沖縄激戦地土砂の埋立使用阻止2・6緊急防衛省交渉

沖縄:激戦地の土を埋立に使うな

防衛省から戦没者を守れ

県との事前協議に応じろ! 土砂採取場所の変更は知事の承認事項だ!

 【東京】2月6日正午から、衆議院第一議員会館で「沖縄激戦地土砂の埋立使用阻止2・6緊急防衛省交渉」が沖縄戦遺骨収集ボランテイア・ガマフヤーの主催で行われた。

人道無視の埋立て

 1月10日、国は大浦湾の埋め立て工事に突然着手した。沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤーの具志堅隆松さんが10日から始めたハンストは、工事について県との事前協議抜きの沖縄無視、じゅうりんの暴挙に抗議し、この暴挙と真っ向からぶつかった。沖縄県は事前協議書を送付し、11日に防衛局に届いた。沖縄県無視の工事強行は許されない。
 防衛省交渉では主に次の事項を明らかにさせる。①激戦地土砂の辺野古埋め立て使用は戦没者の尊厳を守れない。②埋め立て承認の際の留意事項では「土砂採取場所を変更する場合は知事の承認を受けること」となっており、埋め立て土砂の採取地決定は知事の承認事項。③公有水面埋め立て法施行規則第3条では埋め立て願書に「土砂の採取場所」を記載するように定めており「採取予定地」しか示していない現状は書類不備。④受注業者が決定すると言う説明はおかしい。⑤埋め立ての岩ズリは「黒岩」のはずだが南部は「白岩」で使用できない。
 戦後、政府が全国の戦没者遺族の元へ届けた遺骨箱の中は、ほとんどが遺骨ではなく御霊石であった。防衛省は、戦没者の血と魂を吸い込んだ南部の御霊石を住民や日本兵を殺したアメリカ軍の基地を作るために海に捨てようとしている。防衛省は人道無視の沖縄激戦地土砂の埋立使用計画を撤回すべきだ。(呼びかけビラより)

遺族・戦没者の思い


 最初に、沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤーの具志堅隆松さんがあいさつを行った。
 「私たちはこれまで沖縄戦の激戦地である南部の土砂が防衛省によって、辺野古の埋め立てに使われないように、声を上げてきた。そのために、防衛省から言われたのは、まだ決まったことではありません。このことは工事が決まった段階で、業者によってどこで取るか、業者が決めますと言っていた。今まさに代執行が行われて、業者が激戦地の土砂を使うということにあたって、防衛省は、本当にそのようにさせるつもりなのか、問いただすために、今日ここに来ている」。
 「防衛省は毎回、戦没者遺骨についてはたいへん重要な問題だと認識していると言っている。重要な問題と認識いながら、戦没者の血を吸い込んだ、あるいは骨の混ざった岩ズリを海に捨てようとするのか。何度も申し上げているが、沖縄戦で亡くなった日本兵であれば、防衛省にとっては先輩であり戦友だ。その遺骨をも戦友を殺した旧敵軍であるアメリカ軍の基地を作ってあげるために、海に捨てるのは戦友への裏切りに他ならない。遺族と国民への裏切りだ。このことは辺野古の基地に賛成か反対か以前の人道的な問題だ。どうか、今日はこの場において、沖縄本島南部の土砂は使いませんとその一言を述べてほしい」。
 参加した国会議員が紹介された。赤嶺政賢さん(日本共産党)、金子えみさん(立憲民主党)、伊波洋一さん(沖縄の風)、大椿ゆうこさん(社民党)、高良鉄美さん(沖縄の風)、阿部知子さん(立憲民主党)。

明言避ける防衛省


 沖縄南部地区の遺骨混りの土砂調達問題について。防衛省は「今後新たに発注する工事の土砂の調達先は決まっておりませんが、このような歴史のある沖縄において、御遺骨の問題は真摯に受け止める必要があると認識しており、こうしたことも踏まえながら、事業を進めてまいります」とのみ答え、遺骨混りの土砂を使わないと明確に答えなかった。そして、北上田毅さん(元土木技師、沖縄平和市民連絡会)が南部の「白岩」は北部で採れる「黒石」と比べて強度が弱く、吸水率が高いことから、強度不足で埋め立て材としては使えないと指摘したが、防衛省側は必要な規格に適合しているか確認する、と回答するのみだった。

死者を踏みにじるな


 当初、2時間とされていたのを、1時間近く延長し、鋭い追及が続けられたが明確な回答がないままに交渉は終わった。最後に遺族たちが思いを防衛省にぶつけた。
 平和遺族会の田島さんが発言した。
 「再び戦争で死ぬのは絶対にいけない。昨年の10月、自宅に平和博物館を作った。備前焼で作った対戦車地雷を飾って、戦争は大変なものなのだと知ってもらおうと。私の父親が戦争に行って、戦争が終わって翌年の10月頃、戦死広報がきた。父親は3年くらい行方不明だった。西ニューギニアで2年前に死んでいた。3年前から父はどこに行ったか分かっていなかった。戦死広報がきた後、英霊伝達の件がきた。故田島上等兵の英霊がお帰りになられましたので法要のうえ、安置してありますと書いてあった。伝達日、何月何日。伝達場所、芝増上寺。芝増上寺に母が行った。それで空箱をもらった。空の箱の中に骨壺。それを開けたら、中に白い砂と板切れが入っていた。それだけです。私が5歳の時だ。そして私がお墓の中に入って骨壺を置いた。砂、これは御霊砂でもない」。
 「帰ってきた人は全部捕虜になっているわけだから、骨はもちろん持ってこられないし、砂も持ってこられない。父の骨壺の中にどこの砂が入っていたか分からない。ご家族が戦争で殺される。遺骨も帰ってこない。沖縄の海に捨てる。こんなひどいことないじゃないですか。遺族は怒り心頭だ。今厚生省は55%ぐらい遺骨が帰ってきていると言っている。まったくの嘘ぱちだ。ニューギニアで言うと1割ぐらい。遺族に戻ってきたものはほとんどない。国内の沖縄で遺骨を埋めてしまう。こんなことはない。皆さん、こういうことはやめましょう」。
 沖縄激戦地土砂の埋立使用を阻止しよう。 (M)

沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤーは「戦没者の尊厳を守れ」と訴える(2.6)

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