ジャニーズ事務所の犯罪とマスコミの犯罪
投書 SМ
「ジャニーズ事務所が、故ジャニー喜多川元社長による男性タレントらへの大規模な性加害を認め、謝罪した。しかし、同族経営を当面続け、喜多川氏の名前を冠した社名も変更しないという。責任の取り方が不十分で、信頼回復を目指す出直しには程遠い。……喜多川氏の名前を冠した社名の変更を否定したが、これだけ重大な性加害の当事者の名前を残すことなど到底考えられない。
喜多川氏に育てられた東山氏もいわば身内の存在だ。「解体的出直し」のかじ取りとして果たして適任なのか」(2023年9月8日・金曜日『東京新聞』5面、社説)。
「東山氏によるハラスメントを訴える声があることも会見では話題になった。……未成年への未曽有の人権侵害が間近で起きていたのに、結果的に見過ごしてきたメディアの動きはいまだ鈍い。自社が取引先の人権侵害にどう加担したのか検証し、是正を強く求め、履行状況を確認することは、今やあらゆる企業に課せられた社会的責務だ。これまでの経緯の検証をしないままジャニーズに関わり続けることは、朝日新聞を含め、もはや許されない」(2023年9月9日・土曜日『朝日新聞』朝刊10面、社説)。
「……ある映画関係者は、多くのテレビ局が生中継した記者会見を見て「ジャニーさん以外にも、芸能界には性加害問題が常に存在してきた。ジャニーズ事務所だけをつるし上げるのではなく、業界(芸能界)の体質を変えるべきだ」と話した」(2023年9月8日・金曜日『神奈川新聞』23面)。
「ジャニーズ事務所がジャニー氏の性加害を初めて認めた意義は大きい。2004年に最高裁が加害を事実認定した後も事務所は「うそだ」「でっちあげだ」と言い続けてきたからです」(『しんぶん赤旗 日曜版』2023年9月17日号31面、元『週刊文春』記者・ジャーナリスト 中村竜太郎さん)。
「記者会見では“犯罪者“の名前を冠することは「ヒトラー株式会社やスターリン株式会社に匹敵する」との厳しい指摘も出ました。ジャニーズの名前を聞くたび、フラッシュバックを起こす、という被害者もいます。被害者によりそうというなら、被害者の声をきくべきではないでしょうか」(『しんぶん赤旗 日曜版』2023年9月17日号31面)。
マスコミは、ジャニー喜多川の「共犯者」だった。私もタカ派の『週刊文春』を買わないし図書館ではたいてい誰かが読んでいて普段読めないので、「ジャニー喜多川・ジャニーズ事務所・マスコミの犯罪」を知らなかった。ジャニー喜多川を賛美し続けることは、ヒロヒトを賛美し続けることと同じだ。私なら、そういう。マスコミの犯罪は、今回だけではない。マスコミは日本の安保政策の大転換を大批判せず、野球や他のスポーツを大々的に報道して問題をそらしている。しかもナショナリズムをあおりたてる形でだ。まるでプーチンの愛国教育のようにだ。原発や汚染水の危険性については大きく報道せず、大きな中国批判でナショナリズムをあおり、問題をそらし、岸田政権を支持している(「ビートたけしのTVタックル」「報道1930」他)。
中国がやっているとマスコミがいっていることは、実は日本とそのマスコミがやっていることと同じだと思え。「北朝鮮」や中国がいまにも攻めてくるかのような報道で、岸田政権や米軍・自衛隊を支持している。関東大震災時の朝鮮人・中国人・被差別部落民・社会主義者・労働運動家・聴覚障がい者らの虐殺をくり返そうとしている。「共産主義イコール悪で資本主義イコール善であるかのような印象報道」をくり返し岸田政権を支持している。「ジャニー天皇制」を戦後も反省せずに支持し続けている。天皇制に反対する意見やデモはほとんど報道しない。「大本営報道」は現在も続いているのではないか。戦争中も戦後も名前すら変えないマスコミはジャニー喜多川の共犯者であるだけではなく、日本国家の共犯者でもあるのだ。そのことも忘れてはならない。私はそう思う。
それから、ジャニー喜多川の被害者らを攻撃する人びとがいるらしいが、そんなことが許されていいのか。私は疑問に感じる。これは、他の性暴力の被害者への攻撃についてもいえることだ。いや性暴力だけの問題ではないかも知れない。
「あらゆる暴力のない世界」を作り出そう。
(2023年9月20日)
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