8.31関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年追悼大会
歴史に誠実に向き合うために
【東京】8月31日、東京・文京シビックセンター大ホールで、「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会が午後6時15分から開催された。主催は同犠牲者追悼実行委員会。「歴史に誠実に向き合い、国家の責任を問い、再発を許さない、共生社会への第一歩を!」と題されたこの日の集会には主催者発表で1800人が参加した。
国家権力が煽っ
た朝鮮人虐殺
1923年9月1日の正午近くに関東地方を襲った大震災は、首都圏の広範な地域に甚大な被害をもたらした。しかしそれだけではない。大災害のパニックの中で、当日の夕刻以後、震災に乗じて「『不逞鮮人』が井戸に毒を投げ入れ、女性たちに性的暴力で襲い掛かり放火などの限りを尽くしている」などという流言が飛び交い、朝鮮の人々への大虐殺に軍や警察にそそのかされた住民たちも加わって、朝鮮の人びとへの大虐殺が広がった。このような事態を広げたのは警視庁をはじめとした権力機構そのものだった。
9月2日に当時の内務省警保局長後藤文夫が、各地方長官宛に打電させた電文は次のように述べている。
「東京付近の震災を利用し、朝鮮人は各地に放火して不逞の目的を遂行せんとし、現に東京市内に於いて爆弾を所持し石油を注ぎて放火する者もあり。既に東京府下には一部戒厳令したるが故に……(かれらの)行動には厳密なる取り締まりを加えられたし」。この一文はまさに過酷な植民地支配からの解放を求める朝鮮の人びとへの「恐怖と差別」の現れだった。
差別をなくす
次の100年
中国東方文化芸術団のオープニング演奏で始まった集会の開会あいさつは一橋大学教授の田中宏さん。在日韓国・朝鮮人から一般社団法人ほうせんか理事の愼民子さん、さらに在日中国人から林伯耀さん(関東大震災中国人受難者を追悼する会共同代表)が発言に立った。
遺族を代表しての発言は、権在益さん(関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者遺族会)。さらに在日中国大使館、在日韓国大使館からも。在日朝鮮総連副議長の徐忠彦副議長からもメッセージが寄せられた。慎民子さんは差別のない社会をめざし新しい100年をめざそうと訴えた。また海外からの連帯あいさつでは、韓国、中国(王希天研究会)、アメリカ(「慰安婦」正義連盟)からのメッセージも紹介された。
決して過去の
問題ではない
特別報告として「国家の責任」が田中正敏(専修大教授)、「メディアと民衆の責任」が安田浩一「ノンフィクションライター)、「ヘイトクライムの現場から」が崔江以子(ヘイトスピーチをゆるさないかわさき市民ネットワーク)の各氏から行われた。
この日のシンポジウムは、関東大震災における「民族差別・排外主義の暴力」が決して過去の問題ではないことを明確にし、「ともに生きる」ことの重要さをあらためて意識していくためにも重要なテーマだった。 (K)
中国東方文化芸術団がオープニング演奏(8.31)
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