ALPS処理汚染水の放流差し止め訴訟が開始
裁判闘争への支援を強化しよう
汚染水の放流を止めよう
9月ALPS処理汚染水の放流差し止め訴訟が開始された。汚染水の放流を止める闘いに参加し、裁判闘争への支援を強化しよう。
政府・東電の無責任な行為
政府・自民党は福島第一原発ALPS処理汚染水の放流を強行した。県民そして、全国の漁民の反対の声を踏みにじる暴行であった。また事故発生者責任原則を放棄する無責任な行為でもあった。しかしこの愚行によっても福島第一原発の廃炉を成し遂げることは出来ない。
福島第一原発サイトには放射能汚染ごみが累積し、その処理も又福島第一原発廃炉を不可視にする障害物である。ALPS処理汚染水は液状放射性廃棄物である。この液状放射性廃棄物を除染する作業は多重下請という差別的雇用構造の下実行されていることを見据えなければならない。そして労働災害は下層に行く程多発していることも指摘しなければならない。
2011年3月の福島原発事故を教訓に原子力規制庁が新設された。しかしこの教訓は反故にされ汚染水の処理方針は経済産業省主導により審議が進行し汚染水放流は決められた。汚染水放流が決められて以降「食べて応援」キャンペーンがテレビ・新聞等のマスコミを席巻し、新聞からは「汚染水」との表現は消えた。「風評被害の原因になり、ひいては復興の妨げになる」との理由だ。又福島原発事故の被害を訴える記事も同様であり、繰り返し報道されるのは双葉郡内の伝統行事開催のニュース及びイノベーションコースト構想による、同郡地内の新規工場立地であり復興の順調な進行のアピールとなっている。
袋小路の廃炉と頑強に続く抵抗
しかし福島第一原発の廃炉について見たとき、それは様々な分野で滞り、行き詰まり、違法行為が横行している。1F廃炉工事に不可否な行為として、汚染水海洋投棄が宣伝されている。しかしそれは汚染物質の分散を招き、放射能被曝事故の防御を一層困難にする行為なのだ。又現在の世代の人権を蹂躙し犠牲を拡大、転嫁する事態となっているのが現実の姿であり、これに抗う労働者市民の行動が行われている。
9月に訴訟を起こしたALPS差し止め訴訟の原告は363名となり、来年3月4日公判による口頭弁論が決定された(福島地方裁判所)
7団体共同行動―3政党(共産党・社民党・立憲民主党)4労働団体(小名浜地区労・市労連・地方労)で構成―は8/8経済産業省申し入れ行動8/27全国行動と年内6回の反対行動を展開し放流後も12/2学習会を原子力資料情報室から講師を招きいわき市労働福祉会館でおこなった。同学習会でフクシマ原発労働者相談センター代表狩野光昭さんが10月24日に発生した労働者被ばく事故について、事故はALPS配管洗浄作業中に発生し、作業責任者が当該現場不在の時に発生した。作業責任者は業務を兼務していた。事故発生には多重下請け構造の問題が存在と報告した。
また「これ以上海をよごすな市民会議」は、経済産業省現地駐在員との説明会や小名浜集会及び13日(毎月)スタンディング汚染水放流をさせない活動を展開し放流開始の8月24日には福島第一原発近傍国道6号脇歩道で抗議大熊町緊急抗議行動を実行した。そして11・23学習会、講師(原子力資料情報室)県漁連・郡山市議・原子力災害考証館長によるリレートークを行った。
杜撰廃炉計画の典型が海洋投棄
岸田自民党政権・東京電力が漁民との間で交わした文書約束「関係者の理解なく(処理水)のいかなる処分も行わない」を反故にし、汚染水の海洋投棄を強行した行為は、廃炉工事に関わる施策の典型として存在している。その中でも汚染水の処理に関して自民党・東京電力の執っている方針はその典型として存在している。
それは東京電力の事故発生者の責任放棄・被害の拡大・汚染の拡大・被害者の人権侵害であり福島原発事故処理に関わる政策の全域に共通しているのだ。
始めに福島原発事故由来の汚染水は液体放射性廃棄物であり、これを薄め海洋に流す行為は放射性物質を拡散する行為である事を指摘しなければならない。それは福島原発事故由来の除染土壌の処理についても同様である。放射能汚染土の再利用を所沢・新宿御苑で土壌リサイクル実証事業と称して実行を図っている。住民の反対を無視し強行するこの行為は、汚染水を漁民及び市民、労働者の反対を無視し海洋投棄した行為と共通し民主主義を踏みにじるものである。そして、放射能汚染物質処理責任を放棄する行為は拡大し汚染土壌の次には解体建築物が準備されている。大熊町に不燃性廃棄物の2020年秋に稼働開始予定の再資源化施設が建設途中である。
また海洋法(国内法2007年5月発行。海洋環境の保全を求めている)及び国際条約―ロンドン条約(1975年発行放射性物質の海洋投棄を禁止)―違反行為でもある。福島原発敷地に山側から事故炉に流入する雨水が原子炉圧力容器内の燃料デブリに接触し放射能汚染水と化し日々発生させているのだ。
問題山積みで廃炉工程は破綻
国・東京電力が主張する、処理汚染水の安全性は信用に値しない。汚染水にはトリチウム以外の放射性物質(セシウム、ストロンチウム・ヨウ素、炭素14等多種の核種)も含まれている。そして汚染水放流後東京電力は放射線量の計測を行い「異常なし」と発表しているが、計測は計測限界値が高い即時計測であり信頼には値しない。精密測定には長時間が必要であり、そして何よりも放射性物質の影響は短時間で判断できない。
東京電力は汚染水海洋投棄を福島第一原発の廃炉に不可欠としているが、廃炉工程は既に明らかに破綻している。現時点で分っている燃料デブリは1~数百トンと言われているが、取り出したのは僅か耳かき一杯に過ぎない。そして放射能汚染ごみは増加する一方だ。2023年11月東京電力が改定した個体廃棄物(伐採木、瓦礫、汚染土、使用済み保護衣)保管管理計画からみると、現在なお屋外にその一部は屋外保管でありその状態は彼らの目標から見ても28年度まで解消されない。焼却等の減容処理をしても膨大であり発生量は28・5万立と膨大であり。保管棟は現在9棟が運用中で2棟急増中であるが総量は20・2万立米と予想され絶望的量である。汚染水の除染処理に伴い発生する放射能汚染ごみの問題は更に処理は困難だ。汚染水処理はセシウム吸着とALPS系の2系統で、更にセシウムは2系統だが共に人間の接近が不可能であり塔ごと保管であり、当然吸着フィルターとの分離すらも開発中である。そして3種類の総量は約6千立米にも達する膨大な量である。政府・東京電力による「廃炉工程」は既に破綻している。長期的展望による新たな「廃炉工程」が必須である。 (浜西)
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