投書 プールの水流出事故を考える

SM

 川崎市立小学校で教諭のミスでプールの水を出しっ放しにした事案で、市教育委員会は担当教諭と校長に95万円の賠償請求をおこなった(全額納付済み)。2023年9月29日・金曜日の『神奈川新聞』は15面の投書欄(「自由の声」欄)で「プール問題 管理者に責任」という意見(請求は校長に対してだけおこなうべきだという意見)と「過失認め全額負担せよ」という意見(教諭は全額負担してほしいという意見)を載せた。私はスッキリしなかった。特に後者の意見がスッキリしなかった。
 そう思っていたら、2023年12月27日・水曜日の『東京新聞』朝刊が15面(川崎版)で「川崎市立小 プールの水流出事故 責任は教諭だけのものか」という記事を掲載した。私はそれを読んで少しスッキリした。
 『東京新聞』(北條香子記者)は「2023かながわ取材ノート7」でのべる。「吐水口を確認せず、注水が続いていたのに気付かなかったのは教諭のミスだが、手順書に従って作業し、授業の妨げにならないよう試行錯誤したことが分かる。その結果、多額の賠償を求められるのでは、手順書が巧妙なわなのように思えてならない。校長は操作マニュアルの整備が不十分だったことの責任を問われた。市教委によるとこれまで、プールを使っている市立校162校のうち約4割でマニュアルがなかったという。プールの管理は教職員の本来の業務とは言えず、慣れない作業を手探りで進める実態があり、事故は起こるべくして起きたとも言える」(2023年12月27日・水曜日、川崎版15面、「2023かながわ取材ノート7 川崎市立小 プールの水流出事故 責任は教諭だけのものか」)。
 ヘイトスピーチの問題では『神奈川新聞』(石橋学記者)もがんばっているが、この問題では『神奈川新聞』よりも『東京新聞』の方がジャーナリズムらしい。関東大震災における朝鮮人虐殺の問題を1面と2面でおおきくとりあげたり(2023年12月25日・月曜日『毎日新聞』朝刊)、小さな記事だが杉原浩司さん(NAJAT)へのインタビューを4面で載せたり(2024年1月6日・土曜日『朝日新聞』朝刊)、どの新聞がいいとは一概には言えない。天皇制の問題では悪い意味でどこも同じようなものだという気がする。だが、この問題では、私の見落としでなければ、『東京新聞』が1番ジャーナリズムらしい。賠償金は川崎市の福田紀彦市長や教育委員会が払うべきだ。あるいは、岸田文雄首相や天皇徳仁(ナルヒト)が払うべきだ。私はそう考える。
(2024年1月11日)

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