5.6「南の島を戦場にするな!講演集会」
沖縄・宮古島を最前線基地にする大軍拡を阻止しよう
【大阪】5月6日午後2時から、大阪PLP会館で「南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会」の主催で、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」共同代表の清水早子さんを招いて、講演集会が行われた。参加者は主催者の予測を上回り80名を超え、南西諸島へのミサイル基地配備への関心の高さをうかがわせた。
千代田基地を埋め尽くす軍用車両、ミサイル搭載車両
主催者あいさつに続いて、3月4日と5日に石垣島で行われた「島々を戦場にさせない!全国集会㏌石垣島」と軍用車両搬入阻止闘争に参加した大阪の会のメンバーの報告がなされ、清水さんの講演に入った。
清水さんは4月28日に宮古島を出発、博多、金沢、福井で講演を行ってこの集会に参加してくださった。この清水さんの過密な日程からも、南西諸島のミサイル基地化に対する全国の護憲派、反戦派の関心の高さと危機意識の強さの一端がうかがえるだろう。
政府は沖縄諸島を管轄する自衛隊の第15旅団を師団に格上げすることを決定、今年の2~3月には日米共同での離島奪還訓練を行った。この作戦では2週間は各島で戦わせ、その間に全国から軍を派遣し島を奪還することになっている。
最初にこの事実を報告した清水さんは会場に問いかける。「宮古、八重山の島々には12万人が住んでいる。この時、島の人たちはどうなるのですか」と。
そして、スクリーンには宮古島の自然と地形、自衛隊の基地や施設、反対運動の状況を記録した映像が次々に映し出される。
清水さんは「宮古島はきれいなサンゴ礁の島です。山も川もなく、標高150メートルぐらいの丘があるだけ。川がないから水源は地下水に頼っています」と宮古諸島の概要を紹介し、基地の説明に入る。野原(のばる)のレーダー基地は対中国のスパイレーダーだと言われているが、この基地は断層帯の上にあること、また保良(ぼら)の弾薬庫の300メートル先には保良の集落があり、事故の危険性があること指摘する。
伊良部島のきれいな渡口の浜の映像が映し出される。この浜は自衛隊と米軍の上陸訓練場である。隣接する長山港は海上保安庁の巡視船の拠点港であり、2隻だった巡視船が12隻に増強されたという。そして昨年の7月には、整備中の巡視船が陸上に向かって銃弾を8発誤射したことが明かされた。
千代田基地の映像は衝撃的である。ミサイル搭載車両を中心にした多くの軍用車両の車列がスクリーンいっぱいに映し出される。
「ここには地対艦、地対空等の7セットのミサイル搭載車両が配置されています。そして、これらの軍用車両に燃料を補給するために80トンの燃料タンクが埋設されています。この地下には空洞があり、土壌は辺野古と同じマヨネーズ状になっています。しかし、土壌改良をしていません。事故が起きたら周辺地域はどうなるのか。隊員の家族用宿舎の土地は土壌改良しているのに」と、彼女は怒りを露わにする。
住民連絡会の闘い=敵の嫌がることをどんどんやろう
ミサイル基地反対闘争の映像が映し出される。19年の宮古島駐屯地開設、20年の部隊の発足、21年の保良への弾薬搬入に対する反対闘争であり、日常的に行われている千代田基地ゲート前での抗議闘争、街頭でのスタンデイング闘争等の映像である。
「この2年、日米の共同訓練が絶え間なく続いている。去年の4月からは基地正面には銃を構えた兵士が立っている。また、街頭で抗議活動をする高齢者に対して、隊員の妻が暴行を加えるという事件も起きている」と説明する。
また、「重要土地規制法が適用されると基地への抗議闘争も、情報収集も罰則の対象になる。千代田基地正面の畑の所有者は私たちの仲間で、畑にはミサイル基地いらないと書いた旗を林立させている。その行為も国への届け出が必要になる」と彼女は危惧する。
「反撃能力とは先制攻撃に他ならない。飛行距離200キロメートルのミサイルを1000キロメートル以上に改良し、南の島々に配備するという。
そして米軍は沖縄の島々を移動しながら攻撃する。その時5万5千人の住民をどう避難させるのか。航空機400機で避難させる、シェルターを造ると言うが現実的とは思えない。5万5千人入れるシェルターをどこに造るのか。与那国島や沖縄島での避難訓練の時には、机の下に隠れろ、窓から離れろと指示している。ミサイルが飛んでくるんですよ」とあきれ顔で話した。
今年の2月~3月に陸自と米海兵隊が島嶼防衛を想定した訓練「アイアン・フィスト」を行ったが、その際の反対闘争でのエピソードを紹介してくれる。この訓練は徳之島や喜界島など自衛隊が駐屯していない島で行われ、一般公開もされていたようであり、反対闘争は海上自衛隊の艦船の前で行われた。この闘争はニュースになったそうである。
「1週間後に再度訓練があり、また港に行くと艦船が遠くにいる。一般公開なのになぜあんなに遠くに停泊しているのかと防衛局に抗議をすると、予約した人は別の船で運んだと回答した。このことに見られるように、彼らは抗議闘争を嫌がっている。彼らが嫌がることはどんどんやろう」と、彼女は笑いながら、しかし力強く語ってくれた。
清水さんは最後に宮古島に連れてこられた従軍慰安婦の人たちの慰霊碑を2008年に建立し、毎年慰霊の催しを行っていることに触れ、「沖縄戦の悲劇を繰り返してはいけない。今、宮古島では戦争の足音が大きくなってきている。私たちももちろん闘うが、全国で戦争を止める闘いをしている皆さんと共に闘っていきたい」と締めくくった。
(山三)
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