2.1ミャンマー軍を利する日本からの資金の流れ止めよう、官邸前アクション

日本政府はミャンマー軍政を支援するな

 【東京】2月1日午後6時半から、「クーデターから3年 今こそミャンマー軍を利する日本からの資金の流れを止めるべき!―官邸前アクション」が呼びかけ:メコン・ウォッチ、国際環境NGО FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)によって行われた。この日は夕方になってから急激に気温が下がり、寒風吹きすさぶ中での行動だった。

外務省アクションを続けよう

 最初に、呼びかけ人が発言した。
 「3年前の2月1日の朝、ミャンマーの状況は一変した。軍によるクーデターが起き、それ以来非常に危機的なつらい状況が続いている。この3年間で軍によって不当に殺害された人々は4399人にのぼり、今でも2万人近い人たちが不当に拘束され続けている。国内避難民は260万人に達したとされている。軍による空爆、攻撃が続いているためにそれまで暮らしていた家々を追われ、国内を逃げまどっている状況が起きている」。
 「軍がなぜここまで力を持って、このような状況を今もなお続けることができているのか。その背景に資金源があるからだ。資金源の一端を担っているのが日本だ。日本からの公的資金であり、公的資金を活用して、行われている企業活動の利益の一部が軍に入って行く。そのことから私たちが間接的であってもミャンマー軍を支えている。これを断ち切るために官邸前や外務省アクションを3年間続けてきた。署名を内閣府に届けてきた。今日日中に、院内集会やミャンマー大使館前抗議活動も取り組まれた」。

日本はODAを止めろ

 続いてメコン・ウォッチの木口さんが行動の主旨を述べた。
 「状況は悪化しているがミャンマーの皆さんも言っているように希望があって、軍の力がだいぶ弱まっているのは、たくさんの報告から分かる。今すぐ軍が倒れるわけではないし、私たちと軍の関わりが続いている。これを何とか止めたいということで活動を続けてきた。残念なことに日本政府はこの間、一番大きな政府開発援助(ODA)を止めていない。軍を利するというものが一部あるというだけでなくて、問題がないように見えている事業でも非常に問題で、7000億円ぐらいの円借款事業が動いている」。
 「これが現状で、ミャンマーの人たちの借金になってしまう。今インフラ整備をしたところで軍の支配が続く限り、ミャンマーの経済はよくならない。なぜこれが止まらないかというと、日本の企業がほとんど受注しているが、おそらく止める手段を算段していない。止めることでより多くの違約金みたいなものを払わなければいけないような契約になっていて、止められないんじゃないかと見られている。そもそもそんな契約がおかしい。それを止めるために行動を起こしている」。
 「一番は、少しでも軍の力を弱めること。軍に流れるおカネを止めていくこと。色々調べて発信している。今回、12月1日、日本政府に公的資金で軍に関係あるものや問題があるものを止めてほしいという要請書を世界の85団体プラス6団体の呼びかけで出している。それに対して一般の方でも賛同してもらうためにオンラインの署名を始めている。1週間ちょっとで1282人の署名が集まり、内閣府・外務省・国土交通省・国際協力機構・国際協力銀行などに届けた。8月までやるので協力をお願いしたい」。
 ミャンマー支援を続ける大学院生の石川さんは「大学一年生の時に初めてミャンマーに行った。クーデターが起こった直後、ミャンマーの友人たちも恐怖と不安のどん底に追いやられた。クーデターから1カ月が経った時に、外務省などに署名活動を行い、ミャンマーの民主化を応援してもらえるように、請願を出した。しかし、クーデターが起こってから3年が経過した今も、同じ声を上げなければいけない。ミャンマーの人たちは日本のことが大好きな人たちだ。日本政府は目先の利益を優先して、ミャンマー軍との関係を続けている。ビジネスも続ける。これが本当にミャンマーのためになっているのか。得たおカネが軍の維持のために使われている。軍による民衆の虐殺に日本政府が間接的に加担しているのと同じだ。こんなことはあってはならない」、ミャンマー軍との関係を断てと訴えた。
 仏教者の大河内さんが「悪いことはするな 良いことはしよう、常に自分の心を清らかに保つ。これが本来の仏教の教えだ。悪いことをするなが大事だ」と話し、亡くなった方への黙とうを捧げ、「ミャンマーの人びとに1日も早い平穏な日々が訪れるように祈念する」と述べた。

資金源提供に総合的判断と逃げる外務省

 呼びかけ団体の武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の杉原浩司さんが訴えた。
 「3年は重たい年月だ。虐殺や拷問や様々な圧力の中で、一日一日を生き延びていくことが厳しい。3年はどれ程の年月だったのだろうと思う。ミャンマー軍の残虐な戦争犯罪、人権犯罪を分かっていながら、その軍に対して資金源を提供し続けてきている。その手が血に塗られている。日本の市民がきちんと責任を取って、止めさせることが今日の時点でも出来ていない。ミャンマーの人たちに申し訳ない」。
 「何度も行動をしてきたが、外務省は申し入れをするたびに、総合的に検討して判断しますと、ずーと言ってきた。どれだけ避難民が厳しい中で生活しているか、どれだけの人たちが拘束され拷問され、殺され続けていることは誰にとっても明らかな事実だ。それでも総合的にどのように検討してきたのか。判断はいつ決着するのか」。
 「政府・政治家が何をやっているのか。裏カネだ。何億円も自分たちの懐に入れてきて、そういうことがはっきりしたのに、辞職すらしない。国会議員続ける資格はない。血にまみれたカネをミャンマーに送りながら、自分たちはキックバックで、裏カネ・汚いカネを受け取る。こうした人たちがこの国の権力を握り続けている。このことが諸悪の根源だ」。
 「武器輸出について、殺傷できる武器を年末に国会にも諮らずに出せるようにした。こういうことを血にまみれた人たちにやらせるからろくなことがない。自民党を倒さなければダメだ。政権交代させないとミャンマー問題も決着できない。抗議の声を絶やさずに、ミャンマーの人たちと連携しながら、しぶとくしつこく活動していこう」。

日本政府は独裁軍人と手を切れ


 参加したミャンマーの人からの訴え。
 「日本で貧困問題とか難民を助ける活動をしている反貧困のスタッフだ。ミャンマー人たちは助けを求めているが、自民党の政府は国会ではきれいな話をするだけだ。ミャンマーの市民たちのことを思って行動するとか、助けますとか言う。本当は独裁軍人と手を放していない。日本からの資金を独裁軍人のところに流している。自民党が全部悪いようにして、人の命のなくなる法案を作っている。ミャンマーのこと、パレスチナのこと、声を上げてあきらめないでほしい」。
 在日ミャンマー人の訴え。
 「私たちは訴えをしているが、日本政府は聞こえないふりをしているのですか。私たち在日ビルマ人たちは自分の胸の中に、どんな悲しい気持ちを胸にしまい話をしているか、ちょっと耳をすませてくれませんか。ODAを止めてくださいといつもお願いしています。それは意味のないお願いではありません。私たちの国の人たちを殺すために、武器を買う支援になっていることを理解してください」。
 「私たち日本に来る前は日本が大好きでした。日本みたいになりたい。日本みたいにがんばりたい、そういう気持ちで日本に来た。国際的に非難されている独裁軍事政権に力をあげていることは間違っています。私たちの国民を守ってもらえるように、アジアのリーダーとしてお願いをしていた。どんなに犠牲者が増えても、無視していることは悲しくてたまりません。希望をあきらめない。私たちの明日の太陽は必ずあるはず。それを信じていまだに続けて闘っています。お願いすることは日本政府は独裁軍事と手を組んでいることはやめてください。国民の命はタダではありません。命一つ一つが大事です。私たちに人間らしい生き方をさせてください。アジアのリーダーとして日本政府にお願いしていることは何百回もあります。それを無視していることはとっても残念でなりません。いまだに、私たちはあきらめないまま、前に進んでいます。ミャンマーの未来を自分たちの未来と思ってください」。
 ミャンマー人のミンスイさんが裏カネ問題に揺れる国会、自民党政府を痛烈に批判した。話した。

民主主義を返せ 未来を返せ

 ジャーナリストの北角裕樹さんが発言。
 「クーデターから3年、この間たくさんの人がつらい思いをして、それでも人を助けようと思って、自分たちの未来を取り戻そうと思って声を上げてきた。まだ私の友人の中にも、刑務所にいる人もいる。よく、ミャンマーは民主主義という言葉を使う。日本人が持っているものよりも多くのものを含んでいる。自分たちの未来だとか、自分たちが生きる日常だとか、そういうものも含めて民主主義を返せ、未来を返せと言っています。日本政府はその民主主義を守るために、その力を使ってほしい。今世界中で民主主義の国が減っていている。この日本も民主主義がどうなるか分からない。決して他人ごとではない。今時代が変わろうとしている。いつかわれわれの自由をもう一度、取り戻す日が来る。そうしたらいっしょに民主主義の国をつくりろう」。

日本の企業も軍政を支えている

 日本ボランティアセンターの並木さんが発言した。
 「パレスチナのガザでの停戦を求める仕事をしている。毎日停戦しないかと思っている。これが110日以上続いてきている。100日超えただけでもこんなに辛いのに、3年も続いているミャンマーはどれだけ辛いのだろうか。1日でも早くパレスチナのことは収まってほしい。日本政府が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)というパレスチナの難民支援機関への資金を止めてしまった。それに対してNGOが抗議の声を上げていた。これが現地の人にとっては、日本もそうなの? と言われる。日本は違うと思っていたのに、私たちのことを考えてくれると思っていたのに。日本も結局そうだったんだと言われる。私はそれが残念でならない。ミャンマーのことを考えているととっくの昔に日本はそうだった。おカネがたくさん動いているけど、結局は支援という名前を借りて、力のある人たちの利益になる形で使われていく構造がずっと続いてきた。これを止めなければならない」。
 国際環境NGO FoE Japan 長田さんが発言した。
 「ミャンマー軍が人びとに対して今でも虐殺を続けている。このミャンマー軍の資金源に、日本が間接的に関わっている。ミャンマー軍の傘下に100を超える企業がある。その企業の中には日本の企業、政府の資金も関わっている。日本のわれわれにも大きな責任がある。ここで声を上げていることは重要なことだ。ODAや公的資金を止めろという署名もやっている」。
 最後に首相官邸に向けて政府・企業はミャンマー軍と手を切れとシュプレヒコールを上げた。  (M)
 
 
 
 

日本政府・企業はミャンマー軍と関係を絶て、首相官邸前で(2.1)

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