声明 マイナンバーカードのトラブルは政府の責任 健康保険証は廃止するな! 番号法「改正」案は撤回を !
共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会(共通番号いらないネット)
転載
6月2日の参院本会議でマイナンバーカード法改悪案が成立した。自民・公明の与党と野党からも維新・国民が賛成に回った。同法改悪は保険証を廃止してマイナンバーカードを強要することで住民の管理支配のあり方をさらに強化するものだ。保険証の廃止・マイナンバーカードの強要を許すな! (編集部)
4月14日から番号法「改正」案が国会審議される中、マイナンバーカードのトラブルが止まらない。3月27日に横浜市で発覚した証明書コンビニ交付での誤発行は、5月になり足立区、川崎市、徳島市、新潟市・さいたま市・熊本市と続発し、しかもすべて原因が異なるという状態だ。当初「マイナンバーカードの信頼性に影響しない」と軽視していた河野デジタル大臣は、トラブルの広がりを見て5月9日に突然、原因となった富士通Japanのシステムを停止して総点検することを求めた。
さらに5月23日の記者会見で河野大臣は、番号法「改正」案で本人同意なく登録することが提案されている公金受取口座登録に、6自治体11件別人の口座登録があったことを公表した。25日には総務省が90自治体113件のマイナポイントの誤付与を発表し、さらに拡大の様相だ。
政府はこれらトラブルを「マイナンバーカードのシステムではない」と、自らの責任を認めない。しかしコンビニ交付もマイナポイントも、マイナンバーカード普及の目玉として政府が強力に推進してきた施策だ。それをトラブルが起きたとたん、業者の責任、自治体の問題、人的エラーと言い逃れしている。このような無責任な政府にマイナンバー制度が委ねられ個人情報の共有と官民の利活用が推進されていることに、私たちはますます不安を募らせている。
マイナンバーカードの取得は任意であることが番号法に明記されているにもかかわらず、「全住民への取得を徹底する」という法を逸脱した施策を強引に押し進め、市町村に過重な負担を強いてきたことがこれらトラブルの背景にある。取得の押しつけを直ちに止め、政府の施策で生まれたトラブルを自らの責任で解決すべきだ。
さらに5月12日に厚労省は、マイナ保険証に7312件の別人の情報がひも付けされ、5件が誤って閲覧されていることを明らかにした。これは個人情報の漏洩にとどまらず、別人の診療情報や投薬情報の閲覧により誤った治療が行われる可能性がある危険なトラブルだ。
この誤登録はすでに2021年3月に明らかになっていた。マイナンバーの誤登録だけでも約3万5千件発生し、2021年3月に開始予定だったマイナ保険証は誤登録の修正と再発防止のため10月に延期された。しかし開始後1年で新たに7312件が発生している。このことは今年2月に公表されているにもかかわらず、その後の誤登録の発生状況は不明だ。厚労大臣は7月までに点検するとしているが、このような状態で健康保険証廃止を決めることなど許されない。
政府はこの誤登録発生の責任を保険者(健保組合等)に押しつけている。しかしJ─LIS(地方公共団体情報システム機構)に氏名・生年月日等によりマイナンバーを照会する仕組みの困難さは、マイナンバー制度開始以前に総務省の有識者会議で「間違った紐付けが行われることと、厳格にやりすぎて紐付けが行われないこととのバランスをとる必要がある」と指摘されていた。マイナンバー制度の構造的な問題というべきだ。
健康保険証の廃止に対しては、マイナ保険証の申請や管理に困難を抱える施設入所者等や障がい者への対策が「検討中」状態で、準備不足の見切り発車であることが国会で明らかになった。申請しないと受け取れない資格確認書では、国民皆保険制度に穴が開く。医療現場ではマイナ保険証で正しい保険資格が取得できないとか、顔認証が読み取れないなどのトラブルが続発している。
マイナンバーカードの実際の取得率は66・4%であることが5月12日の国会審議で明らかになったが、政府の調査でも取得者の9割はマイナポイント目的で、マイナ保険証に利便性を感じていないことは受診者の93%が健康保険証を引き続き利用していることにも示されている。健康保険証を廃止してはならない。
番号法「改正」案は、税・社会保障・災害という利用範囲の枠をなくし、行政の判断で利用事務や情報提供を拡大しようとしている。政府は例外的な場合と説明するが、そのような限定や利用を監視する仕組みは改正法案にはなく、マイナンバー制度の歯止めなき利用拡大がはじまろうとしている。
私たちは、健康保険証を廃止し歯止めなき利用拡大に道をひらく番号法「改正」案の撤回を求める。
2023年5月25日
共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会(共通番号いらないネット)
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