マイナンバーはプライバシー権の侵害だ
マイナ保険証やめろ!
マイナンバーカードを強制するな!
岸田政権の居直りを許さない
戦争国家化と一体の
マイナンバー制度
マイナンバートラブルの連続で民衆の不安が高まっている。時事通信の世論調査(7月7~10日)では岸田内閣の支持率は前月比4・3ポイント減の30・8%で2カ月連続で支持率が下落している。とりわけマイナンバーのトラブルについて『これらのトラブルについて、政府の対応が適切だと思うか』という質問に『思わない』が64・2%、『思う』の12・9%だった。
NHKの世論調査(7月7日~3日)でも岸田内閣を「支持しない」が41%、マイナンバーの利用範囲を拡大に「賛成」が35%、「反対」が49%、「わからない、無回答」が17%。2024年秋に今の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化させる政府の方針に対しては「予定どおり廃止すべき」が22%、「廃止を延期すべき」が36%、「廃止の方針を撤回すべき」が35%だった。
このように民意は、岸田政権に対してNOを突きつけている。ところが「健康保険証の廃止、マイナンバーカードへの一本化」を中止するどころか、あげくのはてに河野デジタル相は「混乱しているので、マイナンバーカードの名前を変える」などと意味不明なことを放言する始末だ。それだけではない。マイナンバーカードを持たない人に対しては「資格確認書」を「申請」なしでマイナ保険証を持っていない人に送付することも検討すると言い出した。ならば「健康保険証の廃止、マイナンバーカードへの一本化」をやめればいいだけの話だ。
居直りはこれだけではない。総務省は、公表している交付枚数8700万枚に死亡などで廃止されたおよそ500万枚が含まれていたことを隠しきれず明らかにせざるをえなかった(7月13日)。松本総務相は、「マイナンバーカードの普及状況を示す一つの指標として、累計の交付枚数を公表してきたが、今後は、廃止分を差し引いた枚数を毎月、ホームページで公表していく」などと述べ、なぜインチキな数字を公表してきたのかの反省もなくふざけた発言をしている。あらためて岸田政権のウソつき体質をダメ押し的に自認せざるをえないのだ。
岸田政権の狙いははっきりしている。日米安保のグローバル化と実戦体制への踏み込み、セットで国内治安弾圧態勢と民衆監視管理強化を構築せんとする戦争国家体制への一環としてある。例えば、自衛隊の自衛官募集業務は、自治体の協力とともにマイナンバー制度をフル回転させ、志願者激減を少しでも抑えようと必死だ。公安政治警察は、基地周辺の住民監視のために個人情報をマイナンバーシステムを悪用して収集し、弾圧の機会を狙っていくのだ。
さらに資本に対しては、民衆サービスと称してビッグデータを取得させ、使い放題によって金儲けに貢献しようとしている。「赤旗」(7月13日)が「マイナンバー 政官財の癒着 受注4社が自民党に献金5・8億」していることを暴露している。富士通、日立製作所、NEC、NTTデータは、自民党に高額献金しているだけではなく内閣府や総務省、財務省、経済産業省、国土交通省などの幹部が多数天下りしているというのだ。政官財癒着構造が推進力として推し進め、マイナンバーカードを任意から強制的に持たせることに向けて突き進んできたのである。このような流れを許してはならない。
マイナンバーシステ
ムの破綻を認めろ!
日沖博道(ITmedia ビジネスオンライン)は、「マイナカードでトラブルはなぜ起きているのか」と設定し、以下の5つについて整理している(6月15日)。
①コンビニ交付サービスでの誤交付
マイナカードで住民票の写し、戸籍証明書などを交付するコンビニ交付サービスで別人の証明書が発行された。
これまでに4自治体で14件が発生。明らかにシステムの不具合だ。
②マイナ保険証の誤登録
マイナカードと保険証を紐づけにおいて、別人情報が登録された。全国で7312件発生。膨大な登録入力作業のため誤入力へと追い込んでしまった。
③公金受取口座の誤登録
他人の公金受取口座が誤ってマイナカードに紐付けられて登録された。7月時点、全国で約14万件。
④マイナポイントの誤付与
マイナポイント制度において、誤って他人にポイントが付与されていたのが173件。
これも自治体のポイント申し込みが窓口に殺到してしまい、前の人がログインしたままの画面で申し込みをしたため、前の人のカードの情報と自分が登録する決済サービスがひも付いた。明らかに岸田政権によるポイントを「餌」にして急ピッチで登録者数を増そうとした人災事故だ。
⑤マイナポータルでの他人の年金記録閲覧
共済組合で1件確認されている。
河野太郎デジタル相は「ヒューマンエラー」だと述べ、現場の労働者へと責任転嫁している。問題ははっきりしている。このようなマイナンバーカード破綻政策自体の検証が問われているにもかかわらず、そのためにただちに停止し、総点検、廃止も含めた判断だけはしたくないという悪あがきでしかない。
日沖は、「国民の多くがユーザーとなる手続きをシステム化するなら、そうした人為的ミスがあっても登録完了前に(エラーになるなど)気づきやすいようにシステム上の工夫をしておくのが当たり前なのに、それができていないのだから許されるものではない」「一連のトラブルを招いておきながら、政府は2024年秋に健康保険証を廃止して『マイナ保険証』に一本化する方針を未だ取り下げておらず、河野大臣が自分への『何らかの処分』を口にするだけだ。国民の不安を取り除いて信頼を回復するポイントを見誤っていないだろうか」と批判している。
さらに全国保険医団体連合会は「マイナ保険証のトラブル調査」(5月23日から6月19日/41都道府県10026医療機関から回答)結果によって、よりマイナンバーカードシステムの破綻を立証している。
①医療機関(8437件)のうち、65・1%(5493医療機関)でトラブルが発生。 ②トラブルの種類
「無効・該当資格なし」と表示された:3640件(66・3%)
マイナ保険証の不具合で読み取りできなかった:1101件(20・0%)
カードリーダー等の不具合でマイナ保険証を読み取りできなかった:2660件(48・4%)
患者から苦情を言われた:679件(12・4%)
マイナ保険証「無保険扱い」で10割請求1291件(23・5%)。
さらに政策破綻の数字としてデジタル庁は、カードを返納した件数が、発行開始から7年間の累計でおよそ47万件であることを明らかにした。この間の自主返納は、「セキュリティー面で不安がある」「トラブルに巻き込まれるのはいやだ」など、制度への不信感を挙げ、4月が124件、5月が205件、6月が899件と増加傾向にある。それでもカードを返納しても個人情報、紐づけはそのまま維持するのだというから人権無視もはなはだしい。
岸田政権は、マイナンバー制度の破綻を認め、マイナ保険証の廃止、マイナンバーカードの強制を中止しなければならない。
(遠山裕樹)
マイナンバーカードはいらない、と新宿アピールデモ(7.15)
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