5.21入管法改悪反対渋谷デモに7000人
必ず廃案に追いこむぞ!
仲間たちを絶対に殺してはならない
【東京】5月21日午後3時半から、渋谷区青山の国連大学前に集り、入管法改悪反対渋谷デモ(主催・同実行委)を行い、7000人が参加した。
瀬戸大作さん(反貧困ネットワーク)が「昨日の練馬駅前の公園で開かれた難民・移民フェスタに延べ3500人が集まった。参加した難民からは、『次には安全な状態で料理を出せるのか。入管に呼び出され、強制送還されるのではないか』、と不安がよぎると言われた。入管法を絶対に止めたい。仲間たちを殺すな」と主催者あいさつをした。
山岸素子さん(移住者と連帯する全国ネット)は「参院の審議が大きな山場を迎えている。政府は追いつめられている。なぜなら、野党法案が審議されているからだ。救済者の拡大、収容の期間の上限を定めるなど、与党案と180度違うものだ。与党案の立法事実の根拠が揺らいでいる。運動はSNS、メディア、行動、国会前のシットインなどで広がっている。必ず廃案へ。希望を持っている」と発言した。
ウソと中傷を
許してならぬ
駒井知会弁護士は「政治的難民で拷問から逃げて日本に来た。その兄は拷問で亡くなった。入管はあなたが逃げたから、兄さんは拷問を受けた、申し訳ないと謝罪させられた。彼が悪いわけではないのに。こんな入管の対応は許されない」と入管行政の実態を批判した。
指宿昭弁護士は「『阻止できるはず』から、『もうすぐ阻止できるんだ』と確信している。全国で反対の声が上がっている。参院の法務委員会での柳瀬・維新議員のウィシュマさんを侮辱する発言は決定的だ。これから法案に反対する参考人証言が二人からある。勝利は目前だ。絶対に廃案に追い込むためにがんばろう」と力強く訴えた。
ウイマッシュさんの妹さん二人が維新議員の発言を批判した。
「国会議員がウイマッシュが偽病を使ったり、ハンストをやったとウソの発言をした。姉の死亡の真相の糾明もしていない。入管に責任があることを明らかにしてほしい。再発防止のためにがんばろう」。
「姉は飢餓状態になり、病院に連れて行ってと言ったのに無視されて殺された。面会者が偽病を促した責任があるように、国会議員が言った。姉を侮辱しないで下さい。再発防止の討論をしてほしい」。
差別・迫害を
はねのけよう
中島京子さん(作家)。「非正規のスリランカ人をテーマにした『やさしい猫』を出版した。この本を書くために、多くの事実を調べた。入管内部の話も聞いた。偽装結婚、偽病、偽装難民と言われる。外国人はウソをつくという偏見に基づいている。外国人も生きる人間だ。必ず入管改悪法を廃止へ」。
なおみさん(仮放免等の在留資格を求める日本人配偶者の会)は「パートナーがスリランカ国籍だ。昨日の難民・移民フェスタで夫がスリランカ料理を作った。楽しいフェスタは昨日だけ。夫は仮放免中で働くことができない。5月18日の法務委員会の審議で、『強制退去処置は行政権の行使としてできる』と法務省の役人が答えていた。かけがえのない家族・夫婦をばらばらにしていいのか。送還忌避者を生みだしたりしていることを国連人権委員会から批判されている。特別在留許可を出さないのは、出そうとしないからではないか。仮放免ではなく、特別在留資格を出してほしい。『やさしい猫』を読んで涙が止まらなかった。ぜひ読んでほしい」と切々と訴えた。
ミャンマー・ロヒンギャ難民のミョーさんが「難民条約を守れ」「入管法改悪反対」とコールして、デモに出発した。渋谷駅をぐるりと回る長いデモだった。沿道で外国人や日本人から共感する手を振ったり、スマホで写真撮影する人がたくさんいた。デモに共感する人がたくさんいて、エールの交換を行った。午後5時半からは、渋谷ハチ公前でリレートークで、入管法改悪反対を訴えた。必ず廃案に向けて運動の強化を。 (M)
5・21入管法改悪反対渋谷デモ声明
5・21入管法改悪反対渋谷デモ実行委員会
4月28日、難民申請者の置かれた現実を見ることもなく、当事者の声にも直接耳を傾けることもないままに、入管難民法「改正」案が衆院法務委員会で自民・公明・維新・国民民主の与野党4党の賛成で可決されました。可決されて以降、私たちが関わる在留資格のない仲間たちの表情が固くなり、強烈な不安に追い込まれています。
先日、難民申請者Мさんのインタビューがテレビで放映されました。
「無理やり強制送還するなら、その場で自殺する」
彼はすでに3回難民申請を却下されていて、強制送還の可能性が否定できません。
政情不安の国から15年前に日本に逃れてきたCさんは「国に帰ることはできない。送還されるぐらいなら日本の刑務所に入る」と。彼女は先月、身体の痛みに耐えられず、支援団体のサポートで入院。4日間の入院で35万円の医療費を払いました。仮放免の場合、働くことも、生活保護も公的医療を受けることもできないのです。
難民移民支援のイベントでいつも美味しいお茶を提供してくれるDさんは泣いていました。
「どうしても日本にいたいわけでなく、母国に帰ったら命の危険がある。せめて別の国にいける選択肢をください。強制送還の場合、母国に帰るしかない入管制度となっているのです」
「入管に呼ばれる時は、2週間眠れない日が続きます」
入管収容時の拷問の記憶と、強制送還が言い渡され、そのまま入管が用意したチケットで飛行機に乗せられるかもしれない恐怖。自国で安全に生きる望みを失い、助けを求めてこの日本に避難してきた人々に、こんなことを言わせてしまっていいのでしょうか? 人間の命を脅かす社会、人権をおろそかにする社会、夢や希望を踏みにじる社会、人間として存在を認めない社会。このことは私たち自身の人権にも跳ね返ってくるのです。
私たちが支援する人たちの中には、今回の「入管法改正案」が「送還忌避者」として強制送還の対象とする外国人が多く存在しています。入管庁によれば4233人存在するという「送還忌避者」は、在留資格がないがゆえに、基本的人権すら剥奪されています。それゆえ私たちは、仮放免許可を得て地域社会で生活する「送還忌避者」の生活支援をしています。就労を禁止され、収入を絶たれているがゆえに、すべてを他人の支援に依存せざるを得ない生活が、数年間、人によっては十数年にわたって続いています。難民であるがゆえに出身国に帰れない人もいれば、バブル経済期に出稼ぎで来日し、滞在が30年に及ぶ人もいます。日本生まれで、公立の小中高校に通っている人もいれば、すでに大学を卒業した人もいます。
法案は、「退去を拒む外国人」、つまり「保護しなくてもよい」とみなした外国人を「強制送還」すれば問題が解決するかのごとくですが、政府は、これまでもずっと「帰国を促すため」として、在留資格がない外国人に対して暴力を行使してきました。私たちが支援している仮放免者たちは、長期にわたる入管制度の暴力で、心身ともに深く傷ついています。入管制度の暴力で、心身を病み、命まで落とす人がいることは周知の事実です。それだけの暴力をもってしても、帰国させることはできないのです。政府が提案している「送還忌避問題の解決」とは、それを上回る暴力的な制度でしかありえず、到底容認することはできません。
法案は与党によって衆議院を通過、審議の場は参議院に移りましたが、野党(※維・国を除く)が世界基準の対案を提出、対決姿勢を打ち出しています。私たちは、難民を虐げ、在留資格のない人の命を危うくする、入管法改悪に反対します! 2年前のように、市民の反対の声の高まりで法案を取り下げさせましょう。会期末まで粘り、時間切れにして成立させないなど、様々なやり方があります。
阻止するのは大衆運動の力(社会的世論の力)! メディアを動かすのは世論の力! 政治を動かすのは世論の力!
私たちの言いたいことは、ただひとつ。
「仲間を殺すな!」
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