11.3輝け!憲法 平和といのちと人権を

ガザでの大虐殺を止めよう
今こそ侵略戦争阻止の行動を

 【大阪】大阪総がかり集会は11月3日大阪市扇町公園で開かれ、よく晴れた空の下5000人(主催者発表)の市民が参加した。
 長野たかし・森川あや子さんのフォークライブに続き、仁木洋子さん(高槻・島本市民連合)の司会で本集会が始まった。米田彰男さん(平和人権センター)が主催者あいさつをした。米田さんは、「イスラエルがガザで行っている虐殺を止めよう。昨日の清末さんの講演で日本国憲法を守ることがガザとの連帯につながることを学んだ。昨日福岡高裁那覇支部の法廷で玉城デニー知事は、何が公益か、新たな基地は受け容れられないという沖縄県民が示す民意こそが公益であると表明した。われわれも沖縄に連帯しよう」と述べた。
 2人のゲストがメインスピーチをした。清末愛沙さん(室蘭工業大大学院教授・憲法学)と清水早子さん(ミサイル基地いらない!宮古島住民連絡会代表)。

清末さんのアピール
「人権に基づく平和な社会を」

ジャバリア難民キャンプで

 11月17日からガザに行く予定だった。北海道パレスチナ医療奉仕団のメンバーとして、現地で子ども支援活動(子どもの絵の教室)をするためだ。22年8月末もガザで開いた。たくさんの子どもたちが、ジャバリア難民キャンプの国連のクリニックに集まって、絵の教室に参加してくれた。
 それが終わって、エルサレムに戻ろうとしたとき、1人の少女と母親が「前も来たよね」と声をかけてくれた。「ジャバリア難民キャンプに来るのは初めてだよ」と答えた。「違うキャンプで数年前に同じように絵の教室をしに来たでしょ。私覚えてるの。また戻ってくれたんだと思った。帰る前に話しかけたかったの」。このジャバリア難民キャンプが今どうなっているか。

 「ひとしく恐怖と欠乏から免かれる」ために

 ガザ市の少し北のジャバリアには、世界で最も人口密度が高い難民キャンプがある。昨日もその前日も3日連続でミサイル攻撃を受けた。イスラエルは、ガザ市民は南に避難をしろ・残るものはみんなハマスと見なすといって攻撃をした。ガザ市の周辺は4カ所がイスラエル軍に囲まれて、その中で人々が生活している。南部に移れということ自体が国際法上認められていない。南に行けと言われても、病人を抱えていたり、様々な事情でいけるわけではない。そして南もまた激しい空爆に遭っている。ガザにどこも安全なところはない。
 私はパレスチナ連帯活動に従事してきた。私がガザにこだわってきたのは、自分が憲法研究者だからだ。77年前の本日公布された日本国憲法前文には、有名な平和的生存権が明記されている【日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する】。これを研究し教えている者として、私は、平和的生存権の実現を目指し、ガザに関わってきた。憲法前文の主語は日本国民であり、日本国民が全世界の人々に対して平和的生存権があることをうたっている。私自身がそのことを憲法研究者として確認する、その意味を含めてガザになんとか入ろうとしてきた。

10月7日が始まりではない 
 10月7日に始まったハマスとイスラエル軍との戦争がことの始めではない。以前からガザの人々は、フェンスに囲まれ生きることを強いられてきた。横5~8キロ、縦50キロの狭いところに220万人が押し込められている。その1つがジャバリア難民キャンプである。少なくとも、2007年以降は厳しい封鎖の中に押し込めれれてきた。イスラエルは、ゲートを閉め。ライフラインを握り、激しい空爆をする。そのことがどれだけガザの人々の尊厳を奪ってきたか。それを、私たちは見逃してきた。私が知りあったたくさんの子どもたちがそこにいる。死んでしまっているかもしれない。私たちが見逃せば、ガザの人口の40%以上を占める18歳未満の子どもたちがどんどん死んでいく。平和的生存権を重視しているのはなぜかというと、【ひとしく恐怖と欠乏から免れる】ということを、国民の権利として謳っていることに大きな意味があるからだ。【ひとしく】といっている。民族を問わず誰にでも、その権利がある。
 フェンスで囲まれたガザに行くことにたいした意味はないけれども、絶対に許せないと思うからだ。小さな抵抗の穴を大きくする試みだ。憲法研究者としての矜持だ。高層のアパートに住んでいる人たちが多いが、突然何の警告もなく自分の住居に爆弾が落とされる。家族全員が死んでしまう場合もある。それが自衛の名の下に正当化される。そんな国際社会は間違っている。私がアレルギーのように反応してしまう言葉は、自衛だ。自衛という言葉で、たくさんの人々が殺されてきた。自衛のために人の命を奪うやり方は、イスラエルに限らず、日本にもやってほしくない。ガザの空爆は、尋常でないと思っている人が多いと思うが、イスラエルの国防大臣は、ハマスの戦闘員を人間の面をした野獣だと言った。非人間化の行き着くところはジェノサイドだ。このレベルの破壊が進むと、もはやガザというところは、パレスチナ人が住める場所ではなくなる。そこに目的があるのではないかと思う。そうなる前になんとしてもこの破壊を止めなければいけない。私たちの外務大臣はいまイスラエルを訪問している。無差別の攻撃を止めろと強くいうことはできるはずだ。

人が殺されるのを直ぐ止めなければ

 ガザで起きていること、ガザの人々がこれ以上殺されないようにすることが重要だ。封鎖が続けば、仮に停戦が実現しても全く意味がない。われわれはパレスチナの人々と共にいるという気持ちを忘れない。そのことが重要だ。そのことが、【ひとしく恐怖と欠乏から免れる】活動の一環になるはずだ。

清水さんのアピール
「南の島に自衛隊基地はいらない」


戦争のリアルが見えてきた

 宮古島は人口5万5000人のサトウキビと観光の島。周囲100キロメートル、ガザの約半分の面積だ。辺野古の代執行訴訟で玉城知事は国側のいう要件は満たされておらず、代執行は成り立たないと主張し、辺野古基地建設に反対する県民の民意こそ公益だと主張した。
 民意の背景には、県民の4人に一人が亡くなった沖縄戦の経験、それに続く米軍の占領支配、復帰後の基地負担の押しつけがあると県の文書は指摘している。辺野古の工事は強行されてもまだ10年は続く。米国は既に米軍再編に着手している。日本政府は、米国に付き従って九州から琉球諸島の島々で戦争準備を進め、もう最終段階に入っている。今や宮古島では戦争が見えてきたと言える。宮古、石垣、与那国島では安保3文書の改訂により沖縄を標的にした防衛戦略の大転換が行われ。戦争準備が具体的に進められている。ほとんどのメディアはこれを伝えない。戦車を高い気温に対応できるようにつくりかえると防衛省はいっている。陸自の施設科部隊は琉球石灰岩の破砕実験を行い、宮古島のような珊瑚礁の島に爆弾が落ちたらどのようになるかを実験した。施設科部隊は災害対応から闘う施設科になれといわれている。自衛隊は25万人の隊員から血液を採取し、血液製剤をつくり、戦場での負傷に対処するために備蓄し、米軍と共用するといっている。7月に石垣島では、遺体の収容訓練が行われている。11月10日から20日の自衛隊の総合訓練では、戦場で隊員の遺体を運搬する訓練が行われる。自衛隊員はどのような気持ちだろうか。宮古島の公民館には遺体収容袋が搬入された。これは住民用のものだ。

4000人収容シェルター、残りの5万人は?

 7月松野官房長官、木原防衛大臣が八重山にやってきた。宮古八重山の私たちは、政府がここを戦場にする気だと感じている。シェルターを建設するという。ミサイル戦争、宇宙軍という戦争の時代に、どんなシェルターが住民を守れるのか。宮古島では、たった3日間持ちこたえるような4000人収容のシェルターを建設するという。残りの5万人はどこへ行けばいいのか。宮古八重山12万人を九州に運ぶというが、どこが受け容れてくれるのか。
 福島で12万人を切り捨てたこの国は、今度は南の島の12万人を切り捨てようとしている。与那国島では、島を出るのであれば金を出そうとしている。集落ごとに説明会をし、棄民政策をとろうとしている。

 沖縄諸島はガザだ

 清末さんの話しを聞いて思った。沖縄は戦前戦後そして今も、日本国憲法の平和的生存権を侵され続けている。住民の人権侵害は進行形で続いている。私たちは、逃げ場のない、海で囲まれたガザにされようとしている。11月23日に私たちは島々から国会前に行き、見えてきた戦争の実情を訴えに行く。岸田首相は、フィリピン・マレーシアを訪れ、防衛装備品の提供や安全保障の強化について話をした。この戦争推進政権を変えなければいけない。

 立憲4党からアピール

 続いて、立憲4党からアピールがあった。
 立憲民主党(森山浩行衆議院議員)「安倍政権の時はみんなが警戒していた。岸田政権は、ぼーとした顔でどんどんいろいろなことをやっている。もっと警戒しなければいけない。
減税というが中身はない。万博は縮小すべきだ。」
 日本共産党(宮本たけし衆議院議員)「きっかけはハマスの許しがたい攻撃。だが今行われているのは、イスラエルによるガザの無差別殺戮。日本政府はハマスを批判してもイスラエル批判は一言も言わない。これでは問題解決はできない。国連総会で人道的停戦決議が上がった。日本政府は棄権をした。なぜ棄権したのかきくが答えがない。軍事対軍事で問題解決はない」。
 社会民主党(大椿裕子参議院議員)「国会に行って七カ月がたった。国会では予想以上に改憲派が多いと実感している。国会では、岸田首相に対して、総理大臣だったら憲法守れ!といつもヤジを飛ばしている。農村視察に行くと、コメがなくなってもいいのか、国民的な論議をしてくれと言われた。食料自給率38%なのに、高い税金で兵器を買う、こんな政治止めなければいけない」。
 れいわ新選組(大石晃子衆議院議員)「米国を筆頭に各国の指導者は日本国憲法と真逆のことをやっている。これを変えるには、自民党・公明党政権を倒すべきだ。人々がだんだん貧しくなっている。食費の切り詰めが連続11ヶ月を超えた。消費税廃止、最低でも減税、直ちに給付金を!

 閉会のあいさつを丹羽徹さん(大阪憲法会議・共同センター)が行った。
 集会後、二コースに分かれて市民パレードが行われた。      (T・T)

11.3憲法記念日総がかり集会に5000人

【訂正】かけはし11月6日号3面東電福島原発事故刑事訴訟記事の写真説明「東京高裁で勝利判決を」を「最高裁で勝利判決を」に訂正します。

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社

前の記事

11・4ガザ地区停戦緊急行動

次の記事

同志 佐藤博を追悼する