投書 9・9滝山病院事件を地域で考える学習会
SM
9月9日・土曜日、池上会館2階の本館集会室で「滝山病院事件を地域で考える学習会 私たち一人ひとりになにができるだろうか?」がおこなわれた。主催は「社会福祉法人プシケおおた内 滝山病院事件を地域で考える学習会実行委員会」だ。
司会の話の後、実行委員会代表の川上みどりさんから開会のあいさつがあった。川上みどりさんは「NHKの「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」を見て、どこか映画を観ているような感覚だったが、自分や自分の大切な家族が入院していたらと思ったら、胸が苦しくなった」といっていた。登壇者は4人で、相原啓介さん(高幡門前法律事務所所属弁護士)、細江昌憲さん(特定非営利活動法人トモニ所属)、越智祥太さん(ことぶき共同診療所医師)、常数英昭さん(社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員)が発言した。
第1は、相原啓介さんの話だ。「滝山病院事件は氷山の一角だ。滝山病院は、朝倉病院よりも手口が巧妙になっているので、解決が難しくなっている。七生病院も忘れないほうがいい。たたみの部屋にカギをかけて監禁した。滝山病院事件では暴力・暴言があった。虐待があった。身体拘束は日常業務の1つだった。施設自体も劣悪だった。職員もモラルハザードをおこしていた。預り金の横領もあった。IVH(中心静脈栄養)は朝倉医院長が大好きなものでバンバンやられていた。朝倉病院がつぶれたので滝山病院もつぶれると思う人がいるが、学習しているので、行政の処分でつぶれることはないと思われる。宇都宮病院事件、朝倉病院事件、滝山病院事件。同じような事件の繰り返しだ。被害を受けた人をまず安全にしてからでないとダメだ。それがないと何回も同じことが繰り返される。患者には面会の権利があるが、患者やご家族から要請がなければダメだ。患者さんと1度つながってしまえばいろんな支援者につなぐことができる。現在、退院が進んでいない。2月~7月末に22名が死亡している。東京都の話は最初の話と違う。個人情報保護とか「退院を何でもかんでも急ごうとするのは乱暴なことで、ご家族に迷惑で、ご本人にとっても再発等につながる」とかいっているが、3か月たって22人も死んでいて急ぐのはダメというのがおかしい。東京都と滝山病院の間で「滝山病院の了解なしに外部の支援者をいれない」という合意をした。東京P協会の協力をえながらしっかり調査をしています、ちゃんとやっていますという外形が整ったので、社会的な批判はかわせる、これ以上火中の栗を拾う必要はないというわけだ」。相原啓介さんは、以上のように語った。
第2は、細江昌憲さんの話だ。「障害が重くても地域で暮らせるという信念が必要だ。そんなに難しい話ではない。大変なのはみなさんであってぼくらではない。滝山病院しか受けいれられなかったなんていうのはウソだ。ぼくらのチカラブソクだ。22名が死んでいる。とにかくあきらめちゃダメだ。1日も早く退院出来る道筋をつけていかなくちゃダメだ」。細江昌憲さんは、以上のように語った。
第3は、越智祥太さんの話だ。「(滝山病院の院長は)医師免許を剥奪され少なくとも業務上過失致死は問われるべきと思います。患者対応では、多くの医療・福祉施設が「薄い滝山病院」だと思います。医師 ― 看護 ― 介護、医療関係者 ― 患者の「上下関係」(ヒエラルヒー)と、それを顕在化(課題に)しないまま下へ鬱屈をぶつけていく「いじめの構造」が基盤にあります。人権尊重の大方針を演繹的に掲げることが大切です。施設として先ず人権を尊重する宣言をし、自らタガを嵌めることで、「不穏」や「処遇困難」な患者に対しても、隔離や拘束に拠らない色々な方法が自ずと工夫されるのです。嘗て滝山病院に浅はかに患者を送ってしまいましたが、今思うことは、重層的に連携し支え合えば、どんなに重い症状があっても地域で生活できるということです。民間精神科病院は日精協という巨大圧力団体を作り、様々な差別発言で話題の会長をアベ友で政治力があるため9期も君臨させています。(昨年9月、国連障碍者権利委員会から、)精神科も、人道・尊厳を尊重し、非自発的入院・強制治療・身体的薬剤的拘束・無制限入院・施設化・能力主義的制限・医療観察法をなくし、脱施設化と地域生活支援を進め、精神科病院虐待・死亡の独立精査と被害者救済と加害者処罰を行うよう勧告されました。しかし政府はその3ヶ月後、強制入院は病院判断のみに安易化し、「病院の地域化」でなく「地域の病院化」を進める、精神保健福祉法改悪を強行しました。現在、拘束を安易に行える厚労大臣基準改悪も目論まれています。厚労省は日精協の、都庁は滝山病院の構造存続を前提とした対応を重ね、責任を誰も取らずなあなあにしています。悪徳病院は廃院にし、人権侵害は罪を問われねばなりません。誰もが精神科医療福祉の当事者・家族になります。誰もが地域で安心して暮らせ病み衰えられる社会を、日本に、東京都に、大田区に求め、皆で作っていきましょう」(受付で渡された資料をもとにまとめた)。越智祥太さんは、以上のように語った。
第4は、常数英昭さんの話だ。「精神病院ではなく、精神科病院というべきだ。いまだに脳病院といっている人もいる。精神病は特別な病気ではないことをきちんと学校で教育するべきだ」。常数英昭さんは、以上のように語った。
次は、実行委員の岡本洋さん(大田区地域生活安定化支援事業)の話だ。「大田区には、精神科の単科病院は1つしかない。大田区の精神障がい者は、他の病院に入院する人が多い。滝山病院には生活保護の人が1番多く入院していた。私も1人支援した人が滝山病院で亡くなっている。非常に無念だ。面会室は廊下のはじっこにあった。帰り際にそでをつかんで「ここから出してくれ」「助けてくれ」といわれたが、力になれなかった。日本の社会では「手間がかかる人」の面倒はプロとか業者にまかせちゃう社会になっている。お互いが面倒くさいことをして助け合っていく社会にしなければならない。根本はまちに暮らしている全員の意識が変わっていかなければならない。自分も年を取ったら迷惑をかける。精神の人たちを排除することは自分たちが将来排除される社会を作っていくことにつながるのだ」。岡本洋さんは、以上のように語った。
情報共有、感想、意見等の時間がもたれた。私は頻尿でお手洗いにいったため、途中から参加した。大田区の議員の人(藤田りょうこさん・東京都議会議員・日本共産党)が手をあげ発言した。次に、東京つくし会の人が発言した。次に、横浜から来た人が発言した。
実行委員会代表の川上みどりさんから、閉会のあいさつがおこなわれ、学習会は終了した。
私は、滝山病院事件で私たちがやるべきことは、1つは「患者が支援者にもっとつながりやすいシステム」を作ることであり、もう1つは諸悪の根源である自公政権を終わらせることだと思った。また今回、NHKのドキュメンタリー番組の果たした役割は大きいのではないかと思った。
【おことわり】録音・撮影は全面不可ということだったので、この投書は速記も出来ない私の不十分なメモにもとづいて作成した。不十分な点があれば、すべては私の責任だ。
(2023年9月11日)
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