美ら海大浦湾を埋めるな!

どうなっているの? 辺野古新基地建設

上間芳子さん(沖縄平和市民連絡会)が講演

 【東京】9月23日午後6時半から、東京・文京区民センターで「美ら海大浦湾を埋めるな! どうなっているの? 辺野古新基地建設」集会が辺野古への基地建設を許さない実行委の主催で開かれ150人が参加した。
 辺野古実の仲間が9月4日の辺野古・大浦湾側埋め立てを認め、県に承認を強制しようとする最高裁反動判決を批判。「国は9月8日に埋め立ての発注を始めた。沖縄県知事が承認しないかぎり工事に着手できないはずなのに、すでにそうした動きをしている。さらに、先島諸島で自衛隊のミサイル基地建設が進められていることをどう止めていくのか、首都圏で何ができるのか、新たな闘いの出発にしよう」と主催者あいさつをした。
 次に玉城デニー知事からの映像メッセージが紹介された。玉城知事は、9・4判決が地方自治体の判断したものを無にするものだと批判し、「このような厳しい状況ではあるが引き続き対話による解決を求める。専門家や市民と共に国に将来・沖縄の将来のために、いっしょにがんばっていこう。勝つことはあきらめないことだ」と訴えた。
 続いて辺野古実の加藤のり子さんが撮った沖縄現地での闘いの映像が上映された。9・19キャンプシュワブゲート前座り込み。歌を歌っての座り込みに対して、ダンプが次々と強行して入ってくる。「コンクリートはいらない」と叫ぶ。9月20日、カヌー隊が大浦湾に出て抗議行動。K9護岸で土砂をトラックに積み込んでいる。土砂を積んだガット船が大浦湾に入ってくる。9月20日、塩川。炎天下、牛歩戦術で土砂を積んだトラックを止める。21日、安和、2~3人でトラックを止める。リアルな抗議行動の映像に怒りと連帯の気持ちがわいた。次に、上間芳子さん(沖縄平和市民連絡会・キャンプシュワブ前座り込みリーダーのお一人)が現地報告を行った(別掲載)。
 カヌー隊の金治明(キム・チミョン)さんが「辺野古だけでは勝てない。首都圏は政治の中心だ。ぼくたちはつながっている。仲間を作るためにカヌー教室をやっている。参加したい人は大歓迎だ。カヌーに乗っているとジュゴンや海亀が寄ってくる。大浦湾、辺野古の海を守るために皆さんと力を合わせてやっていきたい」と述べた。
 大仲尊さんが「東アジアに平和を! 琉球弧の島々を戦場にするな!」新宿アクション10月21日午後2時から新宿駅東口アルタ前に集まり、その後のデモへの参加を呼びかけた。この行動には瑞慶覧長敏さん(「沖縄を再び戦場にするな県民の会」共同代表)が参加。沖縄から下地茜さん(宮古島市議)の電話メッセージ、台湾、韓国からメッセージが寄せられる。
 9月22日に大阪高裁で、琉球人遺骨返還訴訟に対して不当判決が下された。判決批判がされた。最後に月例の10月2日午後6時半、防衛省申し入れ行動へ参加の呼びかけがあり、全員で辺野古新基地建設を許さない、埋立を止めろとシュプレヒコールで締めた。(M)
 

沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんの講演から
 
 平和市民連絡会は水曜日を安和、辺野古を担当している。ほぼ女性だけで朝一番が高里鈴与さん、なんと83歳です。9時、12時、3時というふうにやる。3時は私が担当している。2014年から3年くらいは週5日行っていた。最初の頃は時間も関係なく2日に3回。朝来て、4時までやって、そうしたら招集がかかって12時に搬入がある。また12時に辺野古まで行く。200人くらい集まった。それをさっして今度は12時に来ない。何と今度は午前4時。そういうことをずっとやってきた。
 今、テントが立って、9時、12時、3時の間は休んだり食事をしたりしている。最初の頃は何にもなく朝からやっていた。
 普天間基地を移設しなければいけないとなったのは1995年、13歳の少女への暴行事件がきっかけだった。8万5千人が集まった。この騒ぎにびっくりしたんだと思う。橋本総理大臣とラムズフェルドが決めた。世界で一番危険な飛行場だと移さなければいけないということでSACO合意ができた。それはたった3カ月で、沖縄県内に移設するとなり、辺野古になった。
 辺野古のキャンプシュワブは78年前の沖縄戦の時に、4000人くらいが大浦収容所に収容されていた。そういう所でまた基地を作る。実はこれ二転三転している。1960年代にも米軍が基地を作ろうとした。ベトナム戦争で敗北を被って、財政的に厳しいという状況で撤退する。それからまた辺野古が登場した。
 滑走路は1800mしかない。飛べない所があるから実際には1300mだと言われている。普天間が2800mある。使い物にならないと米軍が言った。緊急時の時には普天間飛行場を使わせるか、それに代わる飛行場を使えるようにしてくれと。最初から1800mの飛行場は役にたたない。何でそういう所に作るのか。ただ辺野古にあるのは弾薬庫がすぐそばにある。普天間飛行場は弾薬庫が近くにない。20基ある弾薬庫の13基を20億円の税金をかけて補修した。このことをもっと知らなければいけない。
 あの仲井間知事が埋め立てを承認した。その時でも仲井間知事でさえ、一応留意事項があって、5~7年以内に普天間基地を飛行停止にする。もうとっくに過ぎていますよ。これ全然実現していない。政府は辺野古が作れないから、普天間は返らないと言っている。
 2014年7月1日、新基地を作るために米軍基地制限区域を50mから2000mまで広げると閣議決定した。最初に護岸を作る。岩礁破砕の届け出を防衛局は出してない。辺野古は違法工事だ。環境評価表を出すときに、何と夜中の4時、私たちは県庁の中で座り込んでいた。もうすぐ大晦日だから、これで行政の仕事終わりだから、もう帰ってよって、帰ったわけですよ。山城博治さんだけが午前4時に県庁に一人で、駆け付けた。そうしたら防衛局の職員が守衛室の中に、その書類を運び入れていた。そういうことをいくつもやっているのが沖縄防衛局だ。
 大浦湾だけでなくて、安和・塩川で行動範囲が広がっている。カヌーチームが6人くらいで来る。潜り船に紐を結びつける。船が出港する時間になっても1時間半止めている。ものすごい力だ。カヌーチームが来ないと5分でダンプに積み終わってしまう。陸と海と力を合わせてやっていけば、かなり大きな力になる。
 9月4日、最高裁判決が出た。少女暴行事件があった日だ。本当に無神経だとしか言いようがない。最高裁判決は8月くらいからおそらく県の敗訴になるだろうと言われていた。司法が死んだ日だ。住民自治をないがしろにした。これは沖縄だけの問題に留まらない。こういうことを許しておけば、なんかあった時に、住民自治が破壊される。第一歩を作ってしまった。沖縄県民は何回も意思を表明してきた。
 それをまったく無視して工事は進んでいる。2020年に埋め立て変更申請が出されたが、このままでは工事が進まないということだ。軟弱地盤も隠し続けていた。ポセイドンが2カ月ぐらい大浦湾でボーリング調査をやった。調査の結果があまり良くなかったので、あれは業者が勝手にやったのだということを言って、認められないと言っている。業者に頼んだのは防衛局だ。90mあるが大丈夫だというのが防衛局の言い分だ。
 キャラウェイ高等弁務官は沖縄の自治は神話だと言った。翁長知事が菅官房長官の上から目線はキャラウェイと同じだと言った。安倍さんは翁長知事が誕生して、6カ月間会わなかった。岸田さんも会ってない。これが政府のやり方だ。
 最高裁判決が出たからといってひるみはまったくない。9月27日が勧告の期限だ。おそらく、是正の勧告から指示になる。指示になっても従わなかったら、代執行をするために沖縄県を高裁に提訴する。代執行は沖縄で2回目だ。大田知事が象の檻を撤去する時に、地主もしない、村長もしない、知事もしないとしたので、代執行した。ただし、これは国と地方自治体が同等だと決められた2000年以降は初めてだ。
 代執行というと思い出すのは三里塚だ。おじいさん、おばあさん、青年、子どもたちを含めて自分の体を鎖に巻き付けて抵抗した。もしそうなった時、私たちは暴力的な闘いはしないが、非暴力で何ができるのか考えている。テントの端にしがみついて、ロープで巻き付ける。裁判で終わったんじゃないと。これから続くんだ。戦争経験者の90歳以上の人が座り込んでいる。これから沖縄県民が試されていく。そのために沖縄を再び戦争にさせない。県民の会が立ち上がって、明日からスタートする。山城博治さんは全国駆け回ると言っている。11月23日には沖縄に来てください。辺野古にいっしょに行こう。「平和には敗者はいない、戦争には勝者はいない」。(発言要旨、文責編集部)
 この後、上間さんは、埋立工事の問題点や琉球弧をめぐる軍事状況について具体的に述べたが紙面の都合で省略した。   

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