投稿 長崎県・石木ダム建設、事業認定から10年

住民の生活権無視して進む建設工事

生活破壊・自然破壊の石木ダム建設を許すな

当初の石木ダムの計画

 石木ダムは長崎県佐世保市の南に位置する川棚町を流れる石木川に建設が予定さてから50年以上にわたって、建設反対運動が続けられている。
 はじまりは1962年。佐世保市が針尾島(はりおじま)地区に建設しようとした工業団地の工業用水確保を目的に、長崎県がダム建設を計画し現地住民に無断で測量調査を始めた。
 これは多くの住民反対によって中止された。一方で、佐世保市も工場誘致に失敗し、ダム建設は一度は頓挫した。

長崎県の悪質な裏切り

 しかし、長崎県と佐世保市は、佐世保市の水道用水確保と石木川が流れ込む川棚川の治水に目的を替え、再度ダム建設を進めようとした。
 それも多くの住民の反対にあい、1971年に「住民の同意なしには工事を進めない」との「覚書」を県知事と現地住民代表3名が川棚町長立ち合いの下に結び、その下で予備調査が実施された。
 ところが、県は1975年に予備調査が終わると住民に無断でダム建設計画を国へ提出し事業採択したのだ。
 更に1982年には機動隊を導入し強制測量を実施し、現地住民は老若男女一団となって、体を張って抵抗を繰り広げて阻止した。

県・国・司法一体の弾圧

 それから四分の一世紀以上の歳月が流れ、2009年県は強制収用を視野に、国に事業認定を申請し、国はいまから10年前の2013年9月に事業認定を公示した。
 地権者らは2015年事業認定取り消しを求めて提訴するも2020年最高裁が上告を棄却し、2017年に起こした工事差し止め訴訟も2022年最高裁が上告を棄却した。
 この流れを受けて、県は2019年に水没予定地、工事に関連するすべての土地を法的に強制収容した。

ダムは本当に必要なのか

 県は現在のダム建設の目的に、佐世保市の利水と本流である川棚川の治水を挙げている。しかし、佐世保市で渇水が発生したのは4半世紀前であり、今は人口減と節水進展で逆に水は余っている。
 また、川棚川の治水も護岸工事や浚渫工事が進み、2年前の100年に一度と言われた大豪雨でも洪水は発生しなかった。
 もはや、石木ダム建設の公共事業の理由はどこにもないのだ。ダム建設で利権を握る一部の業者や政治家が、住民を犠牲にしてダム建設を50年も続けているのだ。

 住民の闘い

 今強制収容地には13世帯約50人の人々が生活している。地権者の住民は現地に住み、様々な職業に従事し、農業を営みながら反対運動を続けている。
 本体工事の予定地には団結のシンボルのダム小屋がたっている。ダム建設反対の大きな看板が数十年の風雨に耐えてあちこちに。付け替え道路の建設を拒むため道路建設予定地にテントを張り毎日座り込みを続けている。10月には1690回を超えるであろう。佐世保からも「石木川まもり隊」や近隣の数団体の市民が座り込みに参加している。

県の工事推進凶暴化

 こうした住民の反対運動に会い、ダム建設はまだ本体着工に至っていない。焦った県は、今年に入り嫌がらせを含む工事を増加させている。
 3月には、地権者の水田に何の断りもなく、ユンボを使って土石を投げ入れ、用水を破壊し今年の米作りを不可能にした。また工事用道路を躍起になって延長させている。
 8月には座り込みテントのすぐそばまで、土砂を盛り上げ、住民の生活用道路まで完全に塞いだ。同月23日には、住民の座り込みが17時で終わるのを待って、二つある座り込みテントの一つを勝手に移動させ、その後に岩石が詰まった2トンもある黒いフレコンバックを7個も落とし、座り込みを妨害する暴挙に出た。
 住民は異常に気付きテントをすぐさま元の位置に設営しなおし、二つのテントでの座り込みを続行している。

現地に支援を!

 今年に入り県は横暴を極めダム工事を強引に進めようとしている。これに対して現地住民の頑張りを支える闘いが特に必要になってきている。
 県は本体工事の着工を狙っている。これまで「公共事業」での現住住家に対する強制代執行はある意味タブーであった。しかし13世帯もある現住住家に対して、県は強制代執行の意思を隠してはいない。
 絶対に県の強制代執行をさせないため現地に対する支援を!    (I・Y)

フレコンパックが投げ込まれた座り込みテント

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