、白藤さんは「県民の尊厳をいかに守るか!係争委は死んだ。地方を死なせないために闘う。今日を出発点に大きなうねりを作っていく」とまとめた。しまりのある充実したシンポジウムだった。当日の配布資料はオール沖縄会議のHPから閲覧・ダウンロードできる。
辺野古断念求める国会請願署名
5・19、期限までさらに多くの署名を
「辺野古新基地建設の断念を求める国会請願署名」は沖縄だけでなく全国で取り組まれてきたが、もうすぐ5月19日の期限を迎える。県内各地では最後の追い込みに力を入れ、連日、各戸訪問、店舗前、公園などで声掛けが行われている。一人でも多くの署名を集め、国会に届けよう。沖縄県民の意思を尊重しようとしない日本の政治を変える力の一つになる筈だ。最後までベストを尽くそう!
週刊かけはし
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