投書 滝山病院からの退院を考える12・2シンポに参加した
匿 名
12月2日・土曜日、14時から16時30分にかけて、滝山病院「かながわ」退院促進実行委員会(「実行委員会」)の主催で16団体が賛同して、シンポジウム「滝山病院からの退院支援の現状と私たちにできること」が124名が参加(うち34名はオンライン参加)しておこなわれた。会場は、関内のbelle関内601号・スマートレンタルスペースだ。
9カ月以上も殺人病院に入院しっぱなしに
総合司会は、「実行委員会」の勅使川原香世子さんだ。
最初に、「実行委員会」代表の原裕樹さんが発言した。
「2月に滝山病院事件がおきた。報道があってから9カ月半になる。いま現在17名の神奈川県民が入院している。滝山病院に入院している17名のうち7名がSOSを出している。何が出来るか。どうしたら退院できるか。行政に入院患者の状況はどうなっているのか聞いたが、「個人情報保護」の観点から教えてもらえなかった。いまもなお改善されていない病院に9カ月以上も神奈川県民を入院しっぱなしにしているのは問題だ。17名の入院患者の方の退院・地域移行支援(退院促進)を県民・市民・報道機関などの力と知恵をかりて、行政と協働して進めていきたい」。原裕樹さんは、そう発言した。
なお、いつもご協力してくださっている方の中で、今回のシンポに会場参加している2人(立憲民主党のすとう天信さんとれいわ新選組推薦の長谷川くみ子さん)と、参加していないが1人(ほりあい研二郎さん)の議員が紹介された。
現実の被害者を救済しなければ
シンポの第1部は報告で、タイトルは「退院支援の現状と何が滝山病院からの退院を妨げているのか」だ。
相原啓介さん(弁護士・精神保健福祉士)と細江昌憲さん(就労継続支援B型とグループホームをやっている人)が報告した。
「多摩地域は精神科病院が多い。滝山病院の院長は、朝倉病院の院長だった人がやっている。朝倉病院でおきていたことは滝山病院でもおきている。身体拘束もやりかたにルールがある。滝山病院では違法な身体拘束がおこなわれていた。滝山病院はIVHが大好きだ。IVHは普通は末期にしか使われない。人工透析もずさんだ。朝倉病院は診療報酬の不正請求でつぶれたが、滝山病院は『学習』していて、滝山病院がつぶれることはないと思われる」。
「20年ごとに大きな事件がおきる。だが、被害者の患者を助けなければいけないということが問題になったことはない。現実の被害者を救済することから目をそむけてはいけない」。相原啓介さんは、そのように発言した。
自分たちがやるという覚悟
次に、細江昌憲さんが「多摩地域では、滝山病院がひどい病院だということは知っていたが、放置してしまった。1番のネックは、病院の中に入っていけないことだ。滝山病院がうんと言わないと、滝山病院の中に入っていけない。支援者が中に入れる状況を制度として作らないといけない。意向調査は終わったが、まてどくらせど情報がでてこない。そうして、いまにいたってしまった。だれがいつやるかを明確にしないと、退院が進まない。自分たちがやるという覚悟がないといけない。この状況が放置されていることは問題だ。これは日本の暗部だ。この事件を無駄にしてはいけない」と発言した。
次に、「実行委員会」の佐々木信夫さん(弁護士)が司会をして、質疑応答・意見交換がおこなわれた。
1番目に、横浜日野病院(字はこれであっているかどうか分からない)に入院している人が発言した。
2番目に、私が「差別禁止法のような法律を作るべきだ。自公政権が諸悪の根源だ。『たたかう野党』がバラバラであることが自公政権を支えているのではないか」と発言した。相原啓介さんは「制度が変わらなくてもやっていかねばならない」とコメントした。3番目に、入院した経験がある人が発言した。
透析のベッドには前の人の血が
シンポの第2部は報告で、沓澤則子さん(寿町で訪問看護をしている人)と伊達朱実さん(1当事者の妹さん)が発言した。
沓澤則子さんは「寿町での看護・支援の経験よりできること」と題して「寿町は、日本3大ドヤ街の1つだ。94パーセントが生活保護を受給している。元日雇い労働者はいるが、いまは日雇い労働者の街ではない。寿町にくる事情はさまざまだ。滝山病院を退院してきたKさんを担当した。Kさんは飲酒歴が長かったので、糖尿病になる。透析が必要になり、生活保護を受ける。透析が苦痛になり、うつ状態になる。入院期間は半年ぐらいだ。透析のベッドには前の人の血がついていた。先生とは話なんかできない。担当のケースワーカーに訴えた。退院が決まり、とてもうれしかった。筋力の低下がひどかった」。
「滝山病院とは別の病院に入院した。ストレス緩和病棟に移ってからは快適だった。寿町には、さまざまな社会資源がある。それでも課題はまだある。今回滝山病院事件のことを知って、選択肢をもっともっと増やして取り組んでいきたいと思った」と発言した。
姉の気持ちを想像できていたか
伊達朱実さんは、「兄弟姉妹の立場より伝えたいこと」と題して「若いころは、結婚していいのか、子どもを作っていいのか、悩んだ。部屋の中にいる姉の気持ちを想像できていたか自信がない。姉はのどが渇くといって、飲み物をよく飲んでいた。3年前に体の病気であっけなく亡くなった。姉が亡くなって、解放されたということはない。優劣や序列に重きをもつ考えは、私たち姉妹を苦しめていた」と発言した。
誰もやらなくても、自分はやる
カンパのお願いがあり、私は急いでお手洗いに行ったが、会場にもどったら第3部ははじまっていた。
第3部は「滝山病院の神奈川県民の患者さんを救出するために私たちにできること」をテーマにした「報告者と質疑応答・意見交換」だ。1番目の発言者と3番目の発言者のことは、分からない。
2番目の発言者は、長野市の病院に入院している人(オンライン参加)だそうだ。
3番目の発言者の後で、細江昌憲さんは「電話をかけまくるしかない。職権で会いに行ける人に会いに行ってもらえば、退院は進むんじゃないかと思う」とコメントしていた。
4番目の発言者は、精神科の病院で相談員をしている人(オンライン参加)だ。 相原啓介さんは「滝山病院は、生きてでることを想定していない病院だ」とコメントした。「滝山病院には面会室がそもそもない。面会を想定していない。外部には開かれていない病院だ」とコメントした。
5番目の発言者は、精神科の病院でPSWをしている人だ。相原啓介さんは「定期監査は書類だけだ。世界中の人が誰もやらなくても、自分はやるという意識が必要だ」と、伊達朱実さんは「監査そのものを抜き打ちにするべきだ。姉には質問する人の意向に沿うような答えをしてしまうところがあった」と、細江昌憲さんは「継続が大事だ」とコメントした。
最後に、「実行委員会」の山口徳江さんが「終わりのことば」をのべて、シンポは終了した。カンパは合計で8万9848円集まったという。
私は、「支援者が中に入れる状況」をいかに作るかが重要だ、イギリスのBBCにこの問題のドキュメンタリー番組を放送してもらうことはできないか、などのことを考えた。また、シンポについては、休憩がないことと、撮影・録音が「一般」は全面不可であることに疑問を感じた。
(2023年12月9日)
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