11月23日 県民平和大集会で基地への怒り
沖縄を再び戦場にするな!の声、奥武山にとどろく
1万人が平和を発信
沖縄通信 12月3日 沖縄 沖本裕司
絶対に負けないぞ
11月23日、沖縄を再び戦場にさせない県民の会主催による「全国連帯!沖縄から発信しよう!県民平和大集会」が開かれ、奥武山陸上競技場に1万人が集まった。2月県庁前1600人、5月北谷公園2100人に続く三度目で、ついに1万人規模の大集会が実現するに至った。あらゆる小さな組織や個人をつなぎ、既成の団体とも連携した新たな県民の反戦運動の広がりを意味するものだ。
開会に先立ち、正午からコンサート。儀保貴子(ジャズ)、知念良吉(ブルース)、YUIKA(島唄)、桑江優稀乃(歌三線)、そして最後に、栄口青年会(エイサー)の演武が行なわれ、会場を盛り上げた。
司会は瑞慶覽長風(南城市議)、神谷美由紀さんの二人。はじめに、瑞慶覧長敏さん(県民の会共同代表)が「全国各地で同時刻に連帯の平和集会が開かれている。平和をつくるために心を一つにしよう。絶対に諦めない、負けない」と力強くアピールした。続いて来賓あいさつに移った。はじめに、玉城知事が発言した。
あくまでも戦争NO!
玉城デニー知事のあいさつ。
「平和でなければ観光も成り立たない。仕事も勉強もできない。パレスチナやウクライナを大きな憂いをもって見守っている。どうして悲劇を繰り返すのか。沖縄に基地を押し付ける不条理を正していかなければならない。子どもたちの未来が戦争の未来、不安の未来であってはならない。グスーヨー、マケティナイビランドー(皆さん、負けてはいけませんよ)」
うりずんの会の高良鉄美さん(参院議員)は、「ナチスのゲーリングは、一般の国民は戦争を嫌っている、しかし、この国が狙われている、攻撃を受けるといえば、国民は国の言うことについてくる、と言った。今の日本はどうか。共通している。頑張りぬこう」と呼びかけた。
県議会与党会派の次呂久成崇さん(石垣市選出)は、「与那国・宮古・石垣の自衛隊ミサイル部隊の配備を通じて一気に軍事化の波が押し寄せてきた。自衛隊・米軍の迷彩服姿が日常の光景になっている。しかし、有事は人間がつくるもの。止めることができるのも人間だ。戦争にNO!と言おう」と述べた。さらに、高里鈴代さん(オール沖縄会議)、金子登喜男さん(全国爆音訴訟原告団)と続いた。
軍拡やめるのは誰だ
基調報告は前泊博盛沖国大教授が行ない、次のように述べた。
前泊博盛教授の基調報告一部要旨
「台湾有事は誰が言い始めたのか。アメリカの軍人だ。軍事を操る人たちがメディアの席に座り、平和を語る人々は駆逐される。アジアの国の人々との話し合いが解決策だ。きちんとした政治家を選ぼう。日本本土は傍観的好戦論で、沖縄は当事者的非戦論である。ガザで殺されるパレスチナ人の半分は子供だ。『南西諸島』の軍拡は誰がやっているのか。戦争をしたいのなら、東京と北京でやれ!そうすれば、ミサイル防衛などというフザケタことは出てくる筈がない。戦争は政治家が始めて軍人が死ぬ。老人が始めて若者が死ぬ。自分たちの未来は自分たちで切り開く。若い人たちが立ち上がってください。新しい時代を若い人たちに託して共に立ち上がっていこう。平和と民主主義は与えられるものではなく、闘い取るものだ」。
島々からのリレートーク
戦争体験者の山根安行さん(93)は、「戦争で母を失い、マラリアで死にかけてやっと生き残った。戦争は地獄。国民を地獄に送るような政府を倒そう」と述べて、八重山のトゥバラーマを歌った。
そのあと、各地を結ぶリレートークが行われた。 「自衛隊が来てから人口流出が止まらず、自分たちの島が自分たちの島でなくなっていくのが悲しい」(与那国島イソバの会、狩野史江さん)、「信じられないくらい早いスピードで軍事化が進んでいる。市民に対し何の説明もない。ガザは他人ごととは思えない、昨日、市議会で即時停戦を求める決議をあげた」(内原英聡石垣市議)、「宮古島は川がない。水はすべて地下水を使っている。戦争になれば地下水が汚染され、回復には400年かかる。避難するより戦争させないことだ」(平和ネットワーク、福里猛さん)、「ミサイルの配備に関して、防衛局、うるま市から何の説明もない。復帰51年、ミサイルへの復帰であってはならない。捨て石にされないため立ち向かおう」(うるま市、照屋寛之さん)、「弾薬庫5棟の建設調査費が計上された。早朝アピールを続けている。私の双子の兄は自衛隊の訓練中に死亡した。隊内に性暴力とハラスメントが横行している。私たちの運動は、自衛隊員の命と尊厳を守るものでもある。戦争にはいかなる正義もない」(沖縄市議の島袋恵祐さん)、「名護市民投票から26年。埋立工事の進捗率はいまだ十数%。基地反対の民意こそ公益だ。私たちが残すものは自然と平和」(ヘリ基地反対協の浦島悦子さん)と続いた。
奄美の関誠之さん、西之表市議の長野広美さんからも連帯あいさつが行なわれた。
若者からのメッセージとして、那覇市出身、26歳の桑江優稀乃さんがサンシンを片手に登壇し、次のようにスピーチした。
「全国各地でサンシンライブをしている。コスタリカにも行ってきた。沖縄の美しい自然、文化が好き。この島に生まれたことを誇りに思う。私たちはひとりではない。共にこの試練を乗り越えていこう。共に未来を、歴史をつくっていこう、この沖縄から」。
集会宣言(別紙)は、平和市民連絡会の岡本由希子さんが提案し満場の拍手で採択された。
11・23県民平和大集会宣言
対話による信頼こそ平和への道
全国連帯・沖縄から発信しよう!
政府はここ数年「中国脅威」を強調し、昨年2022年の暮れには「安保関連3文書」を閣議決定しました。その上で「台湾有事」「南西諸島有事」に備えるためとして、最大の軍事強化を図ることを宣言しています。与那国、石垣、宮古の島々に限らず沖縄島や奄美、馬毛島に至るまで自衛隊基地が相次いで建設されミサイルや弾薬が持ち込まれています。さらに島々の空港、港湾をはじめとする公共インフラの軍事利用が謳われ、その上で空港滑走路の延長や港湾の拡張、新設のために予算化が図られています。また驚くことに、日本から直接中国本土を攻撃する長射程のミサイル開発に乗り出すことが明言され、米国から2000億円の巨費を投じて購入するトマホークミサイルの配備計画について1年前倒しで2025年から配備する動きになっていると報じられています。米軍の無人偵察機МIQ9が自衛隊鹿屋基地から嘉手納基地に、地域住民の反対を押し切って配備されたように、また沖縄が配備先になることは必至です。
一方で自衛隊や米軍は、昨年2022年11月に実施された日米共同軍事演習。キーンソード23や今年10月に実施されたレゾリュート・ドラゴン23のように最大規模の軍事演習を相次いで強行し、そのたびに島々に大量の軍事兵器が持ち込まれるようになりました。自衛隊や米軍の車両が自昼市街地を走り回り制服姿の自衛隊員が隊列をなして行軍するようになっており、戦前を彷彿させる光景が広がっています。かつてない軍事的緊張が島々を覆っています。
そのような情勢下で政府は、戦争の足音に恐怖する県民感情に配慮するどころか、辺野古新基地建設の代執行問題に見られるように「安保外交、基地問題」は「国の専権事項」と強硬姿勢を強めるばかりです。「台湾有事は南西諸島有事」、「台湾有事は日本の有事」と言い切った安倍政治を踏襲し「南西諸島」の島々の軍事基地強化に邁進しています。このままでは本当に戦争が起きかねません。何としても政府の暴走を止めなくてはなりません。
沖縄戦の悲劇を繰り返さないためにも、私たちは今こそ、戦争をするな!無謀な戦争を繰り返すな!と腹の底からの声を上げようではありませんか。台湾問題は中国の国内問題であり決して軍事介入して事の決着を図る問題ではありません。台湾問題に限らず諸外国との外交問題は、決して武力に訴えることなく、外交を柱に対話を通じた相互理解と相互尊重の立場で問題解決を図るほかはありません。そのことが先の戦争から学んだ教訓であるはずです。私たちは政府に対し、平和外交に徹し問題解決を図るべきであることを強く訴えます。
私たちは本日の平和大集会で戦争に反対する県民意思、全国各地から参集した多くの市民の燃え立つ思いを発信しました。本日の集会は、今後さらに拡大していく県民大運動、全国運動の序章であリスタートラインに立ったばかりと言えます。戦争の道を暴走する政府の動きを止めるために、思想信条を越え老若男女が手を取り合って団結すること。次は5万10万人の単位で県民総決起の大集会を開催して政府にそして全国に県民の決意を伝え、全国と全世界と団結して戦争を止める、私たちはその決意を内外に発信します。
以上、ここに宣言します。 2023年11月23日
全国連帯!沖縄から発信しよう! 11・23県民平和大集会 参加者一同
2023.11.23 奥武山陸上競技場。1万人参加。壇上の発言者の面々。
2023.11.23 奥武山陸上競技場。全県各地、全国から1万人参加。
2023.11.23 奥武山陸上競技場。巨大アート「スイミーバイ」に大勢が集った。
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社