10.27無罪を勝ち取る再審開始のゴングが鳴った!

袴田巌さんに無罪判決を!

 【静岡】10月27日、袴田巌さんの無罪を勝ち取るための再審が静岡地裁(国井恒志裁判長)で始まった。朝8時、袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会をはじめ支援者が全国各地からつめかけ再審公判へ向けた集会が始まった。
 日弁連再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行や名張毒ぶどう酒事件再審を取り組む田中さん、足利事件で再審無罪を勝ち取った菅谷さんなど多くの方々から報告・再審公判を闘う決意が述べられた。8時15分ころから地裁構内に傍聴希望者がならび始める。8時半には傍聴整理券の配布が始まった。280人が26枚の傍聴券を求めてならんだ。リストバンド方式が採用され傍聴交代ができない仕組みだ。
 弁護団や支援団体の要請に加え学者や弁護士などで組織された「司法情報公開研究会」から傍聴機会の十分な確保を求める要望書、テレビモニターを用い、空き法廷で再審公判を傍聴できるよう求めたが地裁はいずれも応じなかった。結局、一般傍聴席は26席で一番大きい法廷は使用されなかった。10時半前に地裁門前でひで子さん、弁護団を送り出した。
 11時から始まった公判の罪状認否で心神喪失状態にあるとして出廷を免除された巌さんに代わって補佐人として出廷した姉のひで子さんは「弟巌に代わって無実を主張いたします。…略…どうぞ弟巌に真の自由をお与えくださいますようお願い申し上げます」と述べた。

再審法制度の
改正も訴える
 冒頭陳述で弁護団は2014年の釈放後も袴田さんは回復しがたい精神的ダメージが残ったままだと訴え、その責任は「重要な証拠を捏造した警察、無実を示す証拠を隠した検察にあり、それを安易に見逃してきた弁護人や裁判官にもある」と述べた。そして「信じがたいほどにひどい冤罪を生み出した我が国の司法制度も裁かれなければならない」と述べた。検察側の冒頭陳述や主張は確定判決の内容の域を出ず、これまでと同じで漫然と立証しているに過ぎないものだった。
 今回、新たに検察が提出した証拠で犯人が着ていたとされる雨合羽に血痕が付着していたことを証明する鑑定書について、弁護団は、再三の開示請求が行われたにもかかわらず、これまでの公判で一度も示されなかった証拠だと指摘し、「価値がないとされた証拠の提出は(一事不再理を規定する)憲法39条に反する」と異議申し立てたが国井裁判長はこれを退けた。
 この点は今後の再審公判にどのように影響するのか注目しなければならない。再審公判と併行して支援団体は、お昼時に静岡市の中心街である呉服町の青葉公園前に移動し無実の袴田巌さんに無罪判決を!、無実を訴える声に耳を貸さない現在の再審法制度の改正を道行く人に訴えた。

検察官の主張
には怒りのみ

 昼食休憩ののち、裁判所近くの記者会見会場である産業経済会館に移動、裁判終了後の記者会見までの時間を使って全国から参加した支援者の交流会がお茶とお菓子を交えて行われた。
 5時半前から始まった記者会見では、弁護団の小川事務局長から「検察官の冒頭陳述や主張はこれまでと同様で漫然と立証し、非常に憤りを感じる」と述べた。ひで子さんは「裁判てこんなものかと、検事さんの言うことを聞いて、これじゃ57年もかかるわけだと思った。」と述べた。
 今後の裁判は、今年中にあと4回が確定しており、23年度中の7回も証人等の関係で結審が来年度にずれ込む可能性もある。次回公判は11月10日(金)11:00~17:00      (S)

袴田さん無罪判決かちとろう(10.27)

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