どうなるの入管法
当事者が語る難民政策と人びとの命
【東京】5月8日午後6時45分から東京都練馬区の「ここねりホール」で「どうなるの?入管法 当事者が語る難民政策と人びとのいのち」集会が開催された。集会には練馬区民を中心に東京、埼玉などから労働者・市民が集まった。
第1部は「ロヒンギャ問題の歴史的経緯といま」という題名で上智大学名誉教授・ビルマ近現代史研究者の根本敬さんの報告、そしてドキュメンタリー作家による『Light up Rohinngya(ライトアップ ロヒンギャ)の上映、在日ミャンマー・ロヒンギャ難民のミョーチョーチョーさんのお話。
根本さんはビルマ現代史研究者で、1985年10月から1987年10月まで当時の「社会主義ビルマ」に留学し、その後東京外語大、上智大学で教授を務めた。ビルマ・ミャンマー問題の第一人者とされる。根本さんは「ミャンマーにおけるロヒンギャ問題の歴史的背景とクーデター後の状況」というテーマで、「ロヒンギャ問題の歴史的背景」「なぜミャンマー国民の多くはロヒンギャを排斥するのか」、「クーデター発生、2021年2月1日に起きたこと」、「クーデター後に変化は見られるのか」、「『クーデターではない』と主張する国軍」、「現実はクーデターそのもの、市民はすぐに抵抗開始」、「弾圧をおしすすめる国軍」、「ここ1年間の主要弾圧事例」、「ごく最近の非人道的攻撃」、「クーデター後に変化を見せる国民のロヒンギャ観」、「国軍の計算違い」の各項目に沿って説明した。
人権無視の
難民政策NO
なお最新の「非人道的攻撃の例」としては4月11日に、北部のパズイージー村を戦闘機とヘリで空爆し、ロケット弾投下と機銃掃射で大人133人(男性107人、女性24人、2人は性別不明)、子ども38人、総計171人を殺害したことが明らかになっている。
さらに先に紹介されたパズイージー村の例以外にも、昨年10月23日にはカチン民族のコンサート会場を軍が空爆し、60人以上を殺害したのである。
しかしこうした軍による弾圧のエスカレートは、軍による「実効支配」の地域が「国土の6割ほど」に止まっている、というミンアウンフライン国軍司令官による今年2月1日の国家国防安全評議会での発言に示されるように、国軍の「計算違い」が明らかだ、と根本さんは語った。
ミョーチョーチョーさんは「ミャンマー ロヒンギャとして日本で暮らす」とのテーマで、発言。彼は1985年7月に生れた。父親は軍の弾圧もあり外国に働きに出ていた。3歳になる前に父親が帰国しヤンゴンで暮らすことになった。ほんの子どもの時に、自分はイスラム教徒であることを認識した、という。彼は中学校時代に「民主化」に興味を持つようになり民主国民同盟(NLD)に加わった。その活動の中で民主化活動に参加するようになった。
彼の父親はブローカーと連絡をとり、逮捕されていた息子の釈放と、日本への旅費・ヴィザ、航空券などの一切を手配して、2006年8月に日本に送り出してもらった。日本に来てすぐに難民申請をしたが、2010年に申請は却下された。翌2011年には異議申請も却下され手錠をかけられ、入管に収容された。
各地の入管を転々とする中で2013年にはようやく仮放免になったが、さらに難民申請・放免を繰り返し、今年2月には3回目の難民申請も却下された。その間、彼を親身になって世話をしてくれた父親は亡くなってしまった(2022年6月)。
仮放免者の
生活と命
第2部は、「2023入管法の改悪がもたらすもの」。一般社団法人「反貧困ネットワーク」事務局長の瀬戸大作さんが報告した。テーマは『人が混ざらなきゃ文化なんか生まれねえ!!』」。
瀬戸さんは「仮放免者の生活と命を存続させるために必要なこと」と題して、まず第一に「就労を認めること」、そして「国民健康保険など医療保険の加入を認めること」、「無料低額診療事業を行なう医療機関への支援」、「未払補填事業への整備拡充を行うこと」、「生活保護法を適用すること」の重要性を訴えた。
入管法改悪を許すな! ミャンマーの人びとに自由を! (K)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社