11.4大阪総がかり集会企画イベント

軍拡より対話! 連帯して東アジアに平和を

清水早子さん(ミサイル基地いらない宮古島連絡会共同代表)講演会

 【大阪】11月4日、清水早子さんの講演会が、11・3総がかり集会の共催イベントとして開催された。総がかり行動を代表しあいさつに立った、平和人権センターの米田さんは「これまでわれわれの関心は辺野古にだけ向いていたが、戦争をするための政策は以前から南西諸島では実質化されてきていた。このことを実感している」と、反省の気持ちを込めて語った。

常態化する日米の軍事訓練、増強される基地


 清水さんは「見えてきた戦争」と題する映像を使い、「PAC3が配備され、日米の軍事訓練が常態化している」と、急速に増強される南の島々の基地の現状をまず説明した。
 「宮古島に配備されている地対艦ミサイルの射程は200キロ、宮古海峡は約300キロ、宮古島と沖縄島のうるまで挟み撃ちにする。そのミサイルを改良し射程1000キロにする。25年度には射程1600キロ以上あるトマホークもアメリカから爆買いし、射程3000キロの弾道ミサイル=超音速滑空弾も開発する」
 「アメリカ軍は4月18日、下地島空港での訓練を通告してきた。1971年に琉球政府と日本政府で交わした下地島空港は軍事利用させないという覚書があり、沖縄県は断った」
 「宮古島駐屯地開設4周年の式典時、基地内で実戦訓練を市民に公開した。対艦ミサイルは空砲を撃ち、銃で撃たれた隊員の倒れるシーンもあった。実戦だったら血を流して倒れるということであり、それを子供たちの前でショーのようにして見せる。私たちは子供たちに兵器に触れさせるなという申し入れを行った」
 「海上保安庁は今や防衛大臣の指揮系統に入り、自衛隊と共に戦う組織になっている。保良には弾薬庫が2基完成した。最後の3基目の敷地は地権者が反対しており、裁判所で所有権が争われている。しかし、防衛省はこの土地の整備を強行し始めた。」
 「先月行われた日米共同訓練では石垣島と与那国島に米軍が上陸した。11月10日からは与那国で陸海空の大規模な訓練が行われる。その時には水陸機動団が上陸訓練をするという。沖縄島でも中城湾で訓練が行われており、宮古島にも水陸機動団の訓練予定地がある」

重要土地利用法と南の島々の軍事化


 次に清水さんは重要土地利用規制法に言及し、「この法律は戦争に向かうための法であり、防衛上重要な施設周辺、国境地帯に位置する離島で、国が住民を監視・規制し、弾圧するための法律である。宮古でも自衛隊の基地や下地島空港や長山港が特別注視地域に指定された。しかし、景勝地の海岸部でも指定されている場所がある。軍事利用するためだろう」
 「西表島には基地はないが、特別注視区域に指定されている場所がある。これも軍事利用される土地だろう。与那国島には多くの特別注視区域があるが、台湾との国境の島であり、島ごと基地にされるのではないか。島の全域が注視区域になると、土地を所有する人も、利用する人も、島民全ての人の個人情報が調査される。南の島々は対象地域に指定されている」
 「戦車を南の島仕様に作り替え、陸自の施設課部隊は琉球石灰岩の破砕実験をしている。北大東島へのレーダー基地配備、F35戦闘機の離着陸を可能にする波照間空港の滑走路拡張計画、宮古空港の滑走路拡張計画。与那国島へのミサイル部隊の配置と既存港を拡張し軍港にする計画。宮古島では千代田駐屯地を拡張し電子戦部隊を置く。この計画について住民には一切説明されていない。今月13日に自衛隊の沖縄防衛局に、住民説明会を開くよう要請する予定になっている」と、秘密裏に進められる島の軍事化に彼女は懸念を示した。

島の生活の中に入り込む自衛隊

 自衛隊は今や堂々と島の住民の生活圏に踏み込んでくる。「与那国島の人口は1600人位、その人口の12~13パーセントが自衛隊員とその家族が占めている。隊員の妻たちは売店、飲食店、役所でも仕事をしている。反対派の人が飲み屋で話したことは、全部筒抜けになる」
 「私の住む久松地区にも自衛隊員は住んでいるし、誘致派の議員もいる。地区の祭りにも自衛隊が入り込み、軽装甲機動車等の軍用車両が展示された。この祭りでは中学生等の未成年者数十人が酔っぱらい大問題になった。しかし、警察も教育委員会も酒を販売した店が特定できなかったと、誰が飲酒させたかを曖昧にしてしまった」
 「工事車両も通行しないことになっている学校周辺でも、軍用車両は公然と通っている。通勤時に制服ではなく、迷彩服を着用している自衛官もいる」と、彼女は糾弾する。

戦争のリアルとシェルターを造るという欺瞞

 「国は航空機381機、船舶だと111隻あれば宮古島から避難させられると言う。航空機381機をどこから持ってくるのか。石垣島と宮古島の間に多良間島という島がある。この島の避難計画では、一日で宮古島に全島避難させることになっている。しかし、多良間島が危険な時には基地が在る宮古島はもっと危険ではないのか」
 「与那国島では集落ごとに避難をどうするのかという話が進んでいる。家畜をどうするのかとか、具体的な話になっている。国は宮古島に4500人が三日間過ごせるシェルターを建設すると言う。しかし、宮古島の人口は55000人、観光客を含めると約6万人暮らしている。どうやって4500人を選ぶのか、戦争は3日で終わるのか」と清水さんは語り、軍備強化には邁進するが、南の島々に住む人たちの現実を無視した政府の避難計画を厳しく批判した。この後、台湾訪問時の体験と宮古島の基地の全容を説明し講演を終えた。      (山三)

宮古島にミサイル基地いらないとアピール(11.4)

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