女川原発 地震大国での原発の運転は許されない!

すべての原発の即時停止と廃炉を! 住民らの指摘が現実に!

 【宮城】「志賀原発の周辺でいくつもの巨大な活断層が存在することを明らかにしており、『震度6強の地震発生』は決して過大な想定ではない。しかし訓練では志賀原発敷地外への影響は1か所の道路の寸断のみであり、明らかに地震被害を過小評価している。実際には多くの家屋が倒壊し、下敷きになった住民もいるかもしれない。死傷者も複数発生し、火災発生もありうる。道路の損壊も広範囲に、複数個所に及ぶ。津波被害も発生しているかもしれない。」(11・23志賀原発【原子力防災訓練】に対する抗議声明よりhttps://i-peace-ishikawa.com/app/)
 昨年11月、石川県が実施した昨年の志賀原発「原子力防災訓練」の実施に対する「志賀原発を廃炉に!訴訟原告団」らの抗議声明である。すでに住民は、本年1月1日の能登半島地震を予知した警告を発していて、それが現実のものとなってしまった。能登半島の北東端、石川県珠洲市を震源とするマグニチュード7・6の地震は、最大震度7を計測、4mを超える津波が能登半島の北岸などに到達した。

引き上げ続ける基準地震動


 能登半島北部の広い範囲で活断層が150キロにわたり連動し地盤の変動が観測され、国土地理院の解析結果(https://www.gsi.go.jp/)では、輪島市西部で最大約4mの隆起、最大約2mの西向きの変動が、珠洲市北部で最大約2mの隆起、最大約3mの西向きの変動が見られたとしている。今回の地震で観測された最大震度7および地表面での最大加速度2828ガル(Gal)は、志賀原発から11㎞離れた志賀町富来の地震計のものだった。(志賀原発の地震計の最大加速度は、399ガル) 志賀原発の基準地震動は、建設当初、SI(設計用最強地震:将来起こる可能性のある最強地震)を375ガル、S2(設計用限界地震:起こる可能性は極めて小さい限界的地震)を490ガルと設定していた。その後、2006年に耐震設計の審査指針が改訂され、基準地震動は600ガルに引き上げられた。さらに、福島第一原発事故後の基準見直しで、北陸電力はさらに1000ガルまで引き上げているが、停止中であったことも幸いしたが、直撃していたら大惨事になったことは間違いない。
 樋口英明元裁判長は、「日本の原発は、ハウスメーカーの耐震基準以下で、耐震性は極めて低く地震大国での原発の運転は許されない」と警鐘を鳴らし続けている。(耐震実験で、セキスイハイム:2112ガル、住友林業:3406ガル、三井ホーム:5115ガルに耐えたという。)

小出しの情報発信


 能登半島地震発生後、停止中の志賀原発に関する第一報は敷地内、施設内について「異常はなく、問題ない」、モニタリングポストの数値にも異常がないと報じられたが、その後、116ヶ所のモニタリングポストのうち18ヶ所で欠測、外部電源のトラブル、施設内トラブル(1号機起動変圧器の油漏れ、2号機主力変圧器の油漏れ、1,2号機の使用済み燃料貯蔵プール水の飛散、溢水、1号機放水槽防潮壁の傾きなど)、漏出した絶縁油の量の修正など小出しにされ、事象を小さく見せようとする北陸電力の情報公表が繰り返された。また、津波も複数回到達したようで、水位計で3mを検出しており、敷地内の地盤の変化は確認されていないが、20㎞程度離れた能登半島北西部では地盤の隆起が確認されてあり、同じく隆起が発生していれば、建屋の損傷に至っていた可能性もあり、冷却水(海水)の取り込みが困難になった恐れもあったといわれている。

避難は困難、屋内待避も破綻


 原発事故時の避難計画は、自家用車かバスでの避難が想定されている。能登半島地震によって道路の陥没、土砂崩れ、港湾の隆起などが発生して道路も海路も全面的に使用できない状況が起きた。現在は解消されたが、一時33地区3000人を越える方々が孤立状態におかれた。複合災害時には、避難行動を起こすことすら困難であることが明らかになった。原発から5㎞圏内のPAZ住民は即時避難させ、30㎞圏内のUPZ住民は「屋内退避」後、1週間程度以内に「一時移転」することになっている。しかし、今回の地震では家屋の倒壊が45000棟にのぼり、屋内退避が困難なことが露呈してしまった。

複合災害考慮しない宮城県原子力防災訓練


 1月20日、能登半島地震と志賀原発の実態を見て見ぬふりをして実施された宮城県主催の「原子力防災訓練」は、昨年末の「女川地域原子力防災協議会」で改訂された「スマホアプリ」活用と新たに追加された海路での避難を確認するだけの訓練であった。能登の事象のように道路が決壊して一時集合場所へバスが届くのか、自家用車での避難は出来るのか!家屋が倒壊して「屋内退避」が出来ないなかで「段階的避難」どころか被ばくに晒される。それ以前に、モニタリングポストからのデータが受信できずに「避難指示」すら発出できないことを能登半島地震と志賀原発の実態は示した。複合災害を考慮しない避難計画は画餅にすぎない。

市民団体、宮城県知事に原発止めろ!と要望書提出


 1月22日、宮城県内の市民団体は、能登半島地震を受けて宮城県知事に「女川原発2号機の再稼働地元同意の取り消し、女川原発の安全性を検証する場の設置、能登半島地震の知見を集め避難計画の抜本的見直しの三点について要望書を提出した。3月には女川原発の再稼働を止めるための、3月23日全国集会を仙台で開催するために準備している。

1・31女川訴訟第2回口頭弁論

 第2回口頭弁論は、被控訴人側が反論提出を引き延ばしてきたため控訴人(住民側)は結審を求めた。裁判所は結審にはせず、被控訴人側の反論を2月末までに提出させることとし、それに対する控訴人側からの再反論を3月末までに受けて審理を進める事になった。
 次回第3回口頭弁論期日は、4月17日(水)15時からとなった。
 東北電力は、裁判引き延ばし、裁判長の5月退官による現在の裁判体の変更に期待して「一審判決の復活」を目論んでのことのようだ。控訴人側の反論を徹底して「仙台高裁が示した判断枠組み」を維持させ、勝利判決をもぎ取るために奮闘すると原告団は決意を示している。
(m)

uchusokuchi/20240101noto_insar.html)

仙台高裁審理に向かう原告団(1.31)

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