4.29関電よ 老朽原発うごかすな! 高浜全国集会
【大阪】老朽原発動かすな!実行委員会主催の高浜全国集会が4月29日、福井県高浜町で開かれ、320人が参加した。
「束ね法案」の
強行採決糾弾
原発政策の大転換を意味するエネルギー政策「束ね」法案(原子力基本法に、エネルギー安定供給は国の責務を挿入・原子炉等規制法に、運転期間原則40年最長60年の規制削除・電気事業法に、運転期間の規定新設、運転期間延長の認可は経産相・再処理法に、廃炉資金拠出義務付け・再生可能エネルギー特措法に、送電網整備支援挿入、の一括法案)が、委員会審議わずかに25時間で拙速に結論を出し、4月27日衆議院を通過した。集会は、そのことに対する抗議の集会となった。
京都・大阪からの参加者は集会に先立ち、高浜原発の北門まで500メートルほどの距離をデモして、門前でミニ集会の後申し入れ行動を行った。高浜原発1号機は48年越え、2号機は47年越えの老朽原発である。1、2号機と3、4号機全体の立地は本当に狭く、そこへの接近路は、小さな道が1本あるだけ。1、2号機の見える場所と3、4号機が見える場所の間にトンネルがあり、トンネルを抜けたところに北門がある。3、4号機の北は直ぐ海だが、原発から1キロも離れていない狭い海岸に民家集落がある。
全国集会の会場となった高浜町文化会館はきれいな建物で、原発マネーの影響を感じさせた。集会は、戸嶋久美子さん(福井県民医連)の司会で進められた。
脱原発達成した
ドイツに学ぼう
中嶌哲演さん(原子力発電に反対する福井県民会議)が主催者あいさつをした。
「岸田政権は福島を踏みにじり、原発に回帰し、国会多数派により「束ね法案」を強行採決した。その延長上に進むと、第2,第3の福島は必然ではないかという危機感を抱いている。
ドイツはついに原発ゼロを実現した。自然エネルギーの割合も大幅に伸ばしている(50%を超えている)。その出発点と言われるのが、安全なエネルギーのための倫理委員会である。倫理委員会は福島原発事故の直後の4月4日に立ち上げられ、5月28日に解散した。その間2カ月弱の間に集中的、総合的、オープンに議論し、その結果をメルケル政権が受けて実践した。現政権もそれを継承している」。
「17名の倫理委員会のメンバーが論議の前提としたのは、①原発の電気を必要としているのは大都市なのに、それを生産しているのは地方の田舎である。これは何を意味するのかという問。②放射性廃棄物・放射能のゴミを残すのはどういうことかという問。この2点だ。人々にこの問いかけがあった。日本でもこの経験を学ばなければいけないと思う」。
「再稼働というと曖昧になるが、関電は、今は止まっている高浜1、2号機を含め4機を動かしたいと思っている。4機を1年動かせば250億キロワット時の電力が生産され、それを関西圏に送る。その電気代は5000億円になる。ここに関電の真の狙いがある」。
原発の危険は
本質的なもの
老朽原発廃炉訴訟当事者の草地妙子さん(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会共同代表)は、名古屋から、バス1台36名で来たと述べ、「なぜ自分たちは逃げなければいけないのか、逃げることを前提で再稼働が進められているのか。今日は風下から風上にやって来た。原発は本質的に危険なものだ。ドイツはそれを考えて脱原発をしたのだが、この日本は自分たちも含めて、情けない状況だ。この機会を見過ごしたら、また同じことを繰り返すことになる。そういう思いを新たにしている。原発は、初めの段階から、弱いものにしわ寄せをして、今に至っている」と述べた。
引き続き市民の
強力な運動を!
また、井戸謙一弁護士はメッセージで次のように訴えた。
「トルコ地震の恐ろしさをまざまざと知った。しかし日本はトルコ以上に地震国だ。地震の少ない外国で原発の稼働が許されたとしても、日本では原発の運転をしてはいけない。現在10機の原発が運転している。そのうち5機は関電の若狭の原発だ。高浜1、2号機が加われば12機になる。そのうち関電の原発は7機。12機のうち40年超えの原発は3機、すべて関電の原発だ。
天災は忘れた頃にやってくる(寺田寅彦の言葉)と言われるが、私は、人災は騙された頃にやってくると思う。福島事故後、政府は、第1原発はアンダーコントロールされている・事故後住民に健康被害は出ていない・新規制基準は世界最高水準の厳しさ」、と言って市民を騙し続けてきた。
そして今政府は、原発の最大限活用への明確な路線変更をし、その理由として、電力の安定供給と脱炭素社会への実現にとって原発の活用は不可欠とし、また市民を騙そうとしている。南海トラフ地震が発生した場合のシミュレーションを伝えるテレビ番組は、震源域に位置する浜岡原発、伊方原発、川内原発の事故の可能性に触れない。
普通の訴訟と異なり、仮処分で運転差し止め決定が出ると、裁判所は直ちに原発の運転を止めなければいけない。裁判官にとっては、そのような効力の強い決定を出すことには勇気がいる。その勇気を支えるのは世論であり市民の声だ。引き続き強力な運動をお願いする。
私たちはもう一度状況を元に押し返さねばいけない。がんばりましょう!」。
全国と地元から
各地の声を交流
全国各地からとして、中道雅史さん(青森・なくそう原発・核燃 あおもりネットワーク事務局次長)、沼倉潤さん(首都圏・とめよう!東海第2原発 首都圏連絡会世話人)、近藤享子さん(伊方・伊方から原発をなくす会代表)、向原祥隆さん(川内・ストップ川内原発!3・11鹿児島実行委員会共同代表)が、それぞれ地元の状況を報告した。
また全国から、21名のメッセージが寄せられた。
福島第1原発事故被害者からとして、佐藤勝十志さん(原発賠償関西訴訟原告団副代表)、地元からの訴えとして、東山幸弘さん(高浜町住民)、山本雅彦さん(敦賀市住民)、藤原節夫さん(原発ゼロをめざす宮津・与謝ネットワーク事務局次長)からアピールがあった。
労働組合からの発言は、服部恭子さん(ユニオンネットワーク京都)、近藤美登志さん(大阪平和人権センター)、鈴木孝典さん(福井県労働組合総連合議長)、梶川憲さん(京都地方労働組合総評議会議長)が行った。
集会決議を採択し集会を終え、きれいな町並みの高浜町の中を約1時間かけてデモ行進を行い、若狭高浜駅で解散をした。 (T・T)
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