鹿児島を日米の軍事拠点にするな! 6・4かごしま集会

投稿 馬毛島の基地建設をやめろ! 奄美のミサイル基地強化反対! 鹿屋の米軍無人機配備反対!

尾形 淳(南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会会員)

 6月4日(日)午後2時から鹿児島市中央公園で、「大軍拡・大増税NO!鹿児島を日米の軍事拠点にするな!6・4かごしま集会」が、250人の参加で行われた。主催は「憲法壊すな・戦争法廃止!鹿児島の会」、共催は「鹿児島を戦場にさせない県民の会」であった。
 立憲民主党、共産党、社民党の各県連代表が挨拶したことに見られるように、鹿児島県における「総がかり行動」的な取り組みだったと思われる。
 「大阪の会」はその前日の3日に種子島を訪れ、西之表市で基地建設反対運動に取り組む人たちと交流会を持った。そして、4日には鹿児島市での集会に参加した。私が強く感じたのは基地現地の人のみならず、鹿児島の人たちの基地建設に対する危機意識の強さであり、全国の人たちにその危機意識が伝わっていないというもどかしさである。

―種子島訪問と反対派の人たちとの話から―
工事中の馬毛島を上空から観望

 台風2号の影響で種子島に行けるのかと心配したが、3日は風が少々あるものの朝から晴れ、鹿児島空港を飛び立った飛行機が外海に出るとすぐ、ほとんど真下に西洋の中世の騎士の盾の形をした島が見えてくる。馬毛島である。滑走路と横風用滑走路の予定地なのだろうか、二本の土色の直線が交差し十字架に見える。白いコンクリートの建物がいくつか見え、西海岸からは桟橋のようなものが海に向かって伸びている。工事は始まったばかり、島全体はまだ茶色で覆われている。

軍事演習の場所はきれいな自然海岸

 種子島には自衛隊員の官舎は建設するが駐屯地は置かないとされている。また官舎の予定地は決まっているが工事は始まっていないので、島内での工事現場や新しいコンクリート建造物は馬毛島の基地建設の工事関係者のものばかりである。
 特筆すべきなのは、日米合同軍事演習=島嶼防衛・離島奪還訓練場としての種子島の海岸の重要性である。軍事演習に訪れた自衛隊の幹部は「こんなに軍事演習に適切な場所はない」と語ったと伝えられている。それを例証するように島嶼防衛、離島奪還等の軍事演習は日米合同演習を含めて、近年頻発している。 その海岸が種子島西南部太平洋側の熊野海岸であり、前の浜海岸であり、島東部の長浜海岸である。熊野海岸と前野浜海岸には砂浜が広がり海水浴場になっていて、沖には大小の岩礁が連なっている。前之浜の砂浜はウミガメの産卵地にもなっている。
 この熊野海岸と前之浜海岸の浜辺と砂丘を掘り崩し、塹壕帯を構築し、上陸訓練、上陸阻止訓練、降下訓練を行う。ウミガメの産卵期ははずして訓練をしていると言うが、砂浜を掘り崩し、地形を変形させての訓練である。産卵に訪れるウミガメの減少が心配されている。
 長浜では完全装備の兵士による行軍訓練が行われる。名前のとおり長浜は全長12キロの砂浜が南北に伸びていて北の端は低い緑の丘陵で断ち切られる。行軍は20キロ近く、浜辺から丘陵の森を貫いて行われる。森の自然破壊が憂慮されるわけである。
 長浜を北上すると左手(西)海上に薄っすらとコニーデ型の島影が見えてくる。馬毛島である。コニーデ型とはいえ標高71メートル、基地建設で最高点は削られ平らな島になる。

飛び交う金にまつわる話

 西之表市の市街地に入り、工事関係者の宿舎、自衛隊員の官舎建設予定地、工事関係者等をあてにしたコンテナ型ハウス群を見る。
 種子島では今、様々なカネにまつわる話が取りざたされている。まず米軍再編交付金、23年度予算では西之表市へ20億7200万円、中種子町に5億1800万円、南種子町に2億4200万円が交付される。来年度はこの額が倍増されると言われている。ちなみに、西之表市の2023年度の一般会計予算額は126億6600万円、前年度比15パーセント増である。西之表市の予算における米軍再編交付金の占める位置の大きさがわかる。
 基地反対を表明して当選した矢板西之表市長は、現在基地建設への態度を曖昧にしている。しかし、反対派の人たちは口々に言う、「金を貰っておいて反対できるわけはない」と。
 4月1日時点で、種子島には800人強の工事関係者が滞在している。来年2月には3000~4000人、工事のピーク時には6000人になるという。現在の種子島の人口は約3万人弱、工事関係者の島に与える影響の大きさがうかがえる。
 馬毛島へ工事に行けば、島の労賃の2~3倍の2~3万円になる。漁船で馬毛島に工事関係者を運べば10万円になる。そして、家賃が2倍、3倍に高騰し、前述した狭いコンテナ型の住居の家賃が月10万円という噂さえある。この噂には首をかしげるが、家賃が2~3倍になり、従来の借家人が立ち退きを求められるケース出ているというのは事実だろう。
 基地工事の影響を受ける馬毛島周辺の海域の漁業権は、組合員の3分の2の賛成で放棄された。しかし、正規の漁協組合員の中でも、漁業で生計を立てている者は圧倒的少数者だそうである。主な生計を漁業で立てていない組合員にとっては保証金を貰って、自前の舟で工事関係者を馬毛島に運び運賃を稼ぐことは、なんともおいしい話には違いない、
 しかし、漁業に誇りを持ち、漁業で生計を立てている組合員にとっては死活問題である。漁業権が放棄された海域は種子島でも有数の漁場だからである。ちなみに、漁協では売却金の分配をめぐって内紛が起きているという。

―6・4鹿児島集会―
全国に広まれ、基地建設やめろの声

 開会のあいさつに立った「鹿児島を戦場にさせない県民の会」事務局長の吉田さんと、「憲法壊すな・戦争法廃止!鹿児島の会」の共同代表の飯田さんがこもごも語ったのは、「南西諸島へミサイルが配備され、軍事化が急速に進められている」ことであり、「台湾有事を想定した自衛隊と米軍の一体化が進められている」ことである。そして、「こうしたニュースが東京や関西ではほとんど報道されていない」という現実である。そして、二人の発言に共通していたのは野党共闘と市民の合流した戦いの発展だった。
 次に、立憲民主党、共産党、社民党の各県連代表の挨拶があり、今日の集会のメインである鹿児島県各地で自衛隊基地の反対運動に取り組んでいる団体の特別報告に移った。
 最初の発言は「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の副会長の前園さん。発言に先立って種子島から参加した13人が横断幕、プラカードを掲げて前列に並ぶ。前園さんは、「住民説明会で米軍のFCLP(艦載機の陸上離着陸訓練)は行うが、大規模災害に備えた施設と説明をしていた。現実には米軍FCLPに加え、陸海空の自衛隊の訓練を年間130日行うとしている。1日平均の飛行回数は180回、米軍のFLPは夜中の3時まで行うという。平穏な島の生活を壊す馬毛島の基地建設を容認することはできない。10キロしか離れていない場所に最初に攻撃される基地ができるのはまっぴら」と力強く語った。
 鹿屋の松下さんは「米軍の訓練時には、事前情報があった。しかし、МQ─9(2千キロ近い航続距離を持つ米軍の無人攻撃機)に関しては全く情報がなく、事前に反対運動はできなかった。8機配備されているが、飛行状況も、任務も一切明らかにされていない。МQ─9はウクライナに実践配備され、戦車攻撃に使用されている。鹿屋基地が米軍との共用の軍事基地になることは何としても阻止しなければならない」と決意を述べた。
 「奄美の自然と平和を守る郡民会議」の議長の星村さんは「基地ができてしまうと島の空気が変わってくる。この雰囲気に抗していくためには、みんなで集い、意思確認をし、最後の一人になっても戦っていくという気持ちが大事。軍拡に向かう日本の流れ、世界の流れを変えていかなければならない」と締めくくった。
 次に決意表明として、「憲法を守るピースアクション」、「川内原発20年延長を問う県民投票の会」等の発言を受け、「和平基軸の東アジア共同体構築を目指し、日米の軍事拠点にさせないことを総意とする」という集会決議案を採択をして集会を終えた。
 集会終了後、中央公園を取り巻く国道10号、58号で「軍拡反対」「基地建設やめろ」の旗を掲げ、シュプレヒコールの声を上げ、スタンディ
ングを行った。

鹿児島に米軍はいらない!の訴え(6.4)

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