7.12石垣・与那国現地ツアー報告&講演
琉球弧をいくさば(戦場)にするな!
沖縄の闘いと連帯する東京東部集会実行委
【東京東部】7月12日午後6時半から、江東区亀戸文化センターで「琉球弧をいくさば(戦場)にするな! 石垣・与那国現地ツアー報告&講演会」が沖縄の闘いと連帯する東京東部集会実行委の主催で行われ、94人が参加した。
最初に、6月2日~6日に行われた石垣・与那国現地ツアーが映像を交えながら報告された。
6月2日、石垣島に着き、ガイドを引き受けてくれた上原正光さんと合流。自衛隊が北朝鮮の衛星発射に備え、2日未明に南ぬ島にPAC3を配備したとの情報が入り、抗議行動に参加。翌日も抗議行動を行う。石垣島自衛隊駐屯地には500人の隊員とその家族を入れて千人程度が移住している。午後からは、「石垣島の平和と自然を守る市民連絡会」が毎週土曜日に行っている市内でのスタンディングに参加。午後からは石垣駐屯地へ。
6月4日、与那国島へ。車道を悠々と闊歩する馬たちに驚き。馬の背後には自衛隊の駐屯地。5日、与那国駐屯地へ。ここには沿岸監視隊が入っている。レーダーサイトが林立している。与那国にもPAC3が配備されている。自衛隊は「有事の際に何でも出来る即応部隊配置に対応できることを目指している」という。自衛隊基地強化をより進めようとしている町長に対して、ミサイル配備・軍拡計画に対して疑問をていする市民と交流をしてきた。
この後、ツアーに参加した二人の仲間から感想が述べられた。「戦争の準備ではなく、与那国自立ビジョンの実現を。台湾との間でジェットホイルを就航させ公益を通じて発展させよう。東アジアの平和の発信地になってほしい」。
続いて、石井暁さん(共同通信社 編集局専任編集委員)が「台湾有事と日米共同作戦計画―南西諸島を再び戦禍の犠牲にするのか」と題して講演を行った。(別掲載)
環境破壊の
基地建設NO
続いて、大仲尊さん(沖縄一坪反戦地主会・関東ブロック)が与那国での状況を報告した。
「暗いニュースばかりで自衛隊に完全に制圧されているような状況だ。5月にミサイルが配備されているので住民説明会を開けということで説明会があった。100人以上の島民が参加した。自衛隊に反対したメンバーがほとんど出ていた。これからやるぞという意気込みがあった。糸数町長は完全に自衛隊に取り込まれている。住民に説明することができない」。
「元々住んでいる住民たちで『小島』という会議を立ち上げた。何をめざすのか。糸数町長を引きずり降ろさなければいけない。ようやくそういう動きが始まった。新しい闘いが始まる。駐屯地の東側にミサイル部隊の拡張をするという動きがある。ところがそこには14世紀の遺跡が埋まっている。町議会ではそれを残せとしている。自衛隊基地の南側に軍港を作れと自民党の萩生田に言った。しかし、琉球弧の中では最大の湿地帯がある。それをつぶして軍港にするのか。また、すぐ近くにサンゴ礁がある。それをつぶしていいのか」。
「与那国島はこのまま黙ってはいない。台湾有事をひっくり返すことが与那国で起これば、石垣や宮古に波及すると希望的に思う」。
最後に、錦糸町駅、北千住駅での宣伝活動に参加が訴えられた。 (M)
石井暁さんの講演から
台湾有事と日米共同作戦計画―南西諸島を再び戦禍の犠牲にするのか
台湾に近ければ近い程、住民、自衛隊員の危機感は強くなる。台湾から110キロしか離れていない与那国の人々はものすごい危機感が強い。去年の8月に、アメリカの下院議長のペロシさんが台湾に行って、その後、中国軍が台湾島を囲むように大演習を行った。与那国の近くのEEZ(排他的経済水域)にミサイルを発射している。その時の与那国の駐屯地にいた自衛官たちに恐怖があった。
2021年12月24日に、「南西諸島に攻撃拠点、米軍、台湾有事で展開、住民巻き添えの可能性」という記事を沖縄タイムスや琉球新報に書いた。今の状況を象徴的に現わしている。
自衛隊は与那国、石垣、宮古、沖縄本島、奄美大島にミサイル部隊を置いている(与那国はこれからですが)。地上発射で船を狙う地対艦、地上発射で航空機を狙う対空ミサイルを置いている。専守防衛の下で、置いたものが米軍と自衛隊の関係でとんでもないことになっている。単に日本を守るために置いているわけではない。台湾有事を念頭にして置いている。米軍とからんでいる。そこが大きな問題だ。
種子島の近くにある馬毛島には航空自衛隊の大きな基地ができて、米軍が空母艦載機の訓練をする。そこも台湾有事をにらんでいる。
南西諸島、
米軍臨時拠点に
台湾に中国が武力侵攻した時に、日米が一緒に戦う共同作戦計画を作っている。当然住民も巻き添えになるリスクがある。
米中対立激化。習近平は、台湾に対する武力統一は排除しないとずっと言っている。もし台湾が独立宣言したら、武力を使って台湾を併合する。それに対して、台湾の蔡英文総統は独立志向が強い。米中はだんだん激しく対立してきて、お互いに軍事的圧力を強化してきている。
バイデンは「中国は唯一の競争相手」「民主主義と専制主義で対立している」と主張。中国は台湾のADIZ(防空識別圏)へ戦闘機や爆撃機を侵入させている。米国は同盟国との演習増加、中国が最もいやがる軍艦の台湾海峡を通過させている。
事態認定―
戦争への段階
中国が台湾に武力行使する。中国と台湾の間で戦闘が始まる。そこで米軍が軍事介入を視野に展開することを決断する。米軍はEABO作戦、南西諸島の40の島々に小規模部隊で展開する。この時、日本政府はどうするか。そのままだと日本が危険になる重要影響事態を認定する。自衛隊は米軍の後方支援にあたる。これが第一段階。
そして、集団的自衛権を行使する。自衛隊が中国に対して、米軍といっしょに武力行使する。さらに、中国が沖縄の嘉手納とか普天間とか在日米軍基地、あるいは南西諸島の40の島々にある海兵隊の臨時拠点を攻撃してきたら、日本の有事になる。個別的自衛権で自衛隊が武力行使。与那国も石垣にある自衛隊の部隊はこうした流れの中で巻き込まれていく。
南西諸島での動き
陸上自衛隊の15旅団は那覇市にある部隊。それを増強して15師団にする。連隊をひとつ増やす。日本版海兵隊と言われている水陸機動団の連隊として増やす。米海兵隊と連携して動かす、それが目的。米海兵隊を海兵沿岸連隊に改編。さらに、陸自と米海兵隊が離島奪還訓練を23年からハワイか南西諸島かグアムで行う。今までは中国を刺激しないようにしていたのに、中国の目の前で行い、見せつけるという脅しだ。海兵隊ではなく、陸軍も訓練している。普通の戦争ではなく、宇宙とかサイバーとか電磁波とか新しい分野を駆使して戦う部隊だ。その部隊を南西諸島に展開したいという構想だ。戦場になる所に住民たちがいるが、彼らの発想には住民は入っていない。
台湾有事に参戦しない
日本は日中国交正常化して、日中平和友好条約を結んだときに、何を中国と約束したかといえば、「一つの中国」、台湾は中国の一部だということ。台湾の人にとっては冷たい言い方かもしれないが、台湾問題は中国の内政問題、中国が武力侵攻したとしても「内戦」との解釈ができる。台湾有事が起こることを阻止する。対中外交を強化する。さらに、蔡英文総統以後の総統に対しても、独立宣言をしてはいけないと強く訴えていく。
たとえ台湾有事が発生しても米国の参戦を阻止しなければいけない。日本は参戦しないと宣言しないといけない。具体的にはどういうことができるかと言えば、嘉手納基地から戦闘作戦行動に戦闘機を発進させる時には日米安保に基づき事前協議が必要だ。この事前協議で拒否することはできる。あらかじめ、伝えておけば米国はちょっとでもためらうはずだ。
最後の最後、米国が台湾有事に参戦した後、日本では集団的自衛権が行使できる「重要影響事態」「存立危機事態」を認定しなければならない。これは国会の承認が必要だ。国会で承認しないという手がある。われわれの一票で決める。国政選挙は極めて重要だ。
日米同盟か国民の生命か
安倍元首相は集団的自衛権の行使を含む安全保障法制ができたとしても、「米の戦争に巻き込まれることは絶対にない」と答弁していたのに、「台湾有事は日本有事、日米同盟の有事」(2021年12月)だと、立場を変えてしまった。じゃあ、本当に台湾有事に参戦するのか。自民党の国会議員の中にも親台湾派の人たちがいる。蒋介石のおかげで日本は独立が保てたとか言う勝共の人たちがいる。そんな一人が安倍晋三だ。台湾は自由で民主主義だ。その人たちのために日本が戦争をしなければいけないのか。ウクライナのために自衛隊出して戦わないでしょう。あるいは殺傷兵器を日本はウクライナに提供しないでしょう。ここは非常に重要だ。
戦後新しい憲法ができて、その後日米安保が改定していって、常に憲法と日米同盟は緊張状況にある。どちらを重視するのか、問われている。安倍さんは日米同盟が大事だから戦うべきだという。自衛隊は日米同盟を守るために参戦しなければいけないのか。日米同盟は国民の命より大事なのか。どっちが大事なのか。日米同盟なんてどうなってもいいではないか。日米同盟を守るために戦争をする必要はまったくない。南西諸島の人々の命を守るために参戦しないのが正しい道だ。(発言要旨、文責編集部)
講演する石井暁さん(7月12日)
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