投稿:継続するインフレ、新たな経済成長への離陸は可能か(下)

西島 志朗

深刻な人手不足、社会が壊れ始めた

【自動車貨物輸送】

 真夜中の東名高速は、コンテナを積載した大型トラックの長蛇の列が続く。沿線に点在する倉庫群には明かりが煌々と輝き、その周辺だけがまるで光の島のように浮かび上がる。日本の物流が、まさにトラックドライバーと物流倉庫で働く労働者の深夜労働によって支えられているという現実を、まざまざと見せつける光景だ。
 「物流2024年問題」が目前に迫っている。来年4月から、ドライバーの時間外労働が年間960時間(特別条項付き36協定を締結する場合)に制限される。日経新聞は、「人材14万人不足、損失10兆円」と報じた(日経10月30日)。
 運送費に占める人件費割合は39・8%、一般管理費では8・9%であり、運送業は経費のほぼ半分を人件費が占める典型的な労働集約型産業である(全日本トラック協会)。トラックドライバーの賃金水準は全産業平均の74%、金額で約138万低い。大型運転職の賃金に占める固定給の割合は46%であり、仕事給(変動給)が32%、所定外賃金が22%である。年間労働時間は全産業平均よりも365時間長い(運輸労連「トラック運輸産業の賃金実態」)。
 しかしこれには軽貨物車が含まれていない。軽貨物運送事業者は2021年度に20万9250、10年間で3割以上増加した。大半が「個人事業主」である。宅配便取り扱い個数は10年間で1・5倍に増えた。運送会社は労働コストを切り詰めつつ人手不足を補うため、個人ドライバーの「偽装委託」を増やしてきた。タクシーの「ライドシェア」導入も検討されている。
 
【路線バス】

 バス路線の廃止や減便が相次いでいる。2010年からの約10年間で1万5000キロメートルの路線が廃止された。コロナ禍後は観光バスに人手を取られてさらに廃止路線が増えている。バス運転手は約11万6000人で、12年度から1万3000人余り減った。
 バス運転手の年間所得(22年)は全産業平均より98万円少ない399万円。平均労働時間は年間2520時間で、全職業の平均より396時間長い。残業時間は、年間492時間。全職業平均より3倍以上も長い。24年4月から、路線維持に必要な運転手の確保はさらに困難となる。日本バス協会(東京)が約800社を対象に先月まとめた試算によると、24年度に2万1000人、30年度に3万6000人の運転手が不足するという。
 残業時間の上限を年間960時間、過労死水準ギリギリの月80時間に制限するだけで、物流が滞り、バス路線がさらに廃止・縮小される。労働者を過労死水準ギリギリで働かせても壊れていく社会・・・。
 
【保育士】

 (東京都)中央区の認可保育園で18人のうち13人が順次退職。退職の理由は長時間労働と給与のダウン。目黒区の認可保育園では5人中4人が退職。退職理由はボーナス支給や夏休み取得などについての運営会社との「認識の違い」。横浜市の認可保育園で保育士11人が一気に退職。退職した11人のうち7人は別の新設した保育園で働いているという。静岡県浜松市の認可保育園で、18人の職員がパワハラやセクハラなどを理由に一斉に退職届(ウェブサイト「保育士の手帳」より)。
 総合サポートユニオンの青木耕太郎は、保育士の集団一斉退職について「労働条件の改善や抗議のために集団的に労働を拒否するというストライキの「原理」を満たすものは、ストライキの一形態ととらえるべきである」(「POSSE」2022年8月)と評価している。全くその通りだ。やむにやまれぬ抗議の「ストライキ」が頻発しているのである。
 厚生労働省のデータによると、2020年時点で保育士登録者数は約167万人。しかし、これはあくまでも保育士登録数であり、実際に保育の現場で働く保育士数は、約64万人しかいない。つまり、保育士資格を取得していても、約100万人が保育士として働いていない状況である(「保育士バンク」2023年08月25日より)。保育士の平均年収は約382万円(2021年厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。給与所得者の平均より60万円も低い。
 介護人材の不足も深刻だ。厚生労働省の試算によると、2025年には37・7万人の介護人材が不足する見込みである。介護職員の平均年収は約352万円(「令和3年賃金構造基本統計調査」)。保育士よりもさらに低い。
 物流、建設、介護、保育、医療、清掃など、「人手不足」が深刻な業種に共通することは、エッセンシャルワークであることと、賃金水準が低く長時間労働が常態化していることである。社会を支えるエッセンシャルワーカーの労働条件がどうして劣悪なのか。

サービス産業、低い労働生産性


 「保育現場は「生産性」という言葉にアレルギーがある。しかし、同時に『保育士の給与・働きやすさ』の待遇改善ニーズは大きい。それこそ『生産性問題そのもの』であるという共通認識の普及が必要」(「サービス生産性レポート」経済産業省2022年3月)。
 「サービス産業は機械化、IT化が遅れ、生産性が低い。だから賃金が安い」といわれる。しかし、保育という仕事に「生産性」を求めることに自体に問題がある。保育現場の「生産性という言葉へのアレルギー」は、担い手たちの保育に取り組む使命感の表現なのだ。介護や医療の現場も全く同様だろう。
 1970年代から80年代にかけて、女性の「労働参加」が急速に進んだ。しかしその大半は「パート」労働者であり、「正社員」の下位に「パートさん」と呼ばれる新たな「身分」を形成した。「男は外で働き、女は家事労働でそれを支える」という社会的な差別の構造に依拠して、「新たな身分」には「家計補助給」が支給された。保育や介護(ケアワーク)は、「無給の家事労働」との競合関係にある。資格を得て担う労働であるにもかかわらず、賃金は最低賃金の水準に抑え込まれた。
 「正社員」の大量解雇と長時間労働の常態化、不払い残業の蔓延と並行して、最低賃金で働く「パート」が増加し、男性労働者も含めて「非正規」が拡大する。「正社員」もまた採用時の初任給からほとんど昇給しなくなった。「家計補助給」で働く女性労働者の低賃金が、「アンダークラス」全体の賃金を、最低賃金水準に下押して張り付けてきた。
 物流はどうだろうか。「日本のものづくりの強みである『ジャストインタイム』は、無駄な在庫を持たないために、多頻度少量の配送が欠かせない。その影響が物流の現場に及んでいた。そうした状況が人手不足で一気に変わる」(日経10月30日)。「在庫ゼロ」を実現した多頻度少量配送は、「積載率」を40%以下に低下させた。
 製造業にとって物流は単なるコストであり、削減の対象でしかない。1990年に「物流二法」が施行され運送業者が増加すると、荷主(大資本)優位の構造が作られる。「世界のトヨタ」の生産性を上げるために、物流部門が犠牲になった。アマゾンの宅配は便利だ。しかし、「翌日配達」が本当に必要なのか。「送料無料」は運送会社へのコスト押し付けに他ならない。巨大企業の競争力強化は物流部門の低賃金と過酷な長時間時間労働に支えられているのである。
 運送業者は「低運送料競争」を生き残るために、労働コストを外部化する。「正社員」と「非正規社員」のさらに外側に、「個人事業主」(フリーランス)身分で働く「偽装委託」が拡大されていく。ケアワークや物流部門だけではない。この半世紀の間に、二重三重の差別的な雇用構造が公共部門も含む全産業に広がり、サービス産業の低賃金を定着させ再生産してきたのである。

「人手不足」、成長への隘路


 資本とその政府は、「一層の価格転嫁」「さらなる法人減税」「設備投資や研究開発への補助金の大盤振る舞い」で利潤率の回復を目指している。しかし、それだけでは十分ではない。「人手不足」が経営を圧迫している。
 「日銀の12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、幅広い業種で景況感が改善した。価格転嫁が進展し、企業業績を押し上げた。一方で人手不足は深刻化している。賃上げ機運を高めるが、人手を確保できない企業は業績悪化につながる。賃上げと物価上昇の好循環が続くかどうかが今後の焦点となる」(日経12月13日)。
 賃金を大幅に引き上げ、長時間労働を是正しなければ、労働力を確保することは困難だ。しかし、政府が税金を使って一部負担してくれるとしても、他の職種並みの賃金を支給することは、「生産性」の低いサービス業の利潤率をさらに引き下げるだろう。「省力化投資」(ロボット化、AI等)だけでは「人手不足」は解消できない。
 唯一の方法は、低賃金でも正社員同様に働く労働者をさらに格段に増やすこと、正社員の労働時間の一部を分割して短時間労働を担い、複数の職場を掛け持ちして、「個人事業主」(偽装委託)の身分で働く労働者を大量に創出することだ。現状よりもさらに低賃金で、不安定雇用・非雇用労働者のこの大きな塊は、正社員と競合しながら労働者全体の賃金を引き下げる。最低賃金を払う必要さえない複数のフリーランスで労働時間を分割すれば、正社員の長時間労働を解消することも可能となる。そのカギを握るのは、女性と高齢者の労働参加率引き上げだ。

労働参加率、女性と高齢者、「偽装委託」

 2022 年の15 歳以上人口の労働参加率は、60・9%。男女別にみると、男性は 69・4%、女性は 53・0%である。いわゆる「生産年齢人口」(15~64 歳)では、78・4%。男女別にみると、男性は 84・2%、女性は 72・4%である。65~69歳の男性の就業率は60%、女性は39%となっている。65歳以上の就業者は389万人。全就業者の18%に増えた。高齢者の労働参加率は「先進国」の中でも突出して高い。
 定年延長(60→65)と定年後再雇用の推進。年金改革と退職金・退職年金の削減や制度廃止が、再雇用、再就職を促してきた。再雇用では一般的に賃金は半分以下になる。多くの高齢者が「元気なうちは働きたい」と言う。しかし若いころの目標は「悠々自適の老後」ではなかったか。「死ぬまで働き続ける社会」、それは貧しい年金のせいである。「団塊の世代」は2025年以降、80歳に到達する。就業可能な高齢者数は、減少へむかう。
 65歳~80歳の高齢者の労働参加率をさらに引き上げるために最も有力な手段は、年金支給水準の一層の切り下げだ。2025年は年金制度見直しの年である。来年は見直しの議論が本格化する。年金制度は、低賃金でも働かざるを得ない高齢者をさらに増やす方向へ見直されるだろう。高齢者の「ギグワーカー」も増えつつある。資本が求めているのは、年金を受給しながら低賃金にあまんじて働く「偽装委託」の高齢者フリーランスだ。彼らは、定年前に勤務した企業の正社員の長時間労働を解消するための散発的な短時間勤務を、正社員同等の「生産性」でこなすだろう。
 政府は、パートのフルタイム化(パートの身分のままで)と女性の労働参加率引き上げのために、「年収の壁」を解消していく方向性を打ち出した。小手先の対策では効果が出ないだろうが、「子育て支援策」の拡充とともに、これをやりきらなければ女性の労働参加率は上昇しない。ほとんどフルタイムで正社員と同様の働き方をしながら「パートさん」の身分のまま働く女性労働者がさらに大幅に増加する。同時に、女性高齢労働者は、年金生活世帯の補助的収入を確保する水準の賃金で、短時間の複数の仕事に就くだろう。
 政府は、サービス産業の生産性向上のために、オートメーション・AI・ロボットの導入を進めるとしている。サービス産業は典型的な労働集約型産業であり、機械化には技術的な困難が伴う。介護も保育も、ホテルのベッドメイキングや飲食業の配膳等もロボット化するには物理的な限界がある。資本にとって、ロボット化に投資するよりも最低賃金で労働者を雇う方がはるかに合理的だ。ロボット化への投資は、資本の有機的構成を高度化し、利潤を圧迫する要因となるからだ。
 「新たな経済成長」が実現できるか否か、そのカギを握っているのは下記の3点だろう。
① 「家計補助給」で働く女性労働者とわずかな年金を受給しながら働く高齢者の労働参加率を引き上げること、同様に「外国人労働者」(「奴隷労働」と批判されている)をさらに増やすこと。
② 「働き方の多様化」を口実に、「個人事業主」を偽装して、労働基準法を基盤として形成された労働関係法規や社会保険制度の適用対象から外してしまうこと(詳細は本紙2790号「「労働者」の定義(自営業者との相違、「雇用」か「委託」かの判断基準)についての一考察」参照)。
③ 「一層の価格転嫁」「さらなる法人減税」「設備投資や研究開発への補助金の大盤振る舞い」、そして消費税の増税。

「1人親世帯」の「生活賃金」を、最低の要求基準に


 笹島芳雄は「米・英・日における新しい最低賃金-生活賃金-の動向」(産業経済研究所)の中で、「わが国の最低賃金水準は19歳単身労働者の生計費が基準となって決められている」と述べている。しかしそもそも、賃金は「労働力の再生産」を可能とするものでなければならないはずだ。「労働力の再生産」には、次世代の労働力を養育することも含まれる。
 労働政策研究・研修機構の周燕飛「日本人の生活賃金」によれば、「試算の結果、日本の標準世帯(夫婦と子ども2人の4人世帯)における生活賃金は、片働きの場合が2380円(2015法定最低賃金の298%相当)であり、共働きの場合が1360円(2015法定最低賃金の170%相当)となっている」。
 連合は、5年ごとに埼玉県のさいたま市を基準にして「連合リビングウェイジ報告書」を公表してきたが、その2021版によると、共働き4人世帯で、子どもが2人とも小学生の場合は2467円、子どもが高校生と中学生の場合3021円となっている。また、成人1人で子供が中学生と小学生の場合(つまりシングルインカム)は1936円 (私有自動車を保有しないケース)である。
 「最低賃金1500円」が、左派も含めた労働運動の要求となっていることは不思議な現象である。「1500円」を最賃の要求水準とする根拠はもはや希薄になっている。インフレが亢進する中で、「1人親世帯の生活賃金」=「最低賃金2500円」が文字どおり最低の要求でなければならない。資本が「価格転嫁」を進めるのであれば、労働者は資本と闘うことで「労働力商品」の価格を引き上げねばならない。
 「1人親世帯」、特に「シングルマザー」世帯の貧困が社会問題となっている。労働運動がこの層を見捨ててはならない。「誰一人取り残さない!」ことは、労働運動の原則だ。時給2500円は、正社員の平均年収を時給換算した金額とほぼ同額である。正規と非正規の格差・差別をなくすことは、「最低賃金2500円」を実現することと同義だ。女性の低賃金は「不本意な結婚生活」に女性を縛り付ける諸悪の根源だ。「最低賃金2500円」が実現すれば、残業込みの賃金でかろうじて生活を維持している状況を変えることができる。
 「最低賃金2500円」は、エッセンシャルワーカーの賃金を全体的に押し上げるだろう。「1人親世帯の生活賃金」を最低限の要求ベースとした労働運動と社会的運動こそが、二重三重の差別的雇用構造を変革する第一歩になりうるだろう。

苦悩する日銀、崩壊する政府

 中央銀行の最重要の任務はインフレの抑制であるから、インフレの局面では日銀は金利を引き上げねばならない。金利引き上げは、利潤率を引き下げて設備投資を抑制することで、インフレを抑止する方向へ作用する。「価格転嫁率」(まだ43・6%だ!) がようやく上がりはじめて利潤率が回復する傾向が出てきたにもかかわらず、日銀は金利引き上げを本格化するのだろうか。
 利子は形を変えた利潤の一部であり、利子率は利潤率の上昇(経済成長)とともに上昇する。金利引き上げ介入(国債の買い入れ減、売却増、当座預金への付利利率の引き上げ)は、この流れを一定程度促進するにすぎない。日銀の市場介入で、実体経済(利子率も含めて)の動向を支配することができるかのような言説は、中央銀行の存在を過大評価している。
 30年以上続く経済の停滞は、利潤率が低迷したまま回復しないところにある。「消費不況説」は正鵠を射ていない。「作っても売れない」だけではなく「売れても儲からない」のである。儲からないから資本は新たな生産投資に向かわない。「売れれば儲かる」状況になれば、設備投資は増加し、日銀が介入しなくとも金利は上昇する。しかし金利の上昇は利潤を圧迫するだろう。
 植田総裁は、目の前の深刻なインフレをなかなか認めようとしない。現在のインフレは「価格転嫁」によるものであり(経済の「過熱」によるものではない)、ようやく利潤の回復に結び付き始めた。金利上昇はこの動きに水を差す。日銀の「逡巡」はまだしばらく続くだろう。
 岸田政権と自民党が崩壊的な危機に直面している。状況は流動的で先は読めないが、政府危機は、新たな経済成長の実現に必要な諸政策の実施を遅らせる。しかし、問題を先送りする時間的余裕はほとんどない。資本は、「消費税増税」を実現する政府、「改憲」や「防衛増税」を先送りしない政府、新たな経済成長を実現するための条件を現実化する強力な政府を求めている。

社会的必要性にリンクする賃金を


 左派の労働運動と社会運動は、「最低賃金2500円」を掲げて、アンダークラスの心に響く「社会的」春闘を準備するべきではないだろうか。企業内にとどまらず、街頭でのキャンペーンやSNSでの発信なども総動員し「市民運動」も巻き込んで、「社会的」に展開する「新たな生活賃金運動」が必要だ。そして同時に、「非正規」と「偽装委託」の全面禁止を政府に要求して、2000万人の非正規雇用労働者と460万人の「フリーランス」にたいして、共に闘う労働者の仲間であることを訴えねばならない。
 「最低賃金2500円」は荒唐無稽な要求であり全く実現不可能だろうか。しかし、すでに社会が壊れはじめているのである。持続可能な社会を築くには、年収200万で働くアンダークラス(大半がエッセンシャルワーカー)の賃金を抜本的に引き上げる以外にない。
 問題は「物価上昇を上回る賃上げ」ではない。それでは二重三重の差別的な雇用構造は固定化されたままであり、固定化どころかさらに差別が拡大されるだろう。そもそも物価上昇率に賃上げ率が追い付けば、さらに「価格転嫁」が進められるだろう。
 賃金水準を経済成長や生産性にリンクさせるのではなく、社会的必要性にリンクさせねばならない。社会を支えているのは、CEOや富裕層や政治家ではないし、金融分野で特に顕著な「ブルシットワーク」でもない。政府や資本が「それは実現不可能だ」というのであれば、退場してもらうしかない。利潤優先の資本主義に基礎を置く社会がもはや持続不可能となっている。しかし社会を支えるアンダークラスの賃金を優先して「生活賃金」に引き上げる社会的な「生産力」はとうの昔に実現されている。争われるべきは「労働分配率」ではない。労働者が作り出した剰余価値と社会的富を資本と富裕層から奪還して、社会的必要に応じて再配分できるかどうかが争点なのである。
 新たな経済成長は可能だろうか?
 アンダークラスをさらに大量に作り出し、大半の労働者を「偽装委託」や「ギグワーカー」として使い捨て、インフレと消費税増税と年金切り下げで貧困層をさらに増やす。「生涯不安定雇用・非雇用」のまま、時間単位で労働力を切り売りし、労働関係法規や社会保険制度の保護から締め出された膨大な数の「プレカリアート」を創出することで、剰余価値率を抜本的に引き上げ、利潤率の本格的な回復を実現すること。資本の狙いはここにある。
 労働者階級の一層耐えがたい犠牲の上にしか、新たな経済成長が実現することはないだろう。
 (12月14日)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社