「全国連帯!沖縄から発信しよう!県民平和大集会」に参加して

改めて辺野古新基地建設反対を

ヤマトの主体的闘いとして取り組もう

 11月23日の「全国連帯!沖縄から発信しよう!県民平和大集会」に参加した。10月下旬に「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」の共同代表でもある瑞慶覧長敏さんが新宿アルタ前での集会に呼びかけに来て「本土の問題ではないか」と呼びかけた話を知ってはいたが、違った意味で、米兵被害に直面してきた沖縄島のたたかいにぶら下がっていたかのような意識を変えるよう迫られたというのが、3年ぶりに行った沖縄での感想だ。
 定期的に県庁から出る辺野古バスに乗ると、県民大集会へのヤマトからの参加を反映してか「今日はひさびさに乗車人数が多い」という声を何度もきいた。バスのみならず、抗議船とカヌーによる海上行動、いたるところでコロナ禍をはさむ工事車両専用ゲート前座り込みの中断、縮小の間、沖縄島各地から態勢維持のために動き回ってきた人の苦しさがうかがえる場面が何度もあった。
 資金面での苦しさということも少なくないようだ。しかし担っている人は集まる人の交流を豊かなものにしようと工夫している。
 
長期にわたる生活をかけた闘い
 
 2014年の翁長知事実現、オール沖縄での辺野古阻止から、土砂搬入強行、度重なる弾圧をへてどうだったのか振り返る間を与えず、沖縄に負担だけを強いてくる日本政府である。この集会で発言した浦島悦子さんが「名護市民投票の民意と市長の受け入れ発言から26年たち、私も年をとったが、幾多の人々がなくなっていった」という言葉は、この5年、10年に照らしても重い言葉だと思う。今さら、と自分でも思うが、塩川の土砂搬出に短時間参加しただけでどれだけ多くの人が生活をかけて新基地建設強行に抵抗してきたか、痛切に感じるところだ。
 工事車両専用ゲート前での3度の搬入、淡々とおこなわれる警察官の座り込み排除行為、「違法におかれたコーンを撤去してください」とアナウンスし続ける防衛局の職員たちの無機質な声、表情。
 こういった「ルーティーン」に抗しながらの消耗は、長期間にわたるとどれほどのものなのかは想像できない。安和、塩川では少人数の攻防が多くなるため一層負担が大きい。もともと搬入の完全阻止を志向しながら編み出された牛歩戦術は何年も続けられてきている。
 その人々のきわめて抑制された動作の一つ一つに、ダンプカー運転手ら個々人との関係構築、海の破壊を許さない思い、国家権力に対する持続的な抵抗の意思がみなぎっているように感じられる。沖縄2紙は何度も報じるとおり、本部町島ぐるみ会議などは辺野古の土砂埋め立ての進捗、搬出する安和、塩川を通りすぎる土砂の使用目的、その量から生じる矛盾について、管轄する沖縄県の煮え切らない態度を変えようと奮闘している。
 阻止行動でカウントされたダンプの台数計測に基づいた行動である。何年もの間、無機質な弾圧監視体制の中で続けられてきた行動に少しでもヤマトの多くの人はかかわっていかなければならない。
 
進められる軍事拠点構築
 
 山城博治さんも「島々を孤立させない」と問題提起し、与那国、奄美、石垣、宮古からそれぞれ発言があった。共通するのは自衛隊も米軍も共謀して住民をだまし、嘘にうそを重ねて軍事拠点を構築している点である。米国、中国に挟まれた東アジアの軍事的危機についてどうとらえるか、基地に反対する人の間でも微妙な温度差はあるが、全島避難と国民保護法、先制攻撃を可能とする長距離射程のミサイル配備、民間港湾、民間空港の自由な軍事使用。政府が一方的に発する情報がこの1年の間に目まぐるしく更新され、「軍事的危機」という既成事実をわれわれの中に植え付けている。石垣島で災害救助を名目に行われた遺体収容訓練の報道を知らなかったことにも自分の中で衝撃を受けた。
 県民大集会の2日前に「沖縄上空を飛来」した朝鮮民主主義人民共和国発の「ミサイルのようなもの」に対する「Jアラート」が響いたが、沖縄で聞く警報音の不気味さは違うものがある。軍は機密は漏らさないが、仮想敵への不安をあおり、国民的結束をもたらす情報はどんどん流す。高良鉄美議員が発言で引用していたが、ゲーリングが米軍心理分析官に語ったとされる言葉もまた、戦争に民衆を巻き込む手法を正確に伝えている。
 
新しい弾薬庫建設の着工も
 
 辺野古の土砂埋め立ては遅々として進まないという側面もあるが、一望するとキャンプシュワブの辺野古側の埋め立ては終わりつつあるようにも見える。マヨネーズ地盤の大浦湾側への埋め立てを効率よく進める意図もあるのだろうか、第4ゲートから名護市街寄りは林を伐採し、完全な更地にして車両搬入通路を確保している。埋め立て推進の利便のみならず、自衛隊用も含めた新しい弾薬庫の着工も進められるという。5棟の弾薬庫新設、既存の弾薬庫の改築は2022年末の日米合同軍事委員会で勝手に決められている。
 いつできるともわからない埋め立てよりも、兵士の福利厚生も含めた基地機能強化が優先される現実はすさまじい。むき出しになった土の広がりを見ながら感じずにはいられなかった。
(海田 昇)
 
 

2023.11.23 奥武山陸上競技場。1万人参加。壇上の発言者の面々。

2023.11.23 奥武山陸上競技場。全県各地、全国から1万人参加。

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社