沖縄の民意と地方自治を踏みにじる代執行を許さない!12・20官邸前行動
福岡高裁那覇支部が辺野古工事の設計変更で代執行を認める不当判決
【東京】12月20日午後6時半から、首相官邸に対して「 沖縄の民意と地方自治を踏みにじる代執行を許さない!12・20官邸前行動」を「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が呼びかけて行われた。
司会の青木初子さん(沖縄反戦地主会・関東ブロック)が「不当な代執行判決に怒りの抗議行動。どこまで沖縄の民意を踏みにじるのか。沖縄の自治を奪うものだ。戦争に向かう日本の姿が映し出されている」と述べ、抗議のシュプレヒコールから抗議行動が始められた。
沖縄の反基地の意思と地方自治を破壊する判決
総がかり行動の東森英男さんが基調提起を行った。
「福岡高裁那覇支部は本日、辺野古新基地工事の設計変更を国が自ら承認する代執行を認める不当な判決を行った。判決は沖縄県知事に対して、設計変更認定を今月25日までに、承認するよう求めている。知事が承認しない場合、国が代執行する、と認めている。沖縄の基地建設を受け入れないという民意と国と対等とされている地方自治体の権利をじゅうりんする不当判決だ。それを遂行する岸田政権に強く抗議する」。
「軟弱地盤が90mあるなか、70mしか工事ができない問題や環境破壊の問題などまったく検討していない。判決は最後の方で付け足しとして、今後工事は10数年かかる。まだ、設計申請変更が起こるかもしれない。そのたびに裁判をやっていたら大変だ。沖縄の歴史的経緯もあるので、国と地方は話し合え、というようなことを言っている。これは言い訳であり、本論で言うべきだ。沖縄県が最高裁に上告しても、国の代執行と工事着手ができることになっており、新基地をめぐる闘いは新しい段階を迎えることになる。辺野古新基地建設は工事完成の展望もなく、完成後も崩落の危険性が専門家から指摘され、政府の言う普天間基地の危険性除去にもまったく繋がりません。費用も当初の計画を大幅に上回るものであり、断じて容認できない。玉城沖縄県知事を支え、辺野古新基地建設反対、金権腐敗の岸田政権打倒へと繋げて闘おう」。
立憲野党の福島みずほさん(社会民主党、参議院議員)、山添拓さん(日本共産党、参議院議員)、小西洋之さん(立憲民主党、参議院議員)が連帯のあいさつをした。伊波洋一さん(参議院会派の沖縄の風)からのアピールが読み上げられた。
沖縄弁護団が不当判決を厳しく批判
代執行裁判を闘ってきた沖縄の弁護団の加藤裕さんからの電話メッセージを受けた。
「国の言い分を丸呑みする判決をした。一つ目、法令違反があるかないかの争点。9月の最高裁判決は埋め立て法の要件を満たしているかどうかの判断を一切していない。あの判決は沖縄県が埋立法に違反すると判断した判決だと言い切っている。しかし、この最高裁判決にはどこにもそんなことは書いていない。苦し紛れに国の言い分を認めた」。
「二つ目に、代執行以外に取るべき方法がなかったのか。知事はこれまで、何十回となく国に対話を求めて、協力して解決するのが筋だと訴えたにもかかわらず、まったく拒絶されてきた。本来ならば国と地方は対等・協力の関係にある。事業をする場合、協議をして協力をするという本来のあり方が大事なにもかかわらず、そのことは裁判所は関係ないんだという判断をした」。
「三つ目に、著しく公益を損なうか否か。沖縄県としては基地の加重負担が辺野古移設によって解決するわけではない。そして民意は基地はいらない、この住民の意思こそが大きな公益だと主張してきた。ところが今回の判決は埋め立てができないということによって、普天間の移設ができずに、普天間基地の周辺の住民に生命身体が危うくなる。だから、公益の侵害が重要だと判断した。本来ならば、公益の概念は非常に幅広い概念だから、事業者である国の利益だけを考慮するのではなくて、さまざまな公益を考慮すべきなのを一切考慮しない判決をした。危険性の除去だが、判決では基地周辺の住民の生命身体に大きく関わるものだとしている。しかし、これ事態に大きな矛盾がある。本当に普天間基地周辺の住民の生命身体に危険が迫っているというのであったら、今から十数年、場合によっては20年かかるかもしれない辺野古の新基地建設をするのではなく、ただちに普天間基地の閉鎖をするというのが本来のあり方です。それをせずにいて、普天間の周辺の人たちの安全というものを人質にとって、自分たちの思惑で辺野古の新基地を建設しようというのは公益という観点からしても、きわめて問題だと言わなければならない」。
「判決は県の主張をすべて否定したが、沖縄県民の心情も十分に理解できると書いている。しかし、十分に理解できるのであれば、三要件の判断に十分反映されなければいけない。言葉だけでごまかして、実際には住民の不利益を放置し、国策を前進させる側に立っている。そんな裁判所に、十分理解しているとされたくない。このような不当な判決は司法の役割を放棄したものだ。私たちは司法の場でも闘うが広範な市民を巻き込んで、辺野古の基地建設を止めていかなければいけない。この裁判に負けて、マスコミから万策尽きたと言われるかもしれないが、しかし県民が反対している以上、辺野古の新基地ができるわけがない。96年にSAKO合意で5年から7年以内に、県内移設を条件に移設すると言われた。県民の反対があったからこそ、27年間これだけかかった。民意に反してこのような事業ができるわけがない。民意を大きくしていって、今の政権を代えていくことが大事だ」。
大浦湾埋め立てを強行する現地の様子
参加者からの訴え。辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の首都圏グループの毛利さんが大浦湾の埋め立てに向けた動きについて報告した。
「先週沖縄を回ってきた。大浦湾には大小20隻近い工事船・監視船がひしめいていた。穏やかな大浦湾を知るものとして、胸のふさがる思いがする。さらに、安和・塩川周辺の海には20隻近くの大型の土砂運搬船が待機する異常な光景が広がっていた。砕石でえぐり取られた周辺の山肌には多くの方が心を痛めている」。
「代執行を認めた設計変更で政府は埋め立て土砂の総量を沖縄県内から調達するとしている。大量の土砂、東京ドーム16個分。その7割は戦没者遺骨が眠る南部からの調達だ。魂魄の塔近くの熊野鉱山では、重機が大音量を立てて整地作業が始まっていた。沖縄県の海域が生物多様性の観点から重要度の高い海域に指定されている。大浦湾埋立は政府自らが決定した生物多様性国家戦略に照らして、正当な行為なのか、私たちはこの観点からも政府を追及していきたい」。
横田基地、オスプレイ撤去の闘い
平和をつくりだす宗教者ネットの発言の後に、オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会の福本道夫さんが発言した。
「11月29日、横田基地所属のオスプレイが屋久島空港の2キロ先の屋久島沖に墜落した。私の子どもと孫たちは横田基地から約1キロの所に住んでいる。このような事故は横田基地に着陸しようとして近隣に落ちたらどうなるか、大惨事になっただろう。私たちは事故があってすぐに、全オスプレイの飛行停止を求めて防衛省に申し入れを行った。
結局分かったことは日本政府は何も考えていないということだ。政府が米軍にオスプレイの飛行停止を求めてもまったく問題にされていない。これに対して横田基地周辺の自治体や鹿児島県や沖縄県も含めて飛行停止を求めた。全オスプレイの飛行停止を米軍が発表した時に、日本の防衛大臣がマスコミで発表されるまで知らなかったことが明らかになった。日本政府のだらしなさを私たちは痛感している」。
「昨年8月に空軍のオスプレイがノルウェーでも事故を起こした。それを受けて半月間飛行停止になった。はっきりした原因の発表のないままに、飛行がまた開始された。そして今年の2月に横田基地のオスプレイが半月間飛行停止した。これはクラッチの部品を交換したためだ。今年の7月に、その前の年のカリフォルニア州の事故が操縦士のせいではなくて、機体そのものにあったことを米軍が発表したことにより、自衛隊の陸自のオスプレイは半月間停止している。MVもCVもこの間、停止していない。
今年の8月から9月にかけて、オスプレイの緊急着陸が5回あった。11月29日の事故につながった。CVは危険所に行くような訓練をしているからだ。横田で騒音裁判を起こしている。1976年から47年間、ずっと繰り返し繰り返し裁判を続けている。裁判で早急な解決を見つけるのは難しい。50年の闘いをやっても、いまだに被害が違法だと認める抜本的な解決に至らないからくりって何なんだろうか。まだ、まだがんばって闘います」。
この後、12月25日防衛省への緊急抗議行動が呼びかけられ行動を終えた。12月25日までに埋め立て承認に対して、沖縄県はこれを拒否した。政府は埋め立ての代執行を決めた。2024年年明けから大浦湾の埋め立て工事が始まる。何としても工事を中止させよう。
(M)
首相官邸前に「沖縄の民意踏みじるな!」の声響く(12.20)
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