投稿 9・1朝鮮人犠牲者追悼式典(横網町公園)に参加して
絶対に2度と同じ過ちをくり返させてはならない
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9月1日の金曜日、「9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」の主催で、東京都墨田区・横網町公園で11時から「関東大震災100周年 朝鮮人犠牲者追悼式典」がおこなわれた。
今を生きる私たちの責務
司会は、日朝協会東京都連合会理事で八王子支部の島岡まりさんだ。関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員長で日朝協会東京都連合会会長の宮川泰彦さんが「開会のことば」をのべた。
宮川泰彦さんは、次のように発言した。「……今年で満49年、なぜ約半世紀にわたって朝鮮人犠牲者追悼式典をとりおこなってきているのか。それは絶対に2度と同じ過ちをくり返させてはならない、朝鮮人虐殺の史実を知ることは不幸な歴史をくり返さず、民族差別をなくし、人権を尊重し、善隣友好と平和の大道をひらく道であるとのゆるぎない思いからです。……絶対に同じ過ちを、似たような
誤りをくり返してはなりません。100年前の惨事を忘れることなく、そこからくみとれる教訓を学びとり、語り継いでいくこと、これは今を生きる私たちの責務じゃないでしょうか。今を生きる私たちの責務です……」。
次は、浄土真宗本願寺派僧侶の小山(おやま)弘泉さんによる読経だ。読経とは別に小山弘泉さんは、次のように発言した。
流言蜚語で人びとが扇動された原因は国にあった
「今をさること100年前、不幸にして発生した関東大震災の混乱の中……在日朝鮮人6000人以上在日中国人700人以上が当時の天皇制権力の軍隊や警察・自警団によって虐殺されました。当時内務省が取り締まりの……そして流言蜚語で人びとが扇動された原因は国にあったのではないかと言われています。しかし政府は今なおこの事実を明らかにせず、未だに調査も謝罪もしておりません。また小池百合子東京都知事は今年も朝鮮人犠牲者の追悼式典への追悼文送付を拒んでいます。政府と東京都は過去の過ちを反省し、差別や偏見をやめ、人間の尊厳を守ることを心から望みます。岸田政権は憲法を変え、殺し殺される『戦争する国づくり』を強行(?)しています。絶対に認めることは出来ません。2度と戦争の歴史をくり返さず、アジアの平和と友好のために努力することこそ今求められています。お釈迦様は教えの中で……とのべ、国が栄え平和に暮らすためには兵隊も武器もいらないと説いています。私たち宗教者は生きとし生けるもののために憲法を守り、核兵器も原発も、そして戦争のない社会を求めます……」。
次は、韓国伝統舞踏家で韓国国家指定無形文化財第92号太平舞保存会日本東京支部長及び国家指定履修者の石香(ソクヒャン)金順子(キム・スンジャ)さんによる「鎮魂の舞」だ。
次は、「各界追悼の辞」だ。亀戸事件追悼会実行委員会副実行委員長の榎本喜久治さん、関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会事務局長の田中正敬さん、朝鮮総聯東京都本部国際統一局長の康景翔(カン・ギョンイク)さん、日本共産党東京都議団で都議の里吉ゆみさん、日本平和委員会事務局次長の西村美幸(みさき)さんが発言した。
亀戸事件追悼会実行委員会副実行委員長の榎本喜久治さんの発言は、録音機の性能が悪いため、省略する。
新聞をはじめとする報道機関も「共犯者」だった
田中正敬さんは、次のように発言した。「……朝鮮人は災害によってではなく朝鮮人であることによって殺されました。群衆は暴言蜚語、朝鮮人が井戸に毒、爆弾を所持、襲撃してくる……朝鮮人だと決めつけられた人はその場で虐殺されたのです。新聞をはじめとする報道機関も不逞鮮人報道(?)を拡散する役目を果たしました。日本の官憲軍隊は流言を広めるだけではなく、彼らも虐殺の当事者でした。それらの事実は隠蔽され、あたかもなかったかのような扱いをし続けています。関東大震災から今年で100年。未だに日本政府はなぜこのようなことが起きたのか明らかにしていません。朝鮮人被害者への謝罪だけではなく、真相究明にすらむきあおうとはしません。……現在の日本には、民族排外主義的な言動があふれています。東京都知事は朝鮮人虐殺について『歴史家がひもとくもの。そしてすべての方がたへの哀悼の意を表しているから個別の追悼は出さない』と言って、今年も朝鮮人犠牲者の追悼を拒否しています。虐殺がもっとも大規模に起こったと考えられるこの東京の知事の言葉です。朝鮮人虐殺は歴史家がひもとくまでもない歴史的な事実です。そのことはこれまでの調査や研究にもとづき否定しようがありません。東京都知事そして日本政府には過去を直視し犠牲者に真摯にむきあいその責任を果たすことを……」。
清算されなかった犯罪は新たな犯罪をうむ
康景翔(カン・ギョンイク)さんは、次のように発言した(話の途中で鐘の音とチンという音がくり返しして、黙とうがおこなわれた)。
「関東大震災100周忌を迎え、虐殺により尊い命を奪われた我が朝鮮の同胞ならびに中国の方がた日本の社会主義者や労働運動家そして震災で犠牲になられたすべての方がたに、在日本朝鮮人総聯合会東京都本部常任委員会を代表しまして、つつしんで深い哀悼の誠をささげます。……日本政府と東京都は、まさに虐殺の被害者とその遺族を現在進行形で冒とくしながら、いまも2度3度とあやめ続けているに等しいのであります。歴史はくり返すと申しますが、清算されなかった犯罪は新たな犯罪をうむことになりかねません。本当に恥ずべきは、犯してしまった過去の過ちそのものよりも、そのことを認めず、隠し、なかったことにしようとする卑劣な試みであり、それは教訓から学ぶことを放棄し、またも権力者が人びとを過ちへとミスリードしてしまう危うさをはらんでおります。国や自治体が過去の過ちにむきあおうとせず、いまわしい歴史の汚点を否定し、隠し、教えず、日本の社会全般に歴史修正主義や排外主義をまんえんさせている現状を大変危惧しております。……そのために私たちは、まず日本政府に対し、この国家的犯罪事件の真相を調査する、国の責任を認め謝罪することをひきつづき強く求めてまいります。また2002年、朝日平壌(ピョンヤン)宣言で両国が宣言した通り、不幸な過去を清算し国交正常化の実現に向けた新たな1歩を踏み出せるよう尽力してまいります……」。
朝鮮人虐殺が起きたことは明らか
里吉ゆみさんは、次のように発言した。
「……今日はわたくし都議会で環境建設委員長もさせていただいております日本共産党都議団の里吉ゆみ、そして江戸川区選出の原純子都議、杉並区選出の原田あきら都議、19人の都議団を代表して3名で参加させていただきました。……一方、松野(博一)官房長官は一昨日の記者会見で関東大震災当時に起きた朝鮮人虐殺について『政府内において事実関係を把握することの出来る記録が見当たらない』とのべ、歴史的事実への……言及をさけました。政府としての教訓や反省についても一切答えませんでした。歴史にむきあわない……な姿勢であり、断じて許すことは出来ません。政府が……資料は防衛庁にあります。朝鮮人殺害……の東京都公文書館などに保管されています。内閣府に所属している中央防災会議が2009年に出した報告書には、軍隊などが朝鮮人虐殺を……おこなったことが書かれています。朝鮮人虐殺が起きたことは明らかです。日本の朝鮮植民地支配のもとで起きたジェノサイド集団殺害です。人権を尊重し生命の尊厳を認めるという立場の民主主義国家であれば、当然過去の加害を認め、真摯に対応すべきです。さらに許せないのは、もう7年も前から追悼文送付を中止してきた小池百合子知事です。日本共産党都議団は今年も第1回……都議会や予算委員会でこの問題をきびしく追及しました。東京都が1972年に著作発行した『東京百年史』では、関東大震災でデマが広がり自警団が組織され多くの朝鮮人が惨殺される事態が起きたことについて、第1にこれを史実として認め、第2に天災とは別の人災と認定し、第3に東京の歴史のぬぐうことのできない汚点であると記録しています。東京都はこのように史実を認め、震災とは別の人災による犠牲者をとむらい、東京の歴史のぬぐうことのできない汚点にも、反省と2度とくり返さない決意をこめて、関東大震災50年の1973年に追悼碑を建立し、その時から始まった関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に歴代都知事は悲劇を2度とくり返さないとする追悼の辞を送付してきたのです。小池知事による追悼文送付の中止は、これまでの東京都の努力をふみにじる、都知事として『東京百年史』の記述を否定し、関東大震災における朝鮮人虐殺を明確な史実と認めない、災害による被災者と殺害虐殺されたという人災による被害者の区別もあいまいにし、人災による悲劇を2度とくり返さないという決意の表明を避けようとするものであり、厳しい批判がよせられているのは当然です。小池知事のこういった姿勢が歴史修正主義にくみするものといわれても仕方ありません。……また虐殺事件を否定し、なかったように発言し、追悼碑の撤去を求めてきた団体が追悼碑の前で集会をおこなうことは、それ自体が挑発行為であり、危険な行為であるため、公園の使用許可についても東京都の人権条例にもとづき……の意見を求め基準にもとづいて厳格に対応するよう要望してまいりました……」。
軍隊・警察・内務省・自警団等の共同犯罪
西村美幸(みさき)さんは、次のように発言した。
「……関東大震災における虐殺をめぐり、軍隊や警察が組織的に関わったことや、内務省が朝鮮人に関するデマをひろげたことは、重大な責任が問われなければなりません。同時に虐殺は一般の民衆が組織した自警団によって各所でおこなわれたことに、強い恐怖をおぼえます。戦争状態でない中にあっても、ひとたび大震災という混乱が起こると、日常にひそむ差別と暴力がむきだしとなることを、この事件は物語っています……」。
国と国、民族と民族がお互いに尊重される時代になるように
次は、「追悼メッセージ」だ。作家で、法政大学教授の中沢けいさんは、次のように発言した。「……百年の時が積もりました。この百年の間に多くの人が願ったのは、毎日を平和で豊かに暮らすことです。その望みはかなったのでしょうか? 次の百年が国と国、民族と民族がお互いに尊重される時代になるように願わずにはいられません……」(受付でもらった資料の文章を優先した部分もある)。
奪われた命への冒とく
認定NPO法人 Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)副代表でフォトジャーナリストの安田菜津紀さんは、次のように発言した。
「……の地平に立ち、現代社会を見つめたとき、ただ曖昧に「祈る」だけでは不十分であるということを痛感します。……いつまた同じ暴力が起きてもおかしくはないという恐怖感あるいは危機感を共有しないままに、加害の歴史を直視することなく、背を向け、むしろそれを積極的に否定するという権力者たちの姿勢は、奪われた命への冒とくであり、今を生きる命をも軽視しているでしょう……」(受付でもらった資料の文章とダイアローグフォーピープルのサイトを参考にした)。
小説家の中島京子さんのメッセージを司会の島岡まりさんが読み上げた(録音機の性能が悪いため、省略する)。
韓国の遺族の方からのメッセージ
次は、韓国の遺族の方からのメッセージだ。関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者韓国遺族会の曹光換(キョウ・グァンファン)さんは、韓国語で発言した。「通訳のことば」を紹介したい。「……長く追悼の会を皆さんが続けられたことに対して、本当に感謝を申し上げるとともに、驚きを感じております。……2016年、7名の遺族が遺族会を結成いたしました。私は日本政府に強く求めます。今でも資料を公開し、犠牲者たちの遺族たちの悲しみ痛みをなおすことに取り組んでください……」。
関東虐殺100周期追悼事業推進委員会共同代表で韓国YMCA全国連盟事務総長のキム・キョンミンさんは紹介のみで、メッセージの内容は紹介されなかった。「時間の関係」による苦渋の選択だろうか。
運動の前進こそが真の慰霊となる
日中友好協会東京都連合会副会長の諏訪剛央さんの「閉式のことば」が日中友好協会東京都連北支部支部長の中川大一さんによって読みあげられた。
「……100年前に起きた大震災で朝鮮人中国人虐殺事件は日本軍国主義によるアジア侵略と植民地支配、朝鮮人・中国人差別の最中に起きた事件であり、日本国民として忘れること……ならない……重大な事件だと思います。……運動のいっそうの前進こそが、対話(?)を願う真の慰霊となると信じてなりません……」。
最後に、献花がおこなわれた。
「虐殺防止法」「差別禁止法」「ヘイトスピーチ禁止法」を
私は、「関東大震災100周年 朝鮮人犠牲者追悼式典」に参加して、2度と虐殺をくり返さないためには、「虐殺防止法」や「差別禁止法」のようなものを作り、政府・防衛省・警察・マスコミ等による虐殺・虐殺扇動・「虐殺を準備するような積極的・消極的行為」を厳しく予防し処罰すると共に、ヘイトスピーチを厳しく処罰する「ヘイトスピーチ禁止法」のようなものを作ることが必要なのではないかと思った。
そのためには政権交代が必要なのではないかと思った。また、関東大震災における虐殺については、ユダヤ人やドイツ人がナチスの犯罪を裁くのと同じように裁くことが必要なのではないかと思った。「ドイツにおけるナチスの被害者の記念碑」と同じような大きなものも、日本でも作られるべきだと思った。
「関東大震災1100周年 朝鮮人犠牲者追悼式典」については、本当はもっと広い場所で追悼出来ればいいのかも知れないが、現状では、時間によって「後ろの人」も「前の人」と交代出来るように出来ればいいのに、と思った。また献花については、生花を使っているなら、「植物に対する人間の対応」に疑問をもち、「植物に対する倫理的な態度」とは何かについても悩んでいる私としては、生花を使う意味は理解しているつもりだが、生花を使うのはどうなのかと思った。
(2023年9月24日)
韓国伝統舞踊による「鎮魂の舞」が捧げられた(9.1)
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