9.1~3 2023東京都防災訓練反対行動

「防災」を通じた警察の動向

監視・動員の緻密化に注意を

 【東京】「かけはし」9月10日号でも既報の通り、今年9月1日は関東大震災から100年目の日である。そして罪もない朝鮮人、中国人、そして社会主義者などが虐殺された日でもある。震災直後から「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などといったデマが流され、自警団や官憲が朝鮮人を虐殺した。このような事実はさまざまな記録で明らかだ。松野官房長官は8月30日、関東大震災時の朝鮮人虐殺について「政府内において把握する記録は見当たらない」などと発言した。(実際には政府内の防災情報HPの中で「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書1923年関東大震災 第2編 第4章第2節 殺傷事件の発生」PDF版などの記録がある)
 また、小池東京都知事は今年も横網町公園で行われた追悼式に対して追悼文を出さなかった。今回で7年連続である。小池は虐殺の事実について「諸説ある」とか「歴史がひもとくもの」などと言っているが、その「諸説」のうち「虐殺がなかった」というような主張を行い、横網町公園の追悼会に対して妨害行動をおこなっているのが「そよ風」なる団体である。今年は追悼会の終わった後に自分たちの追悼会をやるなどとして東京公園使用許可を出していた。
 「米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会」は2000年、石原都知事(当時)が自衛隊練馬駐屯地祭で「三国人が震災時に『騒擾』を起こすのを抑え込むため」の訓練を行うと発言し、自衛隊の装甲車が銀座を走行するド派手な防災訓練が行われた「ビッグ
レスキュー2000 首都を守れ」から、それを引き継いで行われてきた米軍・自衛隊参加 の東京都総合防災訓練に対して毎年反対運動を行い、東京都への申し入れや監視行動を続けてきた。 今年は8月に都・防災部に申し入れを行い、9月1日から3日までを連続行動と位置付けて取り組みを行った。

9・1横網町公
園で追悼会
 まず、1日の横網町公園の追悼会では平日にもかかわらず多くの人々が追悼式に訪れた。また防衛を担うために集まった仲間も多かった。午前中の追悼会の後、午後からは朝鮮総連の追悼会が行われたが、その後、ヘイト団体の「そよ風」が公園内で自分達の取り組みを行うとして公園使用許可を取っていた。その頃になって反ヘイトのカウンターの人々が大挙して訪れ公園内に座り込んだ。そのため警察も排除を諦め、東京都も「そよ風」に今回は諦めろと言うしかなかった。

9・2渋谷で

もしもフェス
 2日は渋谷での「もしもフェス」というイベントの監視行動、昨年から行われている、このイベントは渋谷区の防災訓練を民間に丸投げしたもので今回で2回目、防災実としては初めての監視行動。渋谷区に聞いても民間のことなので答える立場にない、事務局に聞くと区に聞いてくれ、というふざけた対応、実態は防災に名を借りた企業の宣伝活動であった。渋谷区に本社や、拠点を置く企業などがブースを出し、アプリをダウンロードすると景品がもらえるとか、オーディオやTシャツを売っていたり、ダンスイベントをやっていたり、エスニックフードの売店が出ていたり、といった調子。そんな中で自衛隊はキッチンカーでカレーの炊き出しをしたほか、バイクや装甲車、トラックにアンテナを立てた野外通信システムなどの展示、ブースでは震災時の活動のパネル展示や、「ミリ飯」の展示などで昨年の品川区での東京都防災訓練のように大量の勧誘パンフを配ったりということはなく、どちらかと言えば一番「防災」色が強く出ていたとも言えるぐらいである。しかし、装甲車に子供を乗せて記念撮影させるなどしていた。
 区民の避難訓練など行われていないようで、全体としては防災よりも金儲けという感じで、いかにも博報堂出身の長谷部区長のやりそうなこと、というのが参加した仲間の感想である。

荒川河川敷で
中国から遺族
 続いて荒川河川敷に赴き、市民団体「ほうせんか」主催の追悼式に参加、今年は100年目ということで20〜30代の若手が中心となって実行委員会が作られ構成劇などが行われ、コンサートも朴保(パクポー)、swing МASAなど豪華なメンバー、そして中国からも遺族が訪れた。

9・3警察の

不当な妨害!
 3日は東村山での東京都総合防災訓練、駅前の志村けんの銅像前で集合し、一キロほど離れた市庁舎などの会場へと向かう。駅前で既に数人の警官がこちらを伺っていたが、歩き始めると途中で東村山署の警備課長と名乗る男が立ち塞がり、「止まってください」「荷物の中身を見せてください」などと言い出す。抗議し歩き出すと周りを取り囲み、ついて来る。こんなことは初めてである。
 会場へ着き、市庁舎2階にある「関東大震災100年出張博物館」へ入ろうとすると、会場へ向かう手前に机が置いてあり、都職員が荷物検査をするという、カバンの中を開けて少し見せただけで「結構です」と手に巻くリングをつけてくれ、さあ会場の中へ入ろうとすると再び先ほどの東村山警察署警備課長が「今調整中です、後で来て下さい」などといってわれわれを静止する。
 会場の中からは見学を終えた市民が出てきたりしている。「何を調整しているんだ」「どういう権限でそういうことをするんだ!」当然の抗議に対しては、「普通の人ならば警察に言われたらいうことを聞くはずです」何を言い出すんだ!と紛糾し猛抗議!これでは防災訓練を妨害をしているのはどっちかわからない。
 しばらくすると突然「調整が終わりました」。拍子抜けしながら中へ入り見学、やはり小池に忖度してか展示は地震の被害と、復興の様子ばかりで朝鮮人虐殺のことなど一切触れられていない。この間の東日本大震災や、熊本地震でもネットを使った悪質な流言飛語が繰り返し行われており、これからの「防災」を本当に真剣に考えるならば避けては通れないはずである。会場で案内をしていた市職員に「調整」のことについて聞くと「調整なんてしていませんよ、小池都知事がいらしてたんです」とのこと。やっぱりな!。

警察は何を監
視するのか?
 出張博物館を出て会場内を見て回ったが十数人の警察官がまるでデモ警備のように張り付きついて来る。鬱陶しいことこの上ない。
 ここでも自衛隊(防衛省東京地方協力本部と航空自衛隊府中基地)ブースでは震災時の活動のパネル展示などで、戦闘機のクリアファイルやシールを配ったりしていたものの、勧誘色は弱い。
 会場内を一通り見てまわり、駅へと向かうが最後まで警察官が張り付いている。何かを警戒しているのか?単に嫌がらせなのか?。

市民社会への
浸透狙う自衛隊
 この間の防災訓練では2000年当初の「銀座に『装甲車』」といったようなものは鳴りを潜め、防災とは関係ない隊員の勧誘ばかりが目立ち、このことを都・防災部に交渉でも問題であると伝えたことが、功を奏したのかはわからないが、総じて自衛隊の勧誘活動は控えめであった印象である。もちろん装甲車(高速機動車)など多数の防衛装備品を展示し、子供たちを乗せ親に写真を撮らせるといったことは行われていた。
 防衛予算を増額し、高価な武器を多数揃えたとしてもそれを動かす自衛官は常に定員を大きく下回っている。防災訓練などの機会をとらえて市民社会への浸透を図ろうとしていることは間違いない。
 同実行委員会では今後も監視活動は続けていくほか、今年の取り組みを踏まえての集会なども行っていく予定である。    (板)

自衛隊は防災活動を熱心に宣伝(9.2渋谷)

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