入管法改悪参院本会議可決成立糾弾
強制送還、強制収容、生活破壊を許さない
6.9 議員会館前で多くの仲間が抗議
採決強行をやめろ! 入管法改悪を許さない!
【東京】6月9日正午過ぎ、参議院本会議で、与党などによって入管法改悪案が採決され、成立させられた。集った多くの仲間たちが「採決強行ノー、入管法改悪ノー」の怒りのコールをぶつけた。
この法案の施行が一年後ということであり、「何としても強制送還など移民・難民たちを困難に落とし込める政策の施行を止めよう、難民たちは私たちの仲間であり、共に生きていこう」と訴えられた。
雨の中、午前中から本会議で採決されるまで、参議院議員会館前で抗議行動が行われた。
難民弁護団が「立法事実がない」と訴えた。全労協渡辺議長が発言し「労働から排除されている難民の皆さん、将来働きたいと思っている難民の子どもたち、外国人の人権の回復、尊厳の回復に向けて共に闘っていきたい」と連帯のあいさつ。全統一労組は「多くの外国人労働者の相談を受けている。ベトナム人労働者がセブンイレブンの野菜カット工場で、大根の首を落とす仕事を三年間やった。腱鞘炎でぼろぼろになり、手の圧力が三分の一から四分の一になり、バイクのハンドルが握れなくなった。そうした働き方をさせておいて、都合が悪くなればさっさと帰れという。私たちはこんなことを認めるわけにはいかない」と実情を暴露した。
司会者が「若い人のシットインが増えた。当事者のクルド人が数百人参加した。昨日はラテンアメリカの労働組合の参加者、難民申請者の参加などがあった」と話した。
中央大学2年生。「関心を持ったのは3カ月前。国会前の集会に参加した。仮放免のクルド難民と会った。入管内で暴力を受けて、苦しんでいる。本来難民として保護されるべき人を殺害の恐れのある母国に送還するという法案であることが分かった。私たちの大切な人が強制送還されようとしている。命を奪われようとしている。絶対に黙っていられない。ここで採決するのを許さない。絶対にあきらめない」。
差別の法制化
を絶対やめろ
安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)。「父方が在日コリアン。コリアンは管理・監視の対象で、治安維持政策としてやられた。『出ていけ』という80年間の政策は変わったのか。入管法の改悪は差別の法制化だ。なぜ、めちゃくちゃな法案が出てくるのか、それは外国人を殴っても、殴り返してこないのが分かっているからだ。しかし、今回の反対運動は街中でスタンディングが行われ、SNSで発信された。これからが大切だ。死刑のボタンを押させない」。
多民族・多文
化社会実現へ
立憲の石川大我議員が与党案に反対の意見を参院本会議で述べた(別掲)。この後、仁比聡平議員(共産党、参議院議員)の反対意見表明などが行われ、本会議での採決が行われた。与党や維新・国民民主の賛成多数で、入管法改悪案は可決・成立した。
ただちに、移住連の鳥井一平さんが「入管法改悪反対! 現場で反撃していく。明日のために反対やノーを掲げて新たな闘いを取り組んでいこう。多民族・多文化をめざす」と発言し、採決糾弾のコールを何回も国会にぶつけた。
「あっけなく採決され、ものすごく悔しい。最低・最悪の法案だ。全国で98カ所で反対アクションが行われた。施行は一年ある。ずっと言い続け、闘い続ける」。
瀬戸大作さん(反貧困ネット)が「施行されるまで時間がある。施行させない闘いをやりたい。現場での闘いがある。デモや集会をやっていこう」、「シェルターがある。入管に手を出させない。つながった手を離さない。仲間を殺すな。守り抜こう。これからが本番だ」と発言。ミャンマー人のミョーさんが「入管法ノー、改悪ノー。命を守れ。共に生きていく仲間たちを守っていく」とコール。
本会議を終えて駆けつけた大椿ゆう子さん(社民党、参議院議員)が「被害者を出さないために、われわれが何をするか、問題が明らかになった。手をつなぐ仲間が増えた。引き続きがんばろう」と連帯のエールを送った。身近に難民・移民たちがいる。共に生きるために具体的な支援などの行動を作り出そう。 (M)

入管法を施行させない、現場で反撃を、と訴える移住連の鳥井一平さん(6.9)
石川大我さん(立憲、参議院)
本会議で反対意見
「反対の立場から討論を行う。昨日委員長職権による採決が行われた。真実が次々と明らかになり、立法事実が完全に崩壊している。人の命を奪いかねない法案を強行採決したことを満身の怒りをもって抗議する。人の命、人権がかかっている法案だ。この法案が成立すれば、迫害を受けた母国に強制送還されれば、逮捕・拘束・拷問・虐殺そうした迫害が待っている。おびえている人が身近にいる。命が見えているかどうか。全国の収容者と面会をしてきた。送還忌避者を数字で扱うことはあっても、固有名詞で扱うことはなかった。もし、見えていれば入管法に賛成できないはずだ」。
「二年前、スリランカ人のウィシュマさんが名古屋入管で亡くなるという悲しい事件が起きた。私は葬儀に参列した。ウィシュマさんの事件を二度と起こしてはいけない。議員立法の難民等保護法案を提出し、一括審議されたが与党議員の反対から、採決は認められなかった」。
「医療体制の問題二年前とほぼ同じ。反省がない。先日大阪入管では常勤医が泥酔状態で診察していたことが明らかになった。入管庁は調査中として、この事実が明らかにされていない。そして驚くことに、泥酔医師の俸給に対して没収しないと大阪入管は弁護士の質問に答えた。このまま泥酔医師にまかせるのか。難民認定を入管庁から独立させるべきだ。法案に賛成するということは死刑執行のボタンを押すことに賛成したことになる」。
「柳瀬・難民審査参与員の、難民はほとんどいない、という発言が政府案の重要な立法事実になっていて極めて問題だ。全国の参与員が2021─22年の二年間、49件の審査を担当し、9件の難民認定、6件の人道上配慮の在留特別許可を求める意見を出した。難民はそれなりにいると述べている。送還忌避者の中に、未成年の子どもが295人もいる。すみやかに在留特別許可が与えられるべきだ。難民条約に国連憲章、世界人権宣言があり、人間は基本的権利及び自由を、差別を受けることない、と確認している。1981年に難民条約に加入したわが国にとっても、守らなければならない」。
「日本が人権を守る当たり前の国になることを望み、私たちの野党案こそ実現したい。つないだ手を決して離さない。この法案は多くの人の命がかかった問題だ。一人ひとりの命に目を向け、隣人の命を自分ごととして考えよう」(発言要旨、文責編集部)。
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