海を思う7・17海の日アクション

「復興ってなんですか?」
原発被災者から怒りの問いかけ

汚染水海洋投棄は暴挙だ

 【福島】「復興ってなんですか!」と大熊町から避難中のお母さんは「海の日アクション」で政府の汚染水海洋投棄を糺した。政府・東京電力は「大熊町・双葉町の復興に欠かせない」として汚染水のお盆明け海洋投棄を図っている。しかし造設地は空間線量20mBq、近傍(100m)には10万Bqの放射能汚染物質が存在する地点。この様に政府・東京電力の大熊町・双葉町の復興政策は欺瞞に過ぎない。
 欺瞞的復興を理由として、福島県を越え広範に広がる「汚染水海洋投棄反対」の声を無視し海洋投棄強行を図る政府・東京電力の姿勢は県内住民の分断をもたらす暴挙である。政府・東京電力による汚染水海洋投棄を止めよう。

「これ以上海を汚すな」

 「海を思う7・17海の日アクション」は7月17日、「これ以上海を汚すな市民会議」及び「さよなら原発1000万人アクション」実行委員会の共催により、福島県いわき市小名浜港のアクアマリンパークで開催された。
 アクションは、海を想うアトラクション・専門家のゲストトーク・市民のリレートークにより構成され、最後に海といのちを守るパレードが行われた。
 アクションは共闘二者の挨拶で始まり、初めに「これ以上海を汚すな市民会議」共同代表の織田千代さんが発言した。
 織田さんは「国も東電も『基準値以下に薄めて流すから問題ない』と言いますが、放流するのは処理が不完全な『汚染水』です。期間、中身共に不明です。流されたら間違いなく次の世代、その先までも汚染された海を手渡すことになってしまいます。『廃炉のため、復興のため海洋放出は避けて通れない』ので国・東電は流す、と幾度も言っています。そんな復興が本当の復興でしょうか?『関係者の理解なしには、行わない』という文書約束しました。約束をどうかしっかり守って、海洋放出をストップして欲しいです」と訴えた。
 続いて、さよなら原発1000万人アクション」実行委員会が発言。
 「原発なくすために署名等のアクション、年2回の大集会も行ってきた」と自己紹介をした。その後、汚染水海洋投棄問題では、メディア報道の仕方が腹立たしい。
 「トリチウムは他の国でも流している、日本は少量」としているが、実際は他の核種も入っている。沃素129に注目している。それは半減期が1570万年。海藻に蓄積され体内に入ってくる。甲状腺に集中し、後々疾病が発生する原因となる。こうしたことが分かっているにも関わらず、国・東電は、「既に決めたから」と流そうとしている。禍根を残す事になる政策を許してはならない。全国の仲間・世界の人々と繋がりながら、運動を大きく広げたい」と話し、「お盆明けに東京で同じ様な集会開催したい」とお盆明けの共催による東京集会開催を提案した。

復興の妨げをやめろ

 漁業者・専門家ゲストトークは、小名浜機船底曳網漁業協同組合理事の柳内孝之さんと東京大学名誉教授鈴木譲さんが登壇した。
 柳内孝之さんは「事故後、原発から汚染水が海に流出し、福島の漁業は操業自粛を強いられた。「わずかでも流通させなければ福島の漁業は終わる」と、翌年から試験操業を始め3年前から本格操業の移行期に入り、沿岸漁業の水揚げ量は事故前の2割にとどまるが「着実に増加してきている」と話し、「国と東電は、『関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない』と文書で約束している。しかしその約束を破ろうとしていることに不信感を抱いている。ALPS処理水の処分方法を決定する過程は結論ありきで、一方的な押しつけです。地方議会や首長、農林漁業者、観光業者などが海洋放出に反対や慎重姿勢を示している。しかし、政府は無視の対応だ。「IAEA(国際原子力機関)は海洋放出計画を『国際的な安全基準に合致している』」と報告した。
 「しかし、タンクに保管されている水はほとんどが安全基準を超えている。原子炉建屋を通った水は多種の放射性物質が含まれており、浄化したとしても処分は慎重に検討すべきだと私たちは以前から主張して来た。この先30年以上、何のトラブルもなく確実に放射性物質を除去できるのか。廃炉は何年後に終わるのか。不確実な点が多すぎる「海洋放出するべきではない」「漁業者は復興の妨げをやめてと懇願している。処分の仕方を、もう一度検討してほしい」と訴えた。
 続いて鈴木譲さんが登壇し、魚類免疫学・遺伝育種学が専門の立場から「海洋放出は水産資源保護法違反だ」として「水産生物に悪影響を及ぼす汚染物質を垂れ流す東電の行為は犯罪行為。政府や東電幹部など海洋放出の責任者は刑事訴追されるべき。工場から廃液を垂れ流し実刑になったケースもある。放出されてしまっても調査を継続して、敵の悪事の決定的な証拠をつかみたい。力を結集して中止に追い込みましょう!」と鋭く指摘した。

「未来を守れ」とデモ


 市民のリレートークは、会津若松市の片岡輝美さん、郡山市の坂口美日さん、いわき市の藤田操さん、大熊町から避難中の馬場由佳子さん、いわき市の小名浜地区労、いわき交運共闘など7団体共闘の代表として小名浜地区労議長の田久祐一郎さん、みやぎ生協労組福島地区書記長の稲村和吉さん、原発反対刈羽村を守る会・柏崎原発反対同盟の武本和幸さん、新潟県津南町町議の小木曽茂子さん、浜岡原発を考える静岡ネットワークの沖基幸さん、福島原発震災情報連絡センターの静岡市議松谷清さん、Foe JAPAN事務局長の満田夏花さんがそれぞれスピーチをした。
 郡山市の坂口美日さんは葛尾村が自分の生まれた所。森に囲まれ森林が7割の地域。事故後原発事故で汚染され避難区域に指定された。避難指示解除されたが、線量は未だに高い、其処に帰還した人と新たに募集された人が放射能に塗れながら生活している。海も山も事故で既に汚染されている。その放射能を又海に流そうというのか!郡山では4月に経産省に意見交換会を申し入れたが、返事が来たのは7月3日。しかも2週間後の今日開催「今日の集いの妨害としか思えない」、しかし行う可能ならば!と参加を呼びかけ、そして「汚染水海洋投棄止める連絡会」立ち上げたと参加を呼び掛けた。
 大熊町から参加の馬場さんは、会津開催の「東電と市民の意見交換会」に参加した経産省役人が、汚染水タンクは復興の妨げと発言。他方大熊復興のためにと学校造成中、放射線計測したら、空間線量が年間20ミリSv、学校の100m以内に線量2万mBqの放射能汚染物質があった。「フザケンナ」なんです。汚染水放流を「大熊の復興のため」と言ってますが、こんな時だけ大熊の事を言ってほしくない。「大熊の復興に必要なのは除染・住民の意見を聞く、線量の計測です」と断言。
 「いったい誰の同意を得て流すのか。誰も同意などしていません。数十億円もの予算で電通などを使って『安全PR』を展開して、世論調査で少しずつ(賛成の)数字をあげるという汚い手を使っています。流されてしまえば、われわれ被害者が加害者にされてしまう。こんなことはあってはならない。何としてでも海洋放出を止めましょう。あきらめずに行動し続けましょう」と「これ以上海を汚すな市民会議」共同代表の佐藤和良いわき市議が閉会あいさつして、パレードは出発した。
 日音協の送り出し演奏を受けて、バナー横断幕や大漁旗を先頭に、思い思いのプラカードや三線などの鳴り物入りで、いわきララミュウからイオンモール前を経て、アクアマリンまでパレードした。
 「約束を守れ!」「汚染水を流すな!」「漁業を守れ!」「海を汚すな!」「こどもを守れ!」「原発いらない!」「未来を守れ!」のコールに沿道の人が手を振って応えていた。
         (浜西)

原発をやめろ!海を守れ!とデモ(7.17いわき)

「海の日」福島・原発被災地の住民がアピール

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