11.25ノーモア原発公害裁判勝利をめざす宮城集会
仙台共闘が6・17判決を覆そうと連帯集会を実現
国の責任を認めさせるために
【宮城】11月25日、仙台市戦災復興記念館で「6・17判決」(2022年6月17日、最高裁判所が、福島第一原発の過酷事故によって被害を被った被害者による損害賠償請求裁判のうちの4事件で、事故を引き起こした国の責任を否定した判決)を覆し、仙台高裁に係属している原発公害訴訟で正義・公平を貫く判断を獲得し、岸田内閣による新たな「原発最大限推進政策」と「汚染水海洋放出」に歯止めをかける集会が開催されリモート含めて約120人が参加した。
訴訟団が横に
つながって
昨年12月に続く2回目の集会で、みやぎ原発事故訴訟団、山形原発事故訴訟団、山木屋原発事故訴訟団、津島原発事故訴訟団、こども脱被ばく訴訟団、女川原発訴訟団(以上、仙台高裁係属中)いわき市民訴訟団(最高裁係属中)の共催で開催された。いわゆる「仙台共闘」である。
福島原発事故被害者による裁判が各々の地裁における第一審を経て仙台高等裁判所に控訴され係争中であることを受けて、昨年の6・17最高裁判決をどう乗り越え、国の責任を認めさせる世論を喚起させていくことが重要であると訴訟団が横に繋がり運動展開していくことが確認されての開催である。
女川原発再稼働差止訴訟原告団原団長が開会のあいさつ、「6 ・17判決を克服するには戦後の逆転勝訴した松川事件裁判のように国民的大運動を起こし世論を喚起することだ」と国の責任を認めさせる運動を訴えた。
「裁判官は、憲法及び法律にのみ拘束される」
法の支配の番人としての役割を放棄した最高裁
記念講演として「6・17最高裁判決の誤りと下級審裁判官に求められること」と題して樋口英明さん(元福井地裁裁判長)が行った。
樋口さんは、「過去を分析する能力がない人は、将来を分析できない」と6・17判決を書いた裁判官を徹底批判した。
国の責任を問うには「①長期評価は、信用に値するものか否か、②経産大臣が東電に津波による防止策を命じるべきであったか否か、③命じたとしても事故は防ぐことが出来たか否か」が争点であったが、最高裁判決(多数意見)は「原発の本質に関する考察と議論を避け、①と②に対する判断を行わず③の結論を因果関係がないとして国の責任を否定した」と批判し、この多数意見に反対した三浦裁判官の「①長期評価は信用性がある②経産大臣は、東電に命令すべきであった③原子力基本法など法の趣旨は、万が一の事故を起こさないための法規制である」とした反対意見は、「質、量、説得力、格調の高さ、具体的妥当性において多数意見を圧倒している」と評価し、多数意見は、国民の側に軸足を置くのではなく、国の側に軸足を置いているとし、憲法第76条3項「すべて裁判官は、良心に従い独立して職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」を示し、最高裁は、法の支配の番人としての役割を放棄しており、法と論理に従うのではなく、結論ありきの判断をしたと厳しく批判した。
「原発は人が管理し続けなければならないもので、その管理を怠れば事故の被害は想像を絶するほど大きいものになる。その原発の本質がわかれば原発は止めなければならないのは当たり前だ」とし、6・17判決を乗り越え、最高裁の判断を変えていくには「自分のそばにいる大事な人二人にこの話を伝えていくこと」「それを聞いた二人が他の大事な二人に伝えていけば世論は確実に変わる」と話を結んだ。
被害の全面救済をめざす「ノーモア原発公害市民連絡会」発足を報告
第2の記念講演は、寺西俊一さん(一橋大学名誉教授・日本環境会議理事長)の「岸田政権の原発政策とその問題点を問う」と題しての講演。6・17判決以降、岸田政権は原発促進、老朽原発の使用期間延長と原発推進に舵をきるなか、全国で闘われている裁判や運動をつなぎ福島第一原発事故による被害の全面救済をめざす「ノーモア原発公害市民連絡会」を発足したことを報告した。
①福島原発事故を引き起こした国の責任を認めない最高裁の不当判決をただすこと。②多くの被害者の人権侵害や環境破壊が今なお深刻である実態を踏まえ、それらの全面救済と原状回復を求めること。③「原発公害」をさらに広げる汚染水の海洋放出中止や老朽原発の再稼働即時停止を求めることを当面の活動としていくことが報告された。
6・17最高裁判決を覆そう!とアピール採択
講演後、共催した各訴訟団から裁判報告が行われ、なかでも今年の3月10日に仙台高裁が出した「いわき市民訴訟」判決では、「経済産業大臣が適時適切に規制権限を行使していれば…重大事故が起きなかった可能性は相当程度高かったと認められるのであり、安全対策を講じさせるべき規制権限の行使を8年にわたり怠った国の責任も重大である」と判示し、国と東電を断罪しているにもかかわらず「津波を止めることが出来たとは断定できない」と「国の責任」を認めないものであり、6・17最高裁判決に忖度した不当判決だと抗議し、上告して闘っていることが報告された。
脱原発宮城県議の会の遊佐美由紀県議から連帯あいさつを受け、「私たちは、福島第一原発事故の被害者や、事故の影響で健康や暮らしに悪影響をもたらされた市民の人権の実現のため、その阻害要因である6・17判決を覆すべきであると考えます。そして、仙台高等裁判所をはじめとする全国の裁判官に対し、日本国憲法76条3項の精神に則り、憲法と良心にのみ従い、誤った最高裁判決に拘束されることのない判断を行うことを求めます。」という「6・17最高裁判決を覆そう」集会アピールを参加者全体で採択し、来年、それぞれが新たな勝利判決をもぎ取りこの場に結集することを確認しあった。(m)
裁判勝利に向けてい固い意志一致(11.25)
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