投稿 名古屋レインボープライド2023に参加しました
商業主義的ではあったけどこれからのLGBTQの人たちとの連帯について考えるきっかけになりました
6月4日土曜日の午前11時から夕方6時まで、名古屋市の繁華街、栄にあるイベント用広場「オアシス21・銀河の広場」で「NAGOYA RAINBOW PRIDE(名古屋レインボープライド)2023」が開催されたので参加しました。主催は同実行委員会で、今回で11回目の開催になります。前日まで台風の影響で愛知県でも各地で大雨が降り、開催できるか前日まで分かりませんでしたが、当日は雲ひとつない大快晴となり、最高の天気の下での開催となりました。会場には企業や愛知県司法書士のブースが立ち並びLGBTQを象徴するレインボーフラッグやバッジ、レインボープライドのTシャツなどが売られていました。また飲料メーカーのチェリオがレインボープライドのためだけに虹色のジュースを販売、7種類の果物を挟んだレインボーサンドウィッチなどが売られていました。大須の「ういろう」も店を出していました。愛知県司法書士のブースではLGBTQの人たちのための生活相談が行われていました。
レインボープ
ライドの想い
午前11時ちょうどに開会式がレインボーブラスの演奏で始まりました。開会のあいさつでは名古屋レインボープライド開催の想いが述べられました。以下パンフレットより。「私たちはひとりひとり、それぞれが性別、性的指向、性自認、身体的特徴、国籍、信条、年齢など、多様・複数の側面を持ち合わせています。名古屋レインボープライドではLGBTQを軸に多様性について考えたいと思います。性自認にかかわらずすべての人がより自分らしく誇りをもって前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現をめざします。」
次に実行委員会のあいさつでは「性のありかたを軸として、人が持つあらゆる違いをお互いに祝福する。それがハッピープライドです。」と述べ世界人権宣言第7条を紹介し、「ハッピープライドをオアシス会場で、孫屋の街中で、たくさん体感できるような1日になりますように!HAPPY PRIDE!」と呼びかけ、開会のあいさつとしました。
LGBTQと若い
女性が多く参加
いよいよ名古屋レインボープライドが始まりました。ステージではセミプロ、アマチュアのアーティスト、アイドルなど11組が歌やダンスを披露し会場を盛り上げました。参加したアーティストには多くのLGBTQの方もおり、この社会の中で自分らしく誇りを持って生きていくことを力強く発言しました。
時間が経つと参加者がどんどん増えてきました。私が初めて参加したのは「レインボーパレード」で2010年か11年頃でしたが当時は企業のブースなどはなく、LGBTQ当事者が中心に集まり、思い思いの衣装でパレードを行うというものでしたが今回は参加者の層が違います。LGBTQ当事者の参加者も多いですが、そうでない人の参加者が非常に多かったように思います。特に若い女性の参加者が圧倒的に多かった。また子ども連れの若いお母さんも、お父さんも多く参加し海外からの参加者も多くいました。
久しぶりに見た
大規模パレード
中盤には栄の街を1周するパレードが行われました。全部で5梯団ですが1つの梯団がすごい人数で長く、久しく見ていない光景でびっくりしました。パレード参加者は、1000人以上はいたと思います。私は第2梯団でしたが先頭のサウンドカーはチェリオの専用トラックでした。沿道からの反応もすごく良く。ここでも元気に声援を送ってくれた人たちは若い女性がすごく多かったです。出発の時はとなりの名古屋YWCAの屋上からレインボーフラッグを振ってエールを送る人もいて最高に盛り上がりました。本当に多様な人々が参加し、ひとつになった名古屋レインボープライドでした。
なぜか極右・保守の河
村名古屋市長らも賛同
今回の「名古屋レインボープライド2023」は、いつごろからか分かりませんが開催にあたって多くの大企業がスポンサーとして協賛・協力をしていました。総勢48社。会場のブースでは飲料水メーカーの「チェリオ」や「三洋化成工業」「イケアジャパン長久手店」「資生堂」トイレの「TОTО」などの他「愛知司法書士会」「社会保険労務士」行政では岡崎市が出ていました。後援では愛知県、名古屋市の他、愛知県下18の市と岐阜県関市が名を連ね、それぞれメッセージを送っています。その中には名古屋市長の河村たかしもいました。愛知県の各市では2022年からファミリーシップ制度が制定され、その意義を強調する内容でした。ところで河村たかしといえば愛知トリエンナーレで「表現の不自由展」で極右と一緒になって座り込み抗議で反対したり、維新や同じく極右の高須克也と組んで「愛知トリエンナーレ」実行委員長の愛知県知事の大村秀章リコール署名偽造事件をおこすなどした札付きの極右です。(ちなみ愛知県知事、大村秀章のメッセージはなかった)これら大企業や保守系(極右も1人)が妙に全面賛同・協力していることについて考えたいと思います。
LGBTQは6
兆円の巨大市場
2012年に発表された電通ダイバーシティ・ラボ(HPによると企業や社会の取り組みを支援する専門チームとなっていた。)による第1回「LGBT調査」での調査結果を受けてLGBTの存在が経済的な側面から注目されるようになりました。2012年には東洋経済、2014年に週刊ダイヤモンドが相次いで「LGBT市場」を特集し、さらに2015年に発表された「LGBT層の消費市場は約6兆円」という数字になり経済界に衝撃を与え、LGBTは新たな市場として捉えられるようになったそうです。
さらに企業で働くLGBTQの人たちをサポートするための取り組みを始めた企業も増えており、東洋経済が行った「第14回CSR調査(2019)」では「LGBTに対する基本方針(権利の尊重や差別の禁止など)の有無」を聞いたところ、「あり」と答えた企業は330社で、2014年の同調査の114社から3倍近く増加したとのことです。(参照:NEWSPICKSのHPで「LGBT市場は6兆円?企業のLGBT施策に求められる視点」松岡宗嗣さん寄稿より)
闘いの成果!大学や公共施設で増える男女共用トイレ
2018年にはお茶の水女子大学がトランスジェンダー女性の入学受け入れを決定したのを最初に現在5つの女子大学が同じく受け入れを決定しました。それ以外にも私が確認しただけでも東京女子大学や津田塾大学、他1校がトランスジェンダー女性の受け入れを行うための検討を開始しています。それ以外にも東京大学や早稲田大学など多くの大学でトランスジェンダーの学生が安心して使えるオールジェンダートイレ(大学によっては誰でもトイレ)が次々と設置されています。公共面では私の知っているだけでも名古屋市公会堂の中や京都市営地下鉄の各駅にも男女共用のトイレが設置されているのを見ました。これはLGBTQ、そしてフェミニストの人たちが声を挙げ続け、闘ってきた成果だと思います。
企業がLGBTQの人たちに対し、人権や差別、偏見をなくすための努力をすること、LGBTQの人々が生き生きと働ける環境をつくることは素晴らしいことだと思います。TОTО(トイレなど製造企業)のパンフレット「考えよう!みんなのパブリックトイレ」にはジェンダートイレとは何か、なぜ必要なのかをわかりやすく解説していてとても参考になりました。
巨大ゼネコン
という面も
こうして見ると企業や保守系、地方行政がLGBTQの人たちを応援しているように見えますが信用するべきではないと思います。これらはあくまでも金儲けのためであり、特に男女共用トイレは巨大なゼネコンとしての意味があります。LGBTQの人たちが働く環境をよくすることや、共用トイレを増やすことは賛成ですが企業主導では儲かるか儲からないかの価値基準で行われているのであって本当の意味でLGBTQの立場に立ったものではないからです。
環境を良くしようとする企業は増えてきてはいますが大企業だけであり、競争に勝ち抜いたLGBTQだけがよい環境で働けるようになれば、それは新たな分断と格差が生まれるだけです。なによりも今現在、LGBTQの人々が職場で、学校で、地域でどのような状況に置かれているのか?差別や偏見に基づく暴力や人権侵害、その他の被害がどれくらいあるのか、まだまだ社会的に可視化されていません。
労働現場では面接の段階で落とされ、職場内の差別で心を病んでしまう人たちの話をよく聞きます。学校で子どもがいじめに遭い登校拒否になり、自殺に追い込まれる話もよく聞きます。問題は「よく聞く」だけだということです。海外に目をむけると右翼ファシストや宗教右派による暴力や殺人が相当あるように思いました。(2019年のフランスのレインボーパレードは周りを武装警察官が包囲しながら行われ、右翼ファシストの襲撃から守っていた動画がユーチューブに上がっていた。)https://www.youtube.com/
(杉田達郎〈愛知県名古屋市〉)

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