10.22使用済み核燃料の行き場はないぞ!全国集会
原発を全廃し、安心、安全な明日を築こう
原発構内での乾式貯蔵施設建設反対
【大阪】10月22日、午後3時から関西電力本社前で「使用済み核燃料の行き場はないぞ!全国集会」が500人の参加で行われた。主催は「老朽原発うごかすな!実行委員会」。
関西電力は現在5基の原発を稼働させ、定期点検中等の原発2基を含めると、福井県の若狭で7基の原発が稼働可能になっている。そこで問題になるのが使用済み核燃料の中間貯蔵施設である。関電は2021年に「23年の年末までに2000トンの中間貯蔵施設の候補地を示す。できなければ高浜1、2号機、美浜3号機の運転は停止する」と約束した。
高浜原発ではあと4年余りで使用済み核燃料のプールは満杯になる。そこで関電が提案してきたのが「発電所構内に乾式貯蔵施設を設置する」という計画である。しかし、この計画は使用済み核燃料を原発に恒久的に留めようとする案に他ならない。使用済み核燃料を増やさないためには原発の稼働を直ちに止めることが必須条件なのである。
関電は原発を止めるという約束を守れ
主催者あいさつで中嶌哲演さんは「使用済み核燃料の問題が、重要な焦点になってきた。100万キロワットの原発が1年間稼働すると、使用済み核燃料が30トン生じ、この中にはヒロシマ型原爆1000発分の死の灰とナガサキ型原爆30発分のプルトニウムが含まれる。若狭の原発は既に、ヒロシマ型原爆の40万発分の死の灰を内蔵する使用済み核燃料を蓄積してしまった。国内全体では120万発分蓄積してしまった」と、まず語った。
そして、「猛毒物質の核燃料施設を、大量に電力を使用する都市圏に作らず、過疎地に押しつけ、受け入れた自治体に麻薬的なカネをばらまく。むつ市の次の中間貯蔵施設の候補は若狭の小浜市だった。5千トンの中間貯蔵施設と引き換えに、50年間で1200億円の保証金を支払うと言われたが、小浜市民はこれを退けた。上関町は1000トンの中間貯蔵施設を押し付けられようとしている。原発を止めて、使用済み核燃料を増やさない。そのことを前提にして、処分の問題を議論しなければならない。電力大消費地の都市圏の皆さん、関電管内の皆さんにも声を上げてもらわねばならない」と、発言を締めくくった。
次に、実行委員会の木原壯林さんのアピール。木原さんは「原発依存社会に暴走する岸田政権、電力会社、原子力関連会社に怒りの声をまず上げたい」と話を始めた。そして、「使用済み核燃料は膨大な放射線と熱量を発するので、プールに保管する。そのプールが満杯になろうとしている。電力会社は使用済み核燃料を中間貯蔵施設に移して、原発の運転を継続しようとしている。このプールは極めて脆弱な施設であり、崩壊すれば福島のような大惨事になる。使用済み核燃料発生源の原発の稼働を許してはならない」と述べた。
そして、「関電は使用済み核燃料の福井県外搬出を約束したが、未だに候補地は決まってない。福井県から説明を求められた関電は、原発構内に乾式貯蔵施設を設置すると言い始めた。福井県知事はこれを容認しているが、原発運転継続ありきの出来レース。福井県との約束を守らせ、すべての老朽原発を廃炉に追い込まなければならない。関電と関係のない上関や青森に中間貯蔵施設を押し付けることを許してはならない」と話を終えた。
原発を止め、使用済み核燃料を増やすな
次に「使用済み核燃料・地元」の人たちの発言に移る。最初は青森県から参加した「核燃料搬入阻止実行委員会」の事務局長の中道雅史さん。中道さんは「むつ市の中間貯蔵施設の建屋が完成し、この8月に規制委員会の認可を受けた。この事実は東電に原発再稼働の道を開くことになる。この施設は東電と日本原電しか使用できないが、この施設の共用化が目論まれている。このことが実現すれば、全国の使用済み核燃料がむつに運び込まれることになる」と述べ、むつの貯蔵施設の稼働阻止、共用化阻止の重要性をまず訴えた。
そして、「東電のターゲットは柏崎・刈羽7号機の再稼働、この原発からの使用済み核燃料の搬出を阻止すれば、東電の原発再稼働の大きな阻害要因。むつ市の中間貯蔵施設の共用化案を粉砕すれば、全国の原発は動かなくなる。六ケ所再処理工場の本格操業を私たちが止め続ければ、原発は廃炉に向かうしかない」と語って発言を終えた。
次に、山口県上関町への中間貯蔵施設建設計画に反対する関係5団体からのアピールが読み上げられた。アピールの中で強調されていたのは、「住民に十分な説明がないまま、短期間で調査受け入れを決めた」ことであり、「1982年に原発建設計画が表面化して以来、町が推進派と反対派に二分され、町内の人間関係はズタズタとなった。しかし、福島の事故以来推進派、反対派の垣根を越えて、原発に頼らない町づくりに協力していこうという気運が出てきたが、再び町内に対立が生まれようとしている」という危惧だった。
「原発住民運動福井・嶺南センター」の山本雅彦さんは「若狭では3年から4年で使用済み核燃料のプールは満杯になる。関電は約束を守れそうもないので、原発内での乾式貯蔵と言い出した。使用済み核燃料の行き場がなくなれば原発は止まると考えている若狭の住民はたくさんおり、その人たちと力を合わせて原発を止めていきたい」と語った。
次に、柏崎刈羽原発に反対する運動に取り組んでいる、新潟市会議員の中山均さんと「原発さよなら四国ネットワーク」のアピールが読み上げられ、地元からの発言を終えた。
次に名古屋、東京等からの参加者が紹介され、また全国各地からアピールを寄せた団体名が紹介され、現在も避難を続ける、福島県の浪江町の菅野みずえさんが発言に立った。
菅野さんは「原発事故が起きると経済界は大儲けをする。福島県の浜通りの変貌ぶりを見るとそう思う。農民が手放して、人がいなくなった田畑にドローンの工場や、国有林の木を薬剤処理して建築材を製造する工場を建て、その廃液やゴミを垂れ流している。事故が起きればこうしたことも起きる。誰も被曝させない、被曝させるごみを出さないために原発を廃炉にする運動を頑張りたいと思う」と述べた。
次に、滋賀県を始めとする関西各府県の反原発団体の発言、そして「ユニオンネットワーク」等の労働組合の発言と続き、最後に司会の12月3日の1万人集会を成功させようというあいさつで集会を終え、大阪の中心部の梅田へのデモ行進に移った。 (山三)

23.10.22 関電前・中嶋哲演さん
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