1・26ヒロシマ総がかりが総決起集会

「ガザ虐殺やめろ! パレスチナ・ウクライナ・ミャンマーに平和を」

 【広島】1月26日、通常国会開会日に「戦争させない・9条壊すな!ヒロシマ総がかり行動実行委員会」主催による「ガザ虐殺やめろ!パレスチナ・ウクライナ・ミャンマーに平和を!1・26総決起集会」が開催された。200人の結集であった。司会は、戦争をさせないヒロシマ1000人委員会、I女性会議の貴田月美さん。
 1月1日に発生した能登半島地震での犠牲になられた方々へのお悔みと、いまだに日常が取り戻せない被災者への支援を訴えた上で主催者あいさつを兼ねて以下のように述べた。

貴田月美さんの発言
(戦争をさせないヒロシマ1000人委員会)


 ミャンマーの国軍クーデターから3年。ロシア軍のウクライナ侵略から2年が経とうとしています。イスラエルによるパレスチナ・ガザへのジェノサイド、民衆大虐殺が3か月経っても止まりません。難民キャンプ・学校・病院・住宅・避難所・モスク・教会が爆撃され、3カ月で、2万5千人以上の人々の命が奪われました。その内、多くは、子どもや女性です。人道に反する、地獄のような国際的非常事態に対して、憲法9条を持つわが国は、いったい何をしているのでしょうか。
 本日は、通常国会開会日でした。政治資金パーティー券の裏金問題に端を発し、自民党の政治腐敗の
姿が誰の目にも明らかになりましたが、岸田首相は偽装的派閥の解消で、批判の世論をかわせると思っているようです。その上、広島1区選出の岸田首相の下で、地方自治を無視した代執行で辺野古大浦湾への埋め立て工事を強行し、憲法が踏みにじられ大軍拡が開始され、東アジアでの戦争準備が進められています。税金は、戦争のためではなく人々の暮らし・幸せ、平和のために使われなくてはなりません。
 沖縄の人々は立ち上がっています。広島に住む私たちは、原爆犠牲者の無数の嘆きが埋もれている、この地で、戦争を止める行動を巻き起こしていこうではありませんか。本日は短い時間ですが、3人の方から発言をいただきます。
 まず、最初に、レベッカ・マリア・ゴールドシュミットさんを紹介した。

 2021年から広島市立大学大学院で芸術を学んでいる大学院生で、父方の曽祖父母はホロコーストの犠牲者で、ユダヤ系の米国人です。「ジューイッシュ・ボイス・フォー・ピース(平和のためのユダヤ人の声)」で活動されています。昨年、10月13日以来、原爆ドーム前で毎日、取り組まれている、「広島パレスチナともしび連帯共同体」による「vigil for gaza(ビジル フォー ガザ)」に参加されて、「いかなる市民の殺りくも支持しない。イスラエルはガザでの虐殺を今すぐにやめて」と強く訴えておられます。

レベッカ・マリア・
ゴールドシュミットさんの発言

 ユダヤ人として、なぜ、パレスチナ解放を支持するのか、話したい。イスラエル批判は、反ユダヤ主義ではない。ユダヤ教はシオニズムではない。シオニズムは、わずか100年の政治思想で、ユダヤ教は3千年の歴史がある。私の祖父は1935年、若きシオニストとして、パレスチナに行った。祖母はナチス・ドイツからパレスチナに渡り、2人はそこで出会い、父は1950年、ハイファで生まれた。
 祖父の両親はアウシュビッツで亡くなった。戦後の1950年、両親はニューヨークに移り、その後、シカゴに移った。現在、いとこやその家族はイスラエルに住んでいて、何人かは入植地に住んでいる。
 私はシカゴのシオニストの学校に通い、イスラエルが祖国だと教わった。1990年代に育ち、アラファト、ラビン、平和、テロについてよく話した。学校では爆破予告もあり、パレスチナという言葉は誰も口にしなかった。パレスチナ人について学ぶこともなかった。インティファーダ、(イスラエルによる)軍事占領、ナクバについても知らなかった。高校ではイラク戦争について学び、反戦デモにも参加したが、イスラエルのことは、まだ理解できなかった。私は20年間ぐらいパレスチナについて一人で研究し、ついに軍事占領の真実を知った。アメリカ政府がいかにイスラエルを支持しているかも知った。
 家族に尋ねると、「短絡的すぎる」と言われた。今、(ガザ)大虐殺が起きているが、家族は私と話をしようとはしない。私の正義の政治は彼らの生存の政治に反するからだ。イスラエルはアメリカの軍事基地で、イスラエルは米軍の兵器実験場だ。多くの国がイスラエルから武器を買っている。だから、だれも空爆を止めようとはしない。
 現在の空爆作戦はひどいが、長い歴史のなかの一つにすぎない。パレスチナの人々は75年間苦しんできた。私はパレスチナの抑圧に加担しているという現実を直視しなければならない。私の家族はパレスチナ人大量虐殺、民族浄化、強制移住に加担している。2013年に私はイスラエルに行き、(ガザを囲む)大きな壁を見た。
 パレスチナと広島との関係は何か。広島原爆はアメリカ政府による実験だった。パレスチナは兵器の実験場でもある。日本の伊藤忠商事や日本エアクラフトサプライはイスラエルに送る兵器の部品をつくっている(調べると、日本エア……は、イスラエルの国際軍事企業エルビット・システムズの製品の生産を担い、伊藤忠は販売促進)。
 私たちは、自分たちの家族や歴史と向き合わなければならない。フィリピンにいる私の家族も第二次世界大戦中、日本の占領下で苦しんだ。私たちは戦争の痛みを知っている。核の痛みはより多くの人々の殺害を正当化するものではない。パレスチナ人が白旗を振っているのに、撃たれている。もうたくさんだ。戦争に反対するなら資本主義や家父長制、人種差別に反対しなければならない。
 最後までユダヤ人として、有色人種のユダヤ人として、他の人間の生命と尊厳に対する権利を信じる(尊重する)一般的な人間としての私の役割を理解するために、シオニズムの思考からのがれるのに20年以上かかった。
 毎日、スタンディングをします。ぜひ来てください。私たちは2月4日にデモをする。自由なパレスチナにはすべての人が含まれる。パレスチナが自由になれば私たち全員が自由になれる。
 そして、レベッカさんたちの「広島パレスチナともしび連帯共同体」へのカンパの呼びかけがあった。

川后和幸さんの発言(ヒロシマ総がかり共同代表/憲法と平和を守る広島共同センター)


 この3カ月間、歴史と世界をきちんと見てこなかったことを深く反省している。この3カ月、パレスチナでは21世紀になって最大規模のジェノサイドが行われている。当初、かつてホロコーストで大変な目にあったユダヤ人が、どうしてこんなひどいことができるのか、よく理解できなかった。ジェノサイド反対の人が、ユダヤの国の名前でジェノサイドを行うというのはいったい何だろうと考えざるを得なかった。
 そのなかで、私は今日のこの問題で、入植型の植民地が今も連綿と続いていることを教えられた。入植型というのは、他の国の人がその地に移り住んで、そこに文明国家をつくる、元いた人を追い出し、虐殺し、そして自らの国の宣言を行う。さらにその国をどんどん広げていって、侵略して現地の人を追い出してしまう。かつてそういうことが世界で行われていたが、世界中が反省をしているというのが今の時代だ。しかし、そのど真ん中で、イスラエルがパレスチナ・ガザに対してこういうひどいことを3カ月も続けている。よくみると、実は75年間もそういうことを続けてきた。
 入植型植民地というやり方は、パレスチナ、その前にアメリカ、オーストラリア、南アフリカ、その中に日本も入ってくる。日本も北海道、満州国、朝鮮半島で、入植型植民地を実践していた。世界の多くの植民地宗主国が反省して二度と繰り返さないと述べているなかで、残念ながら日本は植民地の罪を認めようとはしていない。この入植型植民地主義の下で、普通の人種差別以上に、苛烈な人種差別、アパルトヘイトが起こっている。
 残念ながら日本も、日本が行なってきた、この人種差別を今もひきずっている。植民地、かつて他国の人を大変ひどい目にあわせたことを国として私たち自身も反省しなければいけない、そういう問題に直面している。被爆地広島からこういう声を上げるのは、単に核兵器が使われたことを非難するだけではなく、二度とこういうことを起こさせない、そのことを広島の総意として世界に発信しなければいけない、と改めて感じるからだ。
 私たちは、「憲法9条の改悪は許さない」「戦争をする国にはしない」ということを基本にしてずっと運動をしてきた。そして、今回の問題で、イスラエルが戦争を続けられるのは、実は、年間30から50億ドル、アメリカがイスラエルに軍事援助をし続けているからだということを知っている。
 そして、アメリカの軍事援助の肩代わり、穴埋めとして、日本が今、5年間で43兆円という膨大な軍備拡大を行なっている。つまり、岸田政権の大軍拡予算、日本を戦争する国につくりかえる動きは、そのままイスラエルの軍事攻撃の原資になっていることを知らなければいけない。
 被爆地広島はこんなことは許さない、日本政府も含めて、すべてのジェノサイドを許さないという声をもっと強くいっしょに上げてゆこう。

金子哲夫さんの発言(ヒロシマ総がかり世話人/戦争をさせないヒロシマ1000人委員会)

 今、今日も、この時間も、パレスチナのガザで起こっていることにたいして、思いをいたそうではないか。今も大切な命が奪われている。そして、何よりも小さな子どもたちの未来が奪われている。まず、何よりもただちに、このすべての軍事行動を停止するように、私たちは、この広島の地から声を上げたい。ミャンマーでの軍事クーデターから3年、ロシアのウクライナへの侵略からまもなく2年、イスラエルの軍事行動開始以来、もうすぐ4ヵ月、私たち日本に何が求められるのか、今日は通常国会開会日であるが日本の政治が果たすべき役割は何かが、問われている。
 かつて日本はこのイスラエル・パレスチナ問題については、中立の立場に立って、その役割をそれなりに果たしてきた。しかし、今の日本の政治は、残念ながら、アメリカ追随の政治姿勢のなかで、平和憲法を持つ日本の政府としての役割を果たしているとはいえない。
 今、日本政府のやるべきことは、まさに、尊い命を、この広島をはじめとする人々の命を奪われるなかで生まれた平和憲法の精神を、世界の人々に役立てていくことこそ、私は日本の行うべき政治の役割だと思う。
 岸田首相の今の政治の姿をみると、残念ながら、そのような人々の命が奪われることに対する正面からの向き合い方にはとても思えない。
 私たちは、この広島の地、この場所に集う者の責任として、今、広島が果たすべき役割を改めてこの集会を機に決意しあいたいと思う。私はそのことを私自身の決意として述べて、みなさんに感謝しながら、共にがんばりあいたい。

ヒロシマから
    パレスチナ連帯の訴え

「STOP GENOCIDE IN GAZA」の大きな横断幕とパレスチナ旗に「CEASEFIRE NOW」「即時停戦」と書かれた数十枚のプラスタ―を掲げて、原爆ドームを背にして記念撮影を行った。シュプレヒコールをあげながら中心街をデモ行進した。カンパは、12万2821円集まった。
 第1梯団の本通りデモの最後に、レベッカさんにマイクを握ってもらいコールしてもらった。

フリーフリーパレスタイン
フリーフリーガザ
センソウ ハンタイ
ギャクサツ ヤメロ

 とても心がこもっていて、人通りが多い金曜日夕方の本通りをフリーフリーガザの声がこだました。
       (久野成章)
      

平和憲法の精神の発信を今こそ広島からとアピール(1.26)

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