東電福島原発事故刑事訴訟

10.1 最高裁に向けキックオフ集会

 【東京】10月1日(日曜日)午後2時から、東京の全水道会館で「最高裁に向けてキックオフ集会」が開催された。「指定弁護士による東京高裁判決に対する上告趣意書」が9月13日に提出された。
 「1月18日東京高裁刑事部(細田啓介裁判長)は、一審無罪判決に対する指定弁護士の控訴を棄却し、原判決を維持するとの判断を示した。上記の判決は、『指定弁護士の控訴を棄却し、被告人らを無罪とした第一審判決には、これを破棄しなければ著しく正義に反する判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認、審理不足(刑事訴訟法411条3号)、及び法令の違反がある。』とするものである、として高裁判決の誤りを強く求めている」。(集会チラシより)。

私たちは決し
て負けてない
 この日の集会で原告団の武藤類子さん(東電刑事訴訟支援団副団長)は、「最高裁での闘いがいよいよ始まる」と決意をこめて、その重要性を強調した。河合弘之弁護士は「決して負けているわけではない。歴史の闇に隠されることを許さない実績を積み重ねてきた。1審、2審の判決は東電無罪だったが、事実を徹底的に追及してきた」と自信をもって語り、「弁護士の90%以上は無罪判決を取ったことはないが、原発をしっかり調査し、知識を広げれば分かる。公の教育運動でも実態は明らかにされている。最高裁での闘いは簡単ではないが、訴え続けることが重要だ。後世に不利益をもたらす原発事故の実態を訴えよう」「社会を変えるのは年長者の責任、という自負を持って後世に不利益をもたらす原発をなくす」と河合さんは強調した。
 河合さんはさらに「闘いは判決で終わるわけではない。日本から原発をなくすということに貢献することが重要だ」と力強く訴えた。
 海棠雄一弁護士は、神話上の「正義の女神」が手に持った天秤で前に立った者の顔を見ないよう眼を隠していることを例示しながら、「2023年9月13日に提出された上告趣意書はすばらしい内容となっている。事故後に徐々に明らかにされた事実について島崎邦彦の『3・11 大津波の対策を邪魔した男たち』を例に挙げながら、最高裁でやれることは十分にある」と紹介した。

東電事故は終
わっていない
 リレートークの最初は蛇石郁子さんから。蛇石さんは「3・11」から12年6カ月経った現状を「到底認められるものではない。核の安全宣言はありえないと強調し、証人尋問からも意図的に外された不当性を訴えた。原発被災者から、「東電事故は終わっていない。この裁判で勝つこと、多くの事実を国民に伝えることが私のやるべきこと」という訴えが続いた。
 田村市への避難者からのメッセージも紹介された。
 討論の中では、「証拠不十分による無罪」という判決は社会通念としても認められない、という意見が交わされた。「公平な裁判は民主主義の基本」という立場からの東電株主代表訴訟の木村結さんの意見も紹介された。

東電の責任を
あくまで追及
 最後に閉会のあいさつを、東電刑事訴訟支援団長の佐藤和良さん(いわき市議)が行った。
 佐藤さんは「帰還困難な地域はまだまだ多い」と紹介し、「事故から12年、政府・東電のひどい動きが進められている。汚染水の海洋放出も始まって汚染水と言ったら非国民、あれは処理水だ、ということで、そういうことがまかり通る世の中で、事故後12年経って原子力村と国・政府・東電の原子力体制が一見すると評価される状況になってきている。底引き網漁も始まっているが、「食べて応援」ということで「常磐もの」が豊洲、大阪で引きが多く地元の店では売られない状況になっている」、と言う。
 さらに佐藤さんは「汚染水を30年間放出すると言っているが、30年間も食べて応援できるのでしょうか」と語る。また大熊町では「学びの森」ということで、裏山が20万ベクレルもある場所に幼稚園・保育園連動の小中一貫校が4月に開校したことも報告した
 「現地の状況なども踏まえて私たちは12年間、告訴団として闘ってきたことに意味がある」と訴えた。
 行動提起として、「最高裁は口頭弁論を開き、高裁判決を破棄するよう求める署名」の協力のお願いと、最高裁への1回目の行動として11月20日午前の最高裁前集会と署名提出と午後の院内集会の取り組みが紹介された。      (K)
 

東京高裁で勝利判決をかちとろうと訴える。(10.1 東京)

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